湯浅健二の「J」ワンポイント


2023年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第12節(2023年5月6日、土曜日)

 

この完勝のウラに潜む、目立たない「実効ファクター」を、繰り返し、反芻して欲しい・・それは、確実に、ホンモノの勝者メンタリティーを増幅させる・・(コンサドーレvsFC東京、5-1)

 

スギョかったネ〜、ミハイロ札幌コンサドーレ。

彼らが魅せつづけた、積極的&攻撃的な、ダイナミック主体性サッカー。

ボール奪取プロセス(守備)でも、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)においても。

アルベル東京は、手も足も出なかった。

あっと・・、それはちょっと言い過ぎかも。

彼らだって、アダイウトンを中心にした「個の勝負」や、カウンターからのチャンスメイクで・・

何度か、チャンスの芽は発芽させられた。

とはいっても、全体としてのサッカー内容では、ミハイロ札幌コンサドーレが、凌駕したコトだけは、確かな事実だった。

特に・・

スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが、珠玉の美しさを魅せつづけていた。

彼らは、ボールの、次、その次の「動き」まで、しっかりとイメージングできているんだよ。

だからこそ、2人目、3人目のフリーランニングにも、確信の「意志」が感じられた。

もちろん、ボール奪取プロセス(守備)でのハードワークは、言うまでもないけれど・・

スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、イメージシンクロ・レベルも、とても高質だった。

そう・・

仕掛けイメージングを、ボールの動きと周りのチームメイトの動きを「リンク」させるコトこそが、ミハイロ・ペトロヴィッチのウデの真価だと思うわけさ。

それも・・

そのイメージングは、決して「ステレオ・タイプ」じゃ、ない。

そう、カタチではなく、選手たち自身が、瞬間的に創りだしたイメージングの連鎖なんだよ。

すべてが、選手たちが、瞬間的にアタマに描くイメージングに拠る。

そう、だからこそ、主体性プレーの積み重ね。

選手たちが創りだすイメージングに基づいた「主体性プレー」・・

それは、監督の心理マネージメントにおける、もっとも重要なファクターである、選手たちの、心理・精神的な「解放」という環境がととのっているからこその成果なんだ。

そう、その成果を、効果的に導き出しているのが、ミハイロのウデのウデっちゅうわけだ。

それが、チームの雰囲気を、限りなく「解放」することの、成果としてのコノテーション(言外に含蓄される意味)ね。

とにかく・・

ミハイロ・ペトロヴィッチと、コーチの杉浦大輔は、ものすごく良い仕事をしていると思うよ。

札幌・北海道コンサドーレを、ホンモノの「実力チーム(強豪)」と呼べるまでに進化&深化させているわけだからね。

同じサッカー仲間として、心からの称賛と感謝の拍手をおくります。

あっと・・

そのミハイロ札幌コンサドーレが、大量リードを奪ってからのボール奪取プロセス(守備)。

そこでも、彼らは、これまでの課題を払拭するに十分なパフォーマンスを魅せた。

そう、決してチカラを抜くのではなく、あくまでも、守備ハードワークに全力を傾注したんだ。

素早く、効果的な攻守の切り替え(トランジション)、チェイス&チェック(寄せ)、局面デュエルの内実、マーキングやカバーリング、そして「最後の半歩というファクター」。

それらすべてで、今日の彼らが魅せたパフォーマンスは、称賛に値する。

特に・・

そう、ボールがないところでのマーキングやカバーリングの内実がすばらしかった。

そこでは、点差なんて関係なく、全員が、「仕事」を探しつづけ、そして責任感と勇気をもって、実効レベルの高いプレーを魅せつづけたんだ。

わたしは、そのポイントが、とても価値ある「学習」だったと思っている。

そう・・

これまでのミハイロ札幌コンサドーレでは、何度、良いサッカーをやっているのに、「ちょっとしたトコロ」で、気抜けになり、失点してしまうというシーンを体感させられたコトか。

そんな「隠された勝負ポイント」という視点で、今日の、大量リードを奪ってからのサッカー内容こそが、次、その次につながる、素晴らしい成果だったと思うわけさ。

とにかく・・

ミハイロ・ペトロヴィッチと、杉浦大輔コーチに対しては、もう一度、心からの称賛と感謝の拍手をおくります。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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