湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2023年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第20節(2023年7月7日、金曜日)
- アルビレックスが魅せたダイナミックな質実剛健サッカーと、ヴィッセルが魅せた堅いボール奪取プロセス(守備)に舌鼓をうっていた・・(アルビレックスvsヴィッセル、0-1)
- 金曜日のナイトマッチ・・
新潟デンカビッグスワンスタジアムには、数百人のヴィッセルサポーターの方々も含めて、2万7000人が詰めかけたという。
素晴らしい・・
そして、アルビレックスのサッカーを観たら、「そりゃ、そうだ」って、腑に落ちた。
アルビレックスは、魅力的な、積極的&攻撃的サッカーをブチかましているんだから。
やっぱりサッカーでは、攻守ハードワークと、リスクチャレンジあふれるハイレベルな「主体性プレー」こそが、魅力の本質なんだと思う。
もちろん、個の「天才プレー」というスパイスが、「そのベース」にプラスされりゃ、言うことなし。
とにかく・・
そう、この試合でも(勝利を収めた前節サンフレッチェ戦でも!)、アルビレックスは、とてもハイレベルな質実剛健サッカーを展開したんだよ。
そして、それこそが、観客の皆さんにとっても、「次」の観戦モティベーションを高揚させる、魅力(価値)っちゅうわけだ。
まあ、たしかに、結果は、惜敗に終わってしまったけれど・・
そのプロセスには、人々を感動させる「意識と意志パワー」が詰め込まれていたんだよ。
監督の、松橋力蔵は、とても良い仕事をしている。
ということで、試合・・
ピックしたいテーマは、ゲームの流れの変容と、そのバックボーンかな。
とにかく、前半の立ち上がりから決勝ゴールをブチ込まれるまで・・
まず、ヴィッセルが、全体的にイニシアチブを握ったんだ。
それが、徐々に変容していき・・
そしてゲームが終わるまで・・
アルビレックスが、ゲームを掌握し、必死に同点ゴールを追い求めつづけたんだ。
あっと・・
そこじゃ、1本だけ、ヴィッセルが、完璧なゴール機会を創りだしたっけ。
後半62分。
佐々木大樹のグラウンダークロスを、武藤嘉紀がスルーし、背後にポジショニングしていた天才、大迫勇也が、ダイレクトで叩いたシュート場面。
アルビレックスGK、小島亨介に、ギリギリで防がれちゃったけれど・・
それは、この試合で、ヴィッセル神戸が創りだした、(先制ゴールシーン以外の!)もう一つの決定的ゴール機会だった。
それ以外では、ゴール前での「エキサイトメント」の主役は、アルビレックスだった。
とはいっても・・
たしかにアルビレックスは、枠内シュート数が「16」っちゅう、素晴らしいスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を魅せたけれど・・
それらの枠内シュートが、ホンモノの「ゴール機会だったか」といったら・・
う〜ん・・
決定的なゴール機会という意味では、前半に創りだした2〜3本のシュートの方が、可能性は高かったね。
そうなんだよ・・
とても魅力的に人とボールを動かしながら、ギリギリのクロスボールなどダイナミックに「攻め込む」アルビレックスだったけれど・・
それに輪を掛けて、ヴィッセルのボール奪取プロセス(守備)が、堅かったんだ。
彼らが魅せつづけた、チェイス&チェック(寄せ)、マーキング&カバーリング、局面デュエル、協力プレスの集散といった「連動ディフェンス」は、普通に、素晴らしかったけれど・・
それ以上に、最後の半歩というファクターも、とても秀でていたんだ。
ダゾン試合後インタビューで、ヴィッセル監督、吉田孝行も、こんなニュアンスの内容をコメントしていたっけネ。
・・選手たちは、「あの」強烈なアルビレックスの仕掛けに対して、本当に、よく最後まで頑張って闘ってくれた・・
・・彼らには、感謝しかない・・
いいコメントだね〜・・
そこでは、いかに吉田孝行が、選手たちの「主体性」を大事にチーム作りしているかが感じられる。
実際、「最後の半歩ファクター」として、もっとも大事な・・
自ら考え、工夫し、勇気をもって決断して実行していく・・といった、主体的な「意識と意志パワー」が、素晴らしかったんだ。
そんな、ハイレベルな主体性プレーこそが、吉田孝行の「良い仕事」が結実した素晴らしい結果っちゅうわけさ。
あっと・・
その意味じゃ、アルビレックスの松橋力蔵も、優るとも劣らない、素晴らしい「心理マネージメント」を魅せたよね。
そう、だからこそ選手たちは、自ら攻守ハードワークとリスクチャレンジを「探しまくる」ような、究極の「主体性プレー」を、最後の最後までブチかましつづけられたんだ。
とにかく私は、このゲームを・・
そんな「選手たちの主体性」という視点でも、心から堪能していた。
両チームの強者どもと、両監督に、同じサッカー人の仲間として、心からの称賛と感謝の拍手をおくります。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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