湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2022年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第6節(2022年4月2日、土曜日)
- セレッソ小菊昭雄は、とても良い仕事をしている・・とにかく、彼のゲーム戦術が、これ以上ないほど見事にツボにはまったゲームだった・・(フロンターレvsセレッソ、1-4)
- レビュー
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- へ〜〜っ・・
セレッソのプロコーチ、小菊昭雄は、とても良い仕事をしているじゃないか。
・・フロンターレに対して、守りから入ったら、完璧にやられてしまう・・
・・そうではなく、積極的にボールを奪い返すという前向きの姿勢を前面に押し出すことでのみ(主体性プレー!?)、勝機をつかみ取れる・・
セレッソ小菊昭雄が、ダゾンの試合後インタビューで、そんな素敵な内容をコメントしていた。
その小菊昭雄がイメージ創りをした、セレッソのサッカー内容だけれど・・
とにかく、(彼の発言どおり!)ボール奪取プロセス(守備)のイメージングが、チーム全体で、しっかりとシェアされ、実行されていたのが特筆ポイントだった。
小菊昭雄の(戦術マネージメントと!!)心理マネージメントのウデを感じる。
それも・・
そう、そんな積極的&攻撃的なボール奪取プロセスの勢いに、最後の最後まで、落ち着く気配など、微塵もなかった。
そして彼らは、奪い返した次の瞬間には、決定的チャンスを創りだしちゃう。
高い位置でボールを奪い返してからの、まさに「これぞ、ショートカウンター!!」ってな、勇気をもったスムーズな仕掛けから、どんどん加点していっちゃうんだ。
まあ、乾貴士がブチ込んだ2点目は、組み立てからの一発ウラ取りスルーパスだったけれど、それ以外のゴール機会は、小菊昭雄のゲーム戦術イメージどおりの展開だったのさ。
そう、小菊昭雄セレッソは、ゲーム戦術を基盤にした「イメージング通り」のサッカーを、忠実に、そして主体的に、全力でブチかましつづけたんだ。
そんな、セレッソが魅せつづけた素晴らしい「意志のサッカー」に、心からの拍手をおくっていた筆者なのでした。
対する、鬼木達フロンターレ・・
決してサッカーの内容自体が、地に落ちたわけじゃないよ。
単に、この結果が、「サッカーだから、こんなコトもあるさ・・」ってな現象だったっちゅうことだね。
でも、確かに・・
ショートカウンターから先制ゴールを奪われた後の、攻め上がるフロンターレの(次のボール奪取プロセスへの!?)組織バランスが・・
微妙だけれど、フィールド全体の、人数&ポジショニングバランスに、綻(ほころ)びが発生しているって感じた。
もちろん、その現象は・・
ボールを奪われた後の「チェイス&チェックやカバーリング」の勢いが、微妙にダウンしていたコト「も」要因の一つだったということだね。
そう、ボールを奪われた直後の「戻りアクション」に、いつもの勢い(強烈な意識と意志!)が乗らず、カバーリングが遅れ気味だった!?
まあ、その背景には、相手にリードを奪われたことで、意識と意志が「前掛かり」になり過ぎたっちゅう心理もあったんだろうね。
それと・・
小菊昭雄セレッソが敷くブロック守備の機能性が素晴らしかったことで・・
フロンターレが、「いつもの」リズムで、人とボールを動かせなかった・・という側面もある。
特に、ボールがないところでのサポートの動き(フリーランニング)・・
それが、シンプルに、足りない。
鬼木達が編み出したサッカー表現・・
・・出して走る、出して動く・・
それで演出される、素早く効果的なワンツーや、それを積み重ねる、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションなども、ほとんど観られず仕舞いだった。
とにかく、このゲームでは・・
小菊昭雄セレッソが、攻守にわたって、優れた「主体性プレー」を積み重ねていること・・
そして、王者、鬼木達フロンターレ「も」人の子だってこと「も」再認識させられた。
まあ、その鬼木達フロンターレだけれど・・
あれだけ「人」を海外へ送り出しているのに(そのことで日本代表を強化しているのに!!)、良い内容と結果を出しつづけている。
日本サッカー人の一人として、鬼木達には、敬意と感謝の思いでいっぱいです。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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