湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2023年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第1節(2023年2月17日、金曜日)
- 2023_J1_第1節・・素晴らしい内容が詰め込まれた、エキサイティングな動的な均衡マッチ・・両チームに対し、称賛と感謝の拍手をおくります・・(フロンターレvsマリノス、1-2)・・(2023年2月17日、金曜日)
- レビュー
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- イニシアチブが、あっちへいったり、こっちへきたり・・
両チームの実力が、高いレベルで拮抗しているからこそ、互いにゲームのペースを奪い合うってな、エキサイティング展開になったんだよ。
そう、まさに、動的な均衡マッチ・・
とはいっても、もちろん・・
ホームのフロンターレが、「2点ビハインド」を追いかけるゲーム展開だから、彼らが、ボール支配率で上回るのは、当然の成りゆきだよね。
より積極的、攻撃的に、ボール奪取プロセス(守備)をブチかましていくフロンターレ。
そして、それまで何度か「ゴール機会」までも創りだしていた後半ロスタイム、橘田健人が、「意地の追いかけゴール」をブチ込んじゃう。
でも勝負は、結局は「そこ」まで。
まあ、全体的なゲームの流れからすれば・・
私は、マリノスが、微妙な「チカラの僅差」で奪い取った「勝ち点3」ってな表現を支持しようかな。
もちろん、その「僅差」は、とても微妙なわけだけれど・・。
ボール奪取プロセス(守備)にしても、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)にしても・・
たとえば、ボール奪取プロセス(守備)。
そのファクターを、一つひとつ観てみても・・
攻守の切り替え(トランジション)では、まさに、互角・・
そこからの、チェイス&チェック(寄せ)の内実でも、互角・・
その「寄せ」だけれど・・
両チームともに、「行くトコロ」と「ウエイティングするトコロ」の、「メリハリ」の効いた「連動イメージング」という視点でも、やっぱり、リーグトップの実力を魅せつけた。
もちろんマーキングやカバーリングは言うに及ばず・・
また、「最後の半歩というファクター」でも・・
この「最後の半歩」については、いつも書いているように、相手の決定的ラストパス(クロス)やシュートをブロックするだけじゃなく・・
相手の次の「勝負」を予測する「イメージング能力」というニュアンスも含めるんだ。
吉田麻也とか富安健洋といった、日本を代表するディフェンダーは、この「読み」が素晴らしいんだよ。
だからこそ、フィジカル勝負の「局面デュエル」に持ち込まれても、巧く優位に立てる。
でも、そんな「最後の半歩というファクター」でも・・
マリノスにしてもフロンターレにしても、しっかりと機能しているんだ。
ということで・・
私は、マリノスが表現した、微妙な「チカラの僅差」を、「個の能力」に、見出すっちゅうワケさ。
皆さんも、ご覧になったように・・
後半になって出場したマリノス選手には・・
エドゥアルド、マルコス・ジュニオール、藤田チマ、ヤン・マテウス(彼は、チト弱気に過ぎるけれど・・サ!)なんて、豪華なメンバーなんだよ。
たしかに、フロンターレでも、大島僚太とかジョアン・シミッチといった、実績のある才能が、交替出場したわけだけれど・・
やっぱり、全体パフォーマンスでは、マリノスに軍配が挙がる。
また・・
何といっても、このゲームでは、「あの大天才」家長昭博のパフォーマンスが、悪すぎた。
彼は、フロンターレがブチかます、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)に欠かせない「有意な変化」を演出するリーダーなんだよ。
その家長昭博が、「アウト・オブ・フォーム」だった。
それが、決定的なネガティブポイントだったという印象が、強く残ったんだよ。
たしかにフロンターレも、依然として、リーグトップの実力チームではあるさ。
でも、この試合では、マリノスのチームパフォーマンスに、微妙に、一日の長を感じさせられたっちゅうわけさ。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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