湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2023年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第7節(2023年4月9日、日曜日)
- こんな素晴らしい、ギリギリの、動的均衡マッチをデモンストレートしてくれた両チーム選手諸君と、両監督に、称賛と感謝の拍手をおくります・・(グランパスvsレッズ、0-0)
- レビュー
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- ダゾン実況の、下田恒幸さんが、ゲームを総括して、こんなコトを言った。
・・好調同士の(ギリギリの!?)せめぎ合いだったな〜と感じさせてくれるゲームでした・・
フムフム・・
その全体感想に、アグリーです。
互いに、イニシアチブを奪い合う、動的な均衡マッチ・・
そして、何といっても・・
そう、互いに、ものすごく実効レベルの高いボール奪取プロセス(守備)を絶対ベースに、しっかりとゴール機会も創り出しつづけたコトが特筆だった。
そのゴール機会は、量的にも、質的にも、まさに互角だった。
その事実には、様々なコノテーション(言外に含蓄される意味)が込められているんだ。
要は・・
互いに、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)で、しっかりと、危険なリスクチャレンジを、ブチかまし合ったっちゅうコト。
もちろん・・
次のボール奪取プロセス(守備)へは、全力で戻るし、局面デュエルでも、決して負けない。
両チームともに、攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢が、素晴らしかったんだ。
グランパスでは、そんな「闘うマインド」を象徴していたのが、闘う意志の塊、米本拓司。
その忠実&ダイナミックなボール奪取プロセス(守備)には、アタマが下がった。
ところで・・
わたしは、そんな強烈な意志が込められた勝負アクションを、「爆発」って表現するんだ。
たまに、才能にかまけて、攻守ハードワークで「爆発」しない選手を見掛ける。
ホント、不快だよね。
もちろん彼らが、ディエゴ・マラドーナやメッシ、ムバッペといった「歴史に残るタレント」に恵まれていたら、周りのチームメイトたちも、テメ〜のために、彼らへ「奉仕」するでしょ。
でも、事実、そんなタレントの多くが、チームのモラルを減退させる要因に成り下がっているっちゅう現実があるんだ。
そして、最後は、歴史に残ることなく、寂しく、舞台を去っていく。
まあ、残念だね。
あっと、ゲーム・・
そこで、ビックしたかったテーマは、一つだけ・・
それは、両チームの、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)へ取り組んでいく「全体ピクチャー」に、差異があった・・という事実。
長谷川健太グランパスでは・・
言うまでもないだろうけれど・・
スピード、高さ、突破力、チャンスメイク力、決定力などに抜群の才能を秘めた、スリートップが、抜群の存在感を、放散しつづけている。
キャスパー・ユンカー、マテウス・カストロ、そして永井謙佑。
もちろん、周りのチームメイトたちは、そんな彼らの「個の才能」を、(チームのため、テメ〜らのために!)活用し「切ろう」ってなイメージに徹する。
米本拓司や稲垣祥、森下龍矢、内田宅哉たちネ(あっと両サイドのウイングバックも!)。
対するマチェイ浦和レッズ・・
彼らは、あくまでも、組織的に、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を繰り出していく。
そこでの人とボールの動きは、もう秀逸。
そして、スペースを攻略したら(ある程度フリーな選手を創りだせたら!)・・
「組織」だけじゃなく、大久保智明に代表される「個のドリブル勝負」も、ブチかましていく。
いまのマチェイ浦和レッズには、攻守にわたって、とてもうまく「バランス」したチーム戦術イメージが浸透しているって感じる。
でも、一つだけ・・
今日、J-1デビューを果たしたスペイン人、ホセ・カンテ。
前回ルヴァンカップでも、そうだったけれど・・
彼のプレーには、攻守にわたって、まったく「爆発」が、感じられない。
たしかに、局面でのテクニック&スキルには、みるべき価値はありそうだけれど・・
それでも私は、長谷川健太グランパスの、マテウス・カストロ、永井謙佑、また交替出場したターレスなど、彼らの「爆発」を観ながら・・
・・カンテには、「ホンモノの闘う意志」が感じられない・・
・・なんて、不満タラタラだった。
どうもレッズ攻撃陣は、外国人プレイヤーに恵まれていない・・!?
まあ、ダビド・モーベルクについては、まだまだ、期待は残っているけれど・・さ。
あっ、スミマセン・・
ネガティブ・コメントになってしまって。
とにかく、彼らには・・
ホンモノの「爆発」を要求したい。
そのコトが言いたかった。
彼ら「も」、それによって、大いなる進化&深化を(そのキッカケ感性!?)を、得られるハズだから・・
わたしは、名だたる、世界のレジェンドプロコーチから、その「バックグラウンドの事実」を、存分に叩き込まれたんだよ。
だからこそ・・
あっと・・
とにかく、両チームには(長谷川健太とマチェイ・スコルジャには!)、こんな素晴らしいゲームをデモンストレートしてくれて、同じサッカー人として、称賛と感謝に堪えません。
お疲れ様〜〜・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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