湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第1節(2022年2月19日、土曜日)

 

チョウ・キジェ京都がブチかました、粘り強くダイナミックな攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢に、乾杯!・・(サンガvsレッズ、1-0))

 

レビュー
 
フ〜〜ッ・・

まあ、仕方ない。

それにしても・・

サスガに、チョウ・キジェ。

最後の最後まで、サンガ選手たちの「足が止まる気配」は、まったくなかった。

なかでも、ボール奪取プロセスで魅せつづけた「寄せ」が素晴らしい。

そこで放散しつづけた、強烈な「意識と意志」には、称賛しかない。

そんなハードワークが、素晴らしく機能し(連動し!)つづけたからこそ・・

次の(スペース攻略を目指す!)仕掛けプロセスでも、ボールがないところでのサポートの動きが、しっかりと連鎖しつづけたわけだ。

チョウ・キジェ京都が魅せつづけた、攻守にわたる、闘う意志満々のハードワーク。

そこには、サッカーの本質的な価値と「喜び」が秘められている・・と感じた。

試合後のダゾンインタビューでのチョウ・キジェ・・

・・レッズに怖じ気(おじけ)づいて、闘い切らない(!?)中途半端なサッカーが、もっとも詰まらないと思っている・・

・・その意味で、選手たちが、最後まで、堂々と闘い切ってくれたことを誇りに思う・・

そんなニュアンスの内容をコメントしていた。

そう、そこに込められた指揮官の「闘うマインド」こそが、選手たちを「フッ切れ」させ、限界までエネルギーを絞り出させるんだよ。

そういえば・・

チョウ・キジェが、まだベルマーレを率いていたころ、こんな質問をしたことがあった。

・・チョウさんは、よく、湘南スタイルという表現をつかう・・

・・その湘南スタイルが何なのかを、改めて問われたとき、どう答えるか?・・

そんな私の質問に、間髪を入れず、チョウ・キジェが、こう反応した。

・・それは、勇気です・・

いいね〜、チョウ・キジェ。

このゲームでのサンガ選手たちは、まさに、天井知らずの「勇気」を、グラウンド上で表現し尽くしたっちゅうコトだね。

まあ、立派なサッカー内容だったからこそ掴み取れた、立派な結果だったということだね。

さて・・

対する、リカルド浦和レッズ・・

決して内容が悪かったわけじゃない。

それでも・・

ゲームを通してみた場合、チョウ・キジェ京都がブチかました「強烈な闘う意志」に呑み込まれたっちゅうシーンも多かった。

たしかに、立ち上がりは、互角以上のポテンシャルを感じさせたリカルド浦和レッズ。

素晴らしい才能に恵まれた「スーパー・ハードワーカー」明本考浩が、個の勝負から、キャノンシュートをブチかますゴール機会も創りだした。

でも・・

徐々に、チョウ・キジェ京都が繰り出すボール奪取プロセスの「圧」に押され気味になり、うまく、スペースを攻略していけなくなっていくんだ。

まあたしかに後半には、江坂任、酒井宏樹が、スペースを攻略した決定的ゴール機会に絡むシーンも創りだした。

それでも、結局は、守り切られて、万事休す。

そんなゲームを観ながら、こんなテーマに思いを巡らせていた。

・・あのダイナミズムで、忠実に、そして継続的にプレス(寄せ)をブチかましてくる相手に、どのように対応するのが正解なのか・・

もちろん・・

「寄せ」てくる相手のエネルギーを、スッ、スッと、スマートに外せれば、問題ない。

そう、ワンツーを積み重ねる、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション。

でも、チョウ・キジェ京都のプレス(寄せ)の忠実さとダイナミズムは、ハンパない。

彼らは、ボールだけじゃなく、次、その次のパスレシーバーも強烈に「イメージ」しつづけているんだよ。

そんなゲーム展開のネガティブな内実は、選手たちが、もっとも切実に感じているはず。

・・あっ、これは、ヤツらに勝負の流れを掴まれちゃう展開になりそうだ・・

・・オレたちは、相手ディフェンスを打ち負かしてスペースを攻略できていない・・

・・このままだったら、ジリ貧になっちゃう・・

・・でも、ヤツらのプレスを外せるほど、うまく人とボールを(スマートに!)動かせない・・

だからこそ・・

そんなネガティブ体感が支配するゲーム展開に陥り、スマートに、相手のプレスの勢いを外せないようなケースでは、どうするのか・・。

そりゃ・・

相手に輪を掛けた勢いで、積極的&攻撃的なプレッシング基盤のボール奪取プロセスをブチかましていくしかないんだ。

チーム総合力が「上」のリカルド浦和レッズだからこそ・・

そんな、攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢を、ガンガン、「前から」ブチかましていくことで、大きな果実を得られるんだ。

そうすれば、おのずと、ゲームのペースが落ち着いてくる。

そして、実力が上のチームが、ゲームの(勝負プロセスの!?)実質的イニシアチブを、しっかりと握り返せるようになる。

要は・・

攻守ハードワークの量と質で上回った方のチームが、最終的には、イニシアチブ(内容)と結果を残せる・・っちゅうわけさ。

まあ、リカルド浦和レッズのことだから・・

次の「リターンマッチ」じゃ、チョウ・キジェ京都を圧倒するダイナミズムのボール奪取プロセスを魅せてくれるに違いないと確信している・・

ということで・・

先の長いリーグ戦。

とにかく、期待しましょう。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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