湯浅健二の「J」ワンポイント


2023年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第19節(2023年6月30日、金曜日)

 

両チームの強者ども、そして両監督に対し、称賛と感謝の拍手をおくります・・よい勝負マッチだった・・堪能させてもらった・・(セレッソvsアビスパ、0-1)

 

優れたプロコーチ、長谷部茂利は、ホントに良い仕事をしている。

まあ、たしかに前節のヴィッセル戦じゃ、「あの」個の天才連中にやられちゃったけれど・・

それでも、そこで魅せつづけた、優れた質実剛健サッカーは、見応え十分だった。

そして・・

そう、このゲームでも、その美しい質実剛健サッカーに確かな「内実」が詰まっていたって、再認識させてくれた。

たしかに、前節のヴィッセル戦で、スーパーな存在感を魅せた紺野和也が、目を負傷してしまったけれど、交替して入った佐藤凌我も、しっかりと、攻守にわたって、立派に闘った。

佐藤凌我については、ヴェルディ時代から知っているから、彼の活躍は、嬉しい限りだった。

そして・・

そう、一点を追いかけるセレッソが、ギアを上げてきた残り20分の攻防。

そこでも長谷部茂利アビスパは、簡単には、スペースを攻略させなかった。

そのアビスパの、ボール奪取プロセス(守備)だけれど・・

素晴らしかったのは、ボール絡みのアクション(局面デュエル)に、しっかりと周りが「イメージング連動」していたコトだった。

そう、効果的なマーキング&カバーリング、協力プレスの集散など。

その中心にいたのが、言わずと知れた、井手口陽介と前寛之のダブルボランチ。

たぶん・・

彼らの「指示」が、効果的な「背後の神の声」になっていたんだろうね。

いや・・

アビスパ選手たちの、攻守にわたる、優れた「主体性プレー」を観ていたら、そんな「背後の神の声」なんて、必要ないかもしれないって感じるよ。

もちろん、タイムアップ間際の時間帯では、ボールがないところでの「守備の連動アクション」は、疲労から(!?)余裕をもって機能しなくなっていった。

それでも彼らは、最後の最後まで、立派に闘い、ネバリの勝利をもぎ取ったんだよ。

とにかく・・

相手が、「あの強い」小菊昭雄セレッソだからこそ、この勝ちには、特別の意味が込められていたと思う。

それも・・

一点を追いかけるセレッソが、ガンガン攻め込んでくるのを、忠実に、そしてクリエイティブに(連動ディフェンス)、しっかりと抑え切ったわけだから。

この勝利は、長谷部茂利アビスパにとって、(自分たちが志向するベクトルに対する!?)自信と確信レベルを深めるという意味でも、とても大きな価値があったと思う。

何せ・・

前節のヴィッセル戦と同様に、攻守にわたって、サッカー内容で、相手を凌駕する時間が長かったわけだからね。

その絶対ベースは、(繰り返しになるけれど・・)もちろんボール奪取プロセス(守備)の内実。

忠実な寄せ(チェイス&チェック)は、もちろんのコト、その「スイッチ」に呼応するような、マーキング&カバーリング、協力プレスの集散の機能性も、抜群だった。

だからこそ、次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)のダイナミズムもアップさせられる。

そう・・

ボールがないところでのアクションの量と質を、その直前のボール奪取プロセス(守備)でのボールがないところでのアクションの量と質を「イメージング・ベース」に高揚させられたんだ。

とにかく・・

2節つづけて、長谷部茂利の、優れた仕事ぶりを確認させてもらった。

やっぱり・・サ。

攻守にわたって、積極的&攻撃的にプレーする「主体的な姿勢」こそが、全てなんだよ。

そんな、攻守にわたるリスクチャレンジの態度があれば、必ず、実のある進化&深化が得られる。

不確実なサッカーは、自由なボールゲーム。

だから、いくら「勝つ確率が高い」とはいっても、低次元の「戦術サッカー」を徹底させるなんて、愚の骨頂なんだ。

それは、まず、選手たちの「プレーする喜び」を殺いじゃうでしょ。

その「喜び」がないところに、決して、進化&深化もないっちゅうわけさ。

そう、だからこそ、優れたプロコーチは・・

選手たちのマインドを「解放」し、自ら、考え、工夫する姿勢を絶対ベースにする「主体性プレー」を発展させられるモノなんだ。

もちろん、その意味で、小菊昭雄も良い仕事をしている。

両監督に、サッカーの仲間として、称賛と感謝の拍手をおくります。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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