湯浅健二の「J」ワンポイント


2023年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第7節(2023年4月8日、土曜日)

 

素晴らしく充実した、積極的&攻撃的サッカーを魅せていた横浜FCが、ここまで落ち込んでしまった経緯に、大いに興味を惹かれた・・(マリノスvs横浜FC、5-0)

 

レビュー
 
「横浜FCね〜〜・・後半2分の初失点から、集中が途切れてしまったというかネ〜〜」

エネーチケー解説の、木村和司が、ゲーム総評を聞かれ、そんな玄人好みの内容を、ポツリと(ってな雰囲気で!?)語るんだよ。

その、短く、唐突な言い回しに、玄人の雰囲気が、あふれていたモノさ。

それに対して、私は・・

・・そう、まさに、その通りっ!!・・

・・ってな感じで、アグリーだった。

サスガに、木村和司だ・・

その後半2分の失点シーンだけれど・・

ペナリティーエリア付近で、ボールを蹴り出そうとした和田拓也が、マルコス・ジュニオールに、「チョンッ!!」とボールを奪われちゃったんだ。

そして、そのボールが、あろうことか、直接アンデルソン・ロペスの足許へ・・

マルコス・ジュニオールは、もちろん、「チョンッ!」の直後に、パス&ムーブで、決定的スペースへフルスプリント。

そこへ、アンデルソン・ロペスから、ダイレクトで、ラストパスが通されたっちゅう次第。

横浜FCの守備ブロックは、それで、万事休した。

ところで、その先制ゴール(失点)までの横浜FCだけれど・・

わたしは、監督の四方田修平が、ホントに、よい仕事をしているって感じていたんだよ。

それほど、「あの強い」ケヴィン横浜マリノスを、内容で、凌駕していたんだ。

ボール奪取プロセス(守備)でも、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)においても・・

こんな良いサッカーをするチームが、なんで、ランキングで「ボトム」なんだ・・??

でも・・

そんな疑問符は、その後のゲーム展開を観ながら、すぐに合点がいった。

そう、木村和司が言ったように、集中が、途切れちゃったんだよ。

もちろん、ボール奪取プロセス(守備)においてね。

その、集中の「途切れ」だけれど・・

まず、リードされたことで、チーム全体が攻め上がっていくよね。

でも・・

ボールを奪われた瞬間における、攻守の切り替えが、ほんのチョットだけ、鈍くなる。

また、前線からのチェイス&チェック(寄せ)の勢いにも、少しだけ、陰りが見えはじめる。

もちろん、局面デュエル、マーキングやカバーリングも甘くなる。

そして、もっとも集中力が問われる、最後の半歩というファクター。

最後の半歩・・

それは、ラストパスやクロス、そしてシュートを「ブロック」するだけじゃなく・・

相手の最終勝負に対する、「イメージング(読みや予測)」の内実をも、意味するんだ。

相手の最終勝負を止めるためには、その「最後の半歩イメージング」をベースにした、極限の能動アクションの内実が問われるんだよ。

・・どこが、最終勝負スボットになるか・・

・・相手は、ソコを、どのように攻略しようとしているか・・

・・相手の誰が、爆発ダッシュで、その決定的スペースを突こうとしているか・・

・・等など。

でも、一点を失ってからの横浜FCのボール奪取プロセス(守備)の内実は・・

徐々に、全てに「甘く」なっていったんだ。

マーキングやカバーリングの「間合い」が甘い・・

もちろん、チェイス&チェック(寄せ)も甘くなっていく・・

そんなだから、もちろん、局面デュエルでも、マリノスの後塵を拝しはじめる・・

そして、もっとも致命的なのが、「意識と意志パワー」のレベルの、ダウン症状なんだ。

最初のマリノスゴールの後から奪われた、4失点だけれど・・

読みや予測ベースで、忠実&ダイナミックに守備アクションに入っていたら(もちろん、ダイナミックに身体を投げ出してね!!)、少なくとも、そのうちの3点は、防げたと思う。

そう、横浜FCが、前半で魅せつづけた、積極的&攻撃的サッカーのようにね。

わたしは、彼らのゲーム内容を、すべてフォローしているわけじゃないけれど・・

現在の、良くない成績の背景には、そんな微妙な、プレー内容のダウンがあるように感じる。

だから、わたしは・・

今日の横浜FCのサッカーを観ながら、サッカーの根源メカニズムに思いを馳せたモノさ。

そう、不確実なサッカーは、究極の「心理ボールゲーム」だってね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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