湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第34節(2022年11月5日、土曜日)

 

素晴らしく美しい質実剛健サッカーで、最後の最後までリーグ優勝を争ってくれた、ケヴィン横浜マリノスと鬼木達フロンターレに対し、称賛と感謝の拍手をおくります・・(ヴィッセルvsマリノス、1-3)(FC東京vsフロンターレ、2-3)

 

レビュー
 
すごいテンション(緊張感)だった。

両チームともに・・

「ホーム最終戦だから変なサッカーは、できないっ!!」とか、「リーグ優勝の胴上げなんて、観たくないっ!!」とか、そんな意地もあったんだろうね。

あっと・・

もちろん、ヴィッセル神戸と、FC東京が、大パワーでブチかましつづけた、意地のことネ。

そんな、ホームチームの強烈マインド(意識と意志!)こそが、リーグ優勝を決める最終節マッチの「緊張感」を、これ以上ないほどに高揚させたっちゅうわけだ。

そして、だからこそ・・

リーグ優勝を争う両チーム(マリノスとフロンターレ)の、攻守にわたる、ボールがないところでの「主体性プレー」の量と質「も」、最高潮に高まっていったっちゅうわけだ。

そう、攻守ハードワークとリスクチャレンジを、自ら「探しまくる」っちゅう、根源テーマね。

とにかく・・

こんなハイテンションの(ハイレベルの!)勝負マッチは、そうそう観られるモノじゃない。

わたしの、手に汗にぎる意識と意志は、テレビ画面(神戸vs横浜)と、コンビュータ・ディスプレイ(東京vs川崎)に、最後の最後まで、深く、深〜く、惹きこまれつづけた。

ということで・・

両ゲームを、戦術的に分析するなんていうのは、まさに「ヤボの極み」ってなコトだね。

こんな極限テンションのゲームだから・・

その「内容と勝負の流れ」についちゃ、大雑把に追いかけるのが精一杯ってか〜〜っ・・

もちろん、たまには冷静になって、その「内実」にも目を向け、楽しんではいたけれど・・さ。

例えば・・

・・前述した、ホームの健全なモティベーションで、立ち上がりの時間帯は、少し押された、優勝を争う両チーム・・

・・でも、徐々に、ペースを握り返していった強者の両チーム・・

・・そんな、ゲーム変容の絶対ベースは、言わずもがなの、ボール奪取プロセス(守備)・・

・・とにかく・・

・・そのプロセスで、両チームが魅せた冷静な「忍耐」は秀逸だった・・

・・そして、機を見計らって爆発させる、自らを「冷静」に奮い立たせる「セルフモティベーション能力」には、拍手しかない・・

・・それこそが、真の強豪と、称賛される所以・・

・・また・・

・・一人退場になったにもかかわらず、忍耐の限りを尽くし、ワンチャンスを決め切って勝利をもぎ取った鬼木達フロンターレの、心理パワーの素晴らしさ・・

・・そして・・

・・シーズン終盤での、サッカー的な(!?)ブレーキによって、最終節までもつれ込んだけれど・・

・・最後は、立派に、本当に立派に勝ち切り(優れたサッカーで二つのリーグ戦に大勝!!)、リーグ優勝をもぎ取った、ケヴィン横浜マリノスの素晴らしさ・・

ということで・・

鬼木達フロンターレ、そしてケヴィン横浜マリノスに対して・・

日本サッカー人の一人として、心からの称賛と感謝を惜しまない筆者なのだよ。

この両チームが展開したサッカーには、様々なニュアンスで、日本サッカーを「正しく」牽引していけるだけの(牽引していくべき!!)コンテンツがあふれていた。

まあ、「J」全体を俯瞰(ふかん)してみても・・

最近では、こんなイメージ傾向が、充ち満ちているって感じる。

そう・・

・・素晴らしくクリエイティブな(創造性あふれる)ボール奪取プロセス(守備)の内実が、大きく底上げしている・・

・・そこで、もっとも重要な、「最後の半歩」というファクターのレベルも、うなぎ上り・・

・・最後の半歩というファクターには・・

・・決定的パスやクロス、はたまたシュートを「ブロック」するだけじゃなく・・

・・最終勝負プロセスでの、マーキング&カバーリングにおける、ギリギリの「勝負イメージング」というニュアンスも含まれる・・

・・そして、次の、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)じゃ・・

・・組織プレーと個の勝負プレーが、とてもハイレベルにバランスしている・・

・・もちろん、組織プレーでは・・

・・出して走る、出して動く(鬼木達のキャッチフレーズ!?)というイメージングを絶対ベースに・・

・・ワンツーを積み重ねるコトで成就させられ、相手守備のイメージングを翻弄する・・

・・ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションだって、頻繁に観られるようになっている・・

・・もちろん、人とボールの動きにも、確固たる「リズム」が感じられるようになっていきている・・

・・等など。

そんな、攻守の「戦術ファクター」という視点でも、リーグのレベルが、全体として、大きく進化&深化しているって感じるんだ。

あっと・・

「J」については、また別の機会に、文章をまとめようと思うので、今日は、こんなところで・・。

とにかく・・

素晴らしく美しい質実剛健サッカーで、最後の最後までリーグ優勝を争ってくれた、ケヴィン横浜マリノスと鬼木達フロンターレには、もう一度、称賛と感謝の拍手をおくります。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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