湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第22節(2022年7月917日、日曜日)

 

エキサイティングな意志の闘いだった・・そんなコトもあって、観ているうちに、カタチと自由のバランスというテーマに、アタマを占拠されてしまった・・(サンガvsサンフレッチェ、1-1)

 

レビュー
 
すごい、魂の闘いだった。

観戦しながら、自分が、どんどんゲームに惹きこまれていくのを感じていた。

心から、堪能した。

とにかく・・

両チームがブチかましつづけた、攻守ハードワークとリスクチャレンジの内実(積極的&攻撃的な主体性プレーの内実!)が素晴らしかったんだよ。

まあ、そんなふうにゲームを楽しめたバックボーンには、ダゾンのカメラワーク(ズーミングワーク)の質が高かったこともあったね。

スーパークラスの動的均衡マッチ。

だからこそ、ボールがないところでの、仕掛けの動きと、効果的なディフェンスの動きを、しっかりと体感できることこそが大事だったんだ。

ダゾンは、そんな大事なコノテーション(言外に含蓄する意味)を内包するシーンを、しっかりと捉えつづけてくれた。

ボール奪取プロセス(守備)にしても、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)にしても。

感謝・・です。

ところで、ゲームの内実。

たしかに、攻守にわたる、素晴らしい「せめぎ合い」マッチではあったけれど・・

でも、やっぱり、深くて広い「チームパフォーマンス」という視点では、ミヒャエル広島サンフレッチェに、一日の長があったと思う。

ボール奪取プロセス(守備)では、互いのイメージングを、巧くリンクさせる連動性を魅せた。

またスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でも、人とボールの動きを、スムーズに、そして効果的にリンクさせつづけた。

だからこそ、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション「も」うまく機能させられた。

攻守にわたる、イメージングの「相互シンクロ機能性」。

例えば・・

守備では、味方のチェイス&チェックを見定めながら(ボール・オリエンテッドに!)、カバーリング、協力プレスを機能させる。

また攻撃(仕掛け)では、素早く、広く、効果的にパスをつなぎながら、ボールがないところでのサポートの動き(フリーランニング)を活用するイメージングを具現化する。

・・等など。

ところで、ここでは・・

攻守シチュエーションを、より具体的に表現しなかったわけだけれど・・

それには、ワケがあった。

そう、サッカーは、まさに変化に富んだ「生き物」そのモノという視点。

だから、カタチにこだわり「過ぎて」もダメだし・・

カタチが(イメージングが!)なくても、ダメ・・という視点。

たしかに、ケーススタディは、大事さ。

でも、そこでの、「カタチ」のバックボーンになったファクター(要素)に、こだわり「過ぎて」も、進化&深化の、足かせになるっちゅうことなんだ。

このテーマについては・・

1990年代、勝負強い「だけ」というイメージに悩んでいた頃のドイツを思いだす。

そこでは、ドイツサッカーの重鎮が、アタマを突き合わせて、深いディスカッションに没頭していた。

わたしも、その一端を体感させてもらった。

そして導き出したのが・・

・・オーバーコーチング(≒カタチ)の弊害・・テクニック(≒自由)の重要性の再認識・・

・・だからこそ、バランス感覚を磨くことこそが、もっとも根源的なテーマ・・

・・等など・・

要は、攻守にわたる、自由な「主体性プレー」こそが、志向すべきベクトルだっちゅう結論にいたるまでのプロセスね。

とにかく、ツキ(人脈!?)に恵まれたコトもあって、ドイツでの、(歴史的にも!?)もっとも重要なディスカッションを体感できたんだよ。

だからこそ・・

「カタチ」と「解放」のバランスってなテーマに、こだわるわけさ。

そう、監督は、カタチとしてのイメージ(戦術ファクター)と、主体性プレーの絶対基盤である「自由」との、グッドバランスを演出できなきゃダメだっちゅうことね。

まあ、このテーマについては、そろそろ「The Core Column」でシリーズをはじめようかな・・なんて思ってはいるけれど・・

でも、難しいよね・・

へへっ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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