湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第28節(2022年9月2日、金曜日)

 

サッカーの内容と結果が一致していたとは言い難いゲームだった・・ミハイロ札幌コンサドーレは、粘りのサッカー・・対する小菊昭雄セレッソは、相変わらず、美しい質実剛健サッカーへ向けて努力している・・(コンサドーレvsセレッソ、2-1)

 

レビュー
 
またまた、すごい勝負ドラマになった。

この試合、ミハイロ札幌コンサドーレが、大逆転勝利を、もぎ取ったわけだけれど・・

だからこそ逆に、(結果に恵まれない!)彼らの課題を、敢えてピックしたいと思った。

私は、プロコーチだから・・ネ。

やっばり、ゲームの「内実」にスポットを当てて考察するのがフェアだっちゅうことさ。

その内実で、もっとも目立っていたのは・・

何といっても、ゴール機会の量と質だよね。

その視点では、明らかに、小菊昭雄セレッソに、軍配が挙がるんだ。

でも彼らは、「エッ!?」って、誰もがフリーズするような絶対的ゴール機会を外しつづけた。

そんな(セレッソの)ゴール機会を観ながら、思った。

そう、相手にゴール機会を(安易に!?)創りだされてしまうトコロにこそ、いまのミハイロ札幌コンサドーレが抱える、結果を残せない根本原因がある・・ってね。

要は・・

中盤でのせめぎ合いもそうだけれど、肝心のトコロで、相手のシュートを抑え切れていない・・

そう、「最後の半歩」に課題があるって思うんだ。

最後の半歩・・

それは、ラストクロスやシュートの「ブロック」だけじゃなく、最終勝負プロセスに入った段階での、マーキングやカバーリングへの「イメージングの質」とも言える。

サッカーじゃ、やっぱり、ボールがないところで勝負が決まるんだよ。

だから、ラストパスを受ける相手パスレシーバー(フィニッシャー!)を、最終勝負シーンで、いかに効果的に抑えられるかが、テーマになるっちゅうわけだ。

そして、コンサドーレ選手は、そんな最終勝負シーンで、「様子見」になり、足を止めててしまうシーンがあった。

それじゃ、相手に、決定的ゴール機会を創りだされても、仕方ない。

また、イニシアチブを握るという視点で、ボール奪取プロセス(守備)での甘さが、目に付いた。

最前線から中盤にかけての、チェイス&チェック(寄せ)の徹底アクションが、チーム全体でシェアされていないとも感じていたんだ。

例えば、同点ゴールを、ヘディングでブチ込んだキム・ゴンヒ(そのゴールは素晴らしかった!!)。

また、最前線のガブリエル・シャビエルも。

彼らの、最前線からのチェイス&チェックが「お座なり」だから、「次」の中盤でのプレスも、十分に「効かない」。

だから、うまくセレッソの仕掛けプロセスを抑え切れず、ゴール前まで迫られてしまうシーンが、つづいた。

ことほど左様に、いまのミハイロ札幌コンサドーレでは、(最前線から連動する!!)ボール奪取プロセス(守備)での甘さが目に付いてしまうんだ。

もちろん、最終勝負シーンでの「最後の半歩」という視点も、含めてネ。

このところ、チト、ミハイロ札幌コンサドーレに対する、辛口のコメントがつづいているって感じる。

でも、それは、わたしの、「ミハイロ&北海道・愛」の故なんだ。

とにかく・・

ミハイロ札幌コンサドーレには、さまざまな意味での「意識と意志とイメージング」の内実を見つめ直し、攻守ハードワークとリスクチャレンジのエネルギーを充填して欲しいと願って止まない筆者なのだ。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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