湯浅健二の「J」ワンポイント


2023年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第4節(2023年3月11日、土曜日)

 

イニシアチブが結果につながらないなど、チーム力の「差」が、どんどん縮まっている「Jリーグ」・・マチェイ浦和レッズは、これからも、こんな厳しい勝負マッチを、主体的に闘っていかなきゃいけない・・(ヴィッセルvsレッズ、0-1)

 

レビュー
 
このゲームで採りあげるポイントは、やっぱり、両センターバックかな・・

そう、マチェイ浦和レッズの、アレクサンダー・ショルツと、マリウス・ホイブラーテン。

高さはもちろんのこと、足許でも、強い、強い。

また、忠実マーキングやカバーリングでも、無類の「実効レベル」を魅せる。

ダゾン解説の、水沼貴史も言っていたけれど・・

とにかく、主体的に、仕事を探しつづけるプレー姿勢が、もう抜群。

水沼貴史は、レッズのセットプレーから戻るとき、ホイブラーテンが、しっかりと、相手のボールの動きを確認しながら走っていた・・って言っていた。

そう、まさに、その通り。

ボール奪取プロセス(守備)では、何といっても、イメージング能力(次の展開を読むチカラ!?)こそが、問われるんだ。

その実効レベルが高ければ、水沼貴史が言っていたように、次、次、その次の展開を、しっかりと「イメージング」できるんだよ。

まあ、水沼貴史は、「真面目だな〜〜」なんていう表現を使っていたけれど・・さ。

そう・・ね、マリウス・ホイブラーテンは、「真面目」に(積極的&攻撃的)に、「仕事」を探しつづけているっちゅうコトなんだろうね。

仕事 = ハードワーク・・ね。

あっと・・

このゲームについちゃ、やっぱり・・

後半、ガンガン仕掛けてくるヴィッセルの、スペース攻略プロセス(攻撃)を、抑えつづけた、マチェイ浦和レッズのボール奪取プロセス(守備)の、効果的な内実を採りあげざるを得ない。

まあ、たしかに、大迫勇也のミドルシュート、汰木康也のドリブル突破、またCKやショートカウンターからのピンチとか、何度かは、危ないシーンはあったけれど・・

でも、全体的には、しっかりと守り切った・・って、高く評価できる。

そこでは・・

最前線プレイヤーたちのチェイス&チェック(寄せ)を絶対ベースに、周りのチームメイトたちが、一人の例外なく、次、その次の「勝負」をイメージしつづけていたコトも大きい。

だからこそ、ヴィッセルは、うまく(組織的に!)スペースを突いていけなかった。

また、数少ない、スペースを攻略されたピンチシーンでも・・

そう、そこからのクロスやラストパスを、ことごとく、前述の、マチェイ浦和レッズのセンターバックコンビが、はね返しちゃうっちゅうわけだ。

このセンターバックコンビの、抜群の充実パフォーマンス。

わたしは、「それ」が生み出す、チーム全体への「自信と確信」こそが、この二人が創りだす「価値」の、隠れた本質だと思っているのサ。

そう、だからこそ、周りのチームメイトも、しっかりと、ボール奪取プロセス(守備)での「仕事」を、積極的&攻撃的に探しつづけられる。

そして、だからこそ、ボール奪取プロセス(守備)において、もっとも重要なファクターである、連動性(協力プレスへの集散)のレベルも、アップさせられる。

あっと、ゲーム全体の、マチェイ浦和レッズの評価だけれど・・

わたしは、前半におけるサッカー内容こそが、マチェイ浦和レッズの全体フォームが「昇り龍」の基調にあるコトの証だったと感じていた。

前述した、とてもアクティブで効果的なボール奪取プロセス(守備)を絶対ベースに・・

次の、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でも、人とボールの動きを加速させるなかで、それがあるからこその「個の勝負」も、スムーズで、効果的にブチかましていけた。

決勝ゴールのシーン・・

マリウス・ホイブラーテンからの、一発ロングフィード。

それを、うまくフリーになった大久保智明が、「次」を正確にイメージして、ヘッドで落とすんだよ。

その、親切なバックパスを、押し上げていた伊藤敦樹が、ダイレクトでブチ込むんだ。

このゲームでの大久保智明は、ドリブル突破だけじゃなく、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションでも、何度も、美しいチャンスを創りだしたよね。

あっと、先制&決勝ゴール・・

大事なポイントは、このシュートを決めたのが、ボランチの伊藤敦樹だったという事実。

皆さんもご覧になった通り、マチェイ浦和レッズでは、選手たちが、まさに縦横無尽にポジションチェンジを繰り広げる。

もちろん・・

選手たちが「共有している」ポジショニングバランスが、うまく機能している。

選手たちの話し合いのなかで「練られてきた」コンビネーション・・

だからこそ、その「実効レベル」は、主体的であるからこそ、ホンモノだ。

その、主体的なコンビネーションイメージ・・

例えば、サイドバックとサイドハーフのタテのポジションチェンジとか・・

例えば、ハーフ(2列目)とボランチのタテのポジションチェンジとか・・

そんな、「仕掛けの変化」は、もちろん、次のボール奪取プロセス(守備)での相互信頼がなければ、決して、うまく機能しない。

そう、その相互信頼があるからこそ、チームのなかで(具体的には・・選手たちのあいだで!)、しっかりとコミュニケーションが執れているっちゅうわけだ。

そりゃ、そうだ・・

いくら上手くても、才能があっても、サボるヤツは、決して信頼されないから・・ね。

そして「それ」こそが・・

マチェイ浦和レッズが、負けていたときに指摘した、「光明」の本質的なファクターだった。

たしかに、まだまだ、チーム全体での「攻守イメージング」が、最高にシェアされていない(シンクロしていない!?)ってな感覚は、残っているけれど・・

それでも、選手たちの、攻守にわたる、積極的&攻撃的な「主体性プレー」の内実を観れば、このチームは、これから、本格的に良くなっていくって、確信できるんだよ。

さて、次の相手は、「あの強い」フロンターレを、内容と結果で上回ったアルビレックス新潟。

ビックリするくらい、チームとしてまとまっているアルビレックス。

どんな、ホーム勝負マッチになるのか・・

いまから、楽しみで仕方ありません。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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