湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第25節(2022年8月14日、日曜日)

 

逆転されてからサンフレッチェ選手たちがブチかました、攻守にわたる高質な「主体性プレー」に、乾杯!!・・(レイソルvsサンフレッチェ、2-3)

 

レビュー
 
ミヒャエル(スキッベ)は、ホントに良い仕事をしている。

Ich bin sehr stolz auf Dich……

その、ミヒャエル広島サンフレッチェ。

もちろん、攻守にわたる、戦術プレー(イメージング!)の進化&深化は、言うに及ばず・・

実際の、攻守ハードワークとリスクチャレンジへ向かう「姿勢」が、素晴らしいんだ。

そう、自分たちがアタマに描く「攻守イメージング」の内容を、選手たち自身が、しっかりとグラウンド上に投影できているわけだから・・ね。

だからこそ・・

彼らが魅せていたのが、ホンモノの「主体性プレー」だって、高く、高く評価したいね。

そう・・

そのバックボーンで躍動する、優れた「意識と意志とイメージング」が、見える、感じられる。

そして、そこにこそ、ミヒャエルの、優れた心理マネージャーとしての「良い仕事」の積み重ねが結晶しているということだね。

その試合だけれど・・

優れたプロコーチ、ネルシーニョに、長年、鍛えられたレイソル「も」、とても強いチームだ。

だから、全体的には、まさにダイナミックな動的均衡ゲームって呼べるような、エキサイティングな勝負マッチへと「成長」していった。

そして、そんな拮抗したゲームだったからこそ・・

そう、後半2分に、オウンゴールでレイソルに勝ち越されてからサンフレッチェがブチかましつづけた、攻守にわたる、抜群にダイナミックな「主体性プレー」をテーマにしたい。

そこでのサンフレッチェ選手たちは・・

まさに、一人の例外もなく、また変に「気」を緩めることなく、全力で、攻守の仕事(ハードワーク)を、主体的に「探し」つづけていたんだ。

例えば・・

・・素早く効果的な、攻守の切り替え(トランジション)・・

・・瞬間的にトップギアに入る、チェイス&チェック・・

・・ボールがないところでのマーキングやカバーリング・・

・・そこでの「イメージング」が、とても忠実・・

・・チャンスを見計らってブチかます、協力プレスと、効果的なプレイヤーの集散・・

・・決定的ピンチで繰り出される「最後の半歩」・・

・・等など。

そんな、ボール奪取プロセス(守備)での「意志のプレー」が充実しているからこそ・・

次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でのダイナミズム(意識と意志!)も、充実の極みを魅せるわけだ。

ボールがないところでの3人目、4人目のフリーランニングなど・・ね。

そこでサンフレッチェが魅せた、人とボールの動きの「リズム」は、とてもレベルが高いと感じた。

だからこそ、チーム内での「イメージング」が、しっかりとリンク連動する。

だからこそ、相互信頼ベースで、ボールがないところでのサポートの動きも加速する。

もちろん・・

ネルシーニョ柏レイソルだって、とてもハイレベルなサッカーを展開している。

でも、この試合では・・

そう、少しだけ、ミヒャエル広島サンフレッチェの「意識と意志のパワー」が、上回っていたと感じるんだよ。

・・このところ、リーグ戦だけではなく、ルヴァンカップでも、とても強い実力チームと闘っているわけだが・・

・・そこで選手たちが展開する、とても立派なプレーを、「誇り」に感じているんだよ・・

ミヒャエルが、ダゾン試合後インタビューで、そんなニュアンスの内容を語っていた。

その、ミヒャエルが感じていた「誇り」だけれど・・

それは、選手たちの、あくまでも自分主体で(勇気をもって!!)リスクにもチャレンジする姿勢に対するモノに違いない。

そう、グラウンド上で闘うのは、あくまでも選手自身なんだ。

だからこそ監督は、そこで必要になってくる、心理・精神的なバックボーンを鍛え上げる。

そこでは、脅したり、スカしたりしても、決して、ホンモノの「効果」には、つながらない。

主体性プレーとは、あくまでも、選手たち自身で創りあげていくモノなんだ。

彼ら自身が、「こうやりたい・・」、「これを達成したい・・」って望み、そのために全力を尽くす(尽くそうとする)ことでのみ到達できる「高み」なのである。

とにか、彼らの「主体性プレー」の内実を、極限まで高めて欲しい。

ガンバレ〜・・ミヒャエル・・

============

最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





[トップページ ] [湯浅健二です。 ] [トピックス(New)]
[Jデータベース ] [ Jワンポイント ] [海外情報 ]