湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2022年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第20節(2022年7月6日、水曜日)
- チョウ・キジェが魅せつづける、闘う意志の注入・・リカルド・ロドリゲスが魅せる、才能プレイヤーの「解放」という優れた心理マネージメント・・(レッズvsサンガ、2-2)
- レビュー
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- たぶん・・
サッカーをするのに、もっとも厳しい範疇(はんちゅう)にはいる気候条件だったと思う。
だからこそ・・
チョウ・キジェが、ベンチから放散しつづける「闘う意志」という心理オーラが、まさに乗り移ったような、サンガ選手たちのガンバリが、目立ちに目立っていた。
そのガンバリは、言うまでもなく・・
ボール奪取プロセス(守備)でのチェイス&チェック(寄せ)、局面デュエル、ボールがないところでのマーキングやカバーリングといった、守備ハードワークに表現される。
たしかに、さまざまな「数字」や、実際の戦術コンテンツ、そして結果としてのゴール機会の量と質という視点では、リカルド浦和レッズに一日の長があった。
逆に、チョウ・キジェ京都では・・
スペース攻略プロセス(攻撃)が、微妙に「一味たりない」と感じた。
そう、彼らは、うまくスペースを突いていけないし、シュートも打てないんだよ。
もちろん、ピーター・ウタカという天賦の才がボールをもったときは、ハナシは別だけれどサ。
それでも、サッカーだから、やっばり、一人じゃ、結果を出すのは難しい。
だからこそ、「組織」と「個」のバランスが問われる。
そう、人とボールの動きを絶対ベースにした、タイミングの良いドリブル勝負のミックスね。
その視点で、やっぱり、リカルド浦和レッズに軍配が挙がるんだ。
それでも・・
レッズの強さを体感しているサンガだからこそ、その「ガンバリ」は、称賛に値する。
とにかく、京都サンガ選手がブチかましつづける、ボール奪取プロセス(守備)での強烈なハードワークには、アタマが下がる。
そして、わたしは・・
チョウ・キジェというスーパーな「ストロングハンド」の素晴らしい仕事に対して、日本のサッカー人の一人として、称賛と感謝の拍手をおくるわけだ。
この試合・・
冒頭に書いたように・・
「あと半歩」足を前に出せるかどうか・・っちゅう、限界レベルの意志の闘いになった。
ボール奪取プロセス(守備)においても、スペース攻略プロセス(攻撃)においても・・。
その視点では、もちろん、リカルド浦和レッズに、満足しているわけじゃない。
とはいっても、わたしは・・
リカルド浦和レッズに対して、個の才能連中の「ブレイクスルー」という視点で、希望の光が見えはじめているってな視点ももっている。
例えば、大久保智明、松尾祐介・・
もちろん、組織と個のバランスを執ったうえでの「ドリブル勝負」という意味だよ。
ということで・・
ここが、とても「微妙」なディスカッションなんだけれど・・
勝負ドリブルを、勇気をもってブチかましていけるかどうかというテーマでは、何といっても、心理・精神的ファクターがモノを言うという視点。
そう、例えば、こんな、後ろ向きで消極的なプレー姿勢・・
ミスをしたくない・・だから、横パスやパックパスに逃げる・・等など。
そうではなく、自分自身の意識と意志を「何かから解放」し、勇気をもって、積極的&攻撃的にリスクへもチャレンジしていくというプレー姿勢こそが大事なんだ。
そこでは・・
才能ある選手たちが、本当の意味で「フッ切れる」ためには、何らかの「刺激」が必要なんだ。
その心理マネージメントこそ、優れた監督のウデの見せ所というわけだ。
ということで・・
このところの、大久保智明、松尾祐介の「ブレイク」ぶりを観るにつけ、日本のサッカー人として、リカルド・ロドリゲスに対する、称賛と感謝の拍手をおくるわけさ。
良い監督は・・
才能の「内実」に応じて、さまざまな「刺激」を与えられるモノなんだ。
わたしの師匠である、ヘネス・ヴァイスヴァイラー、リヌス・ミケルスといった世界のレジェンドは、特に、「その心理マネージメント・センス」に長けていたよね。
いまでも、さまざまな「現場の光景」を、懐かしく思いだすよ。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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