湯浅健二の「J」ワンポイント


2024年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第10節(2024年4月27日、土曜日)

 

横 内昭展ジュビロが魅せた、最高レベルの「粘性」・・もちろん「それ」は、相手のゼルビアが強かったからに他ならない・・そのゼルビアの勝負強さは、どんど ん充実している・・また、その発展プロセスに、美しさや魅力のエッセンスが備わっていけば!?・・(ジュビロvsゼルビア、2-0)

 

レビュー
 
超絶の徹底(戦術)サッカー・・

もう何回か、コラムでアップしたけれど・・

私は・・

ゼルビアが、アンチフットボールをやっている、などと言おうとは、思わない。

たしかに、「失点をしない・・」、決して「負けない・・」、要は、「勝つことだけ」を目指しているってな「考え方」に対しては、苦々しく思うことはあるけれど・・さ。

ただ、そんなゼルビアだけれど・・

昇格した今シーズンは、移籍プレイヤーが充実したこともあって(!?)、より、「美しい質実剛健サッカー」のベクトルへ、近づこうとしているって感じる。

まあ、それにゃ、私自身の「希望的観測」ってな側面もありそうだけれど・・。

そんなゼルビアだけれど、やっぱり、今でも・・

絶対に、失点しない、負けないってな感じの、超絶の徹底サッカーという(そのタイプの!?)方向性には、こだわりつづけているみたいだよね。

特に・・

局面デュエルでの、「意識と意志パワーの炸裂」には、特筆の実効レベルがある。

そう、決して、相手を「行かせない」という「競り合い」に対する「こだわり」が、尋常じゃないんだ。

「行かれそう」になったら、その瞬間、ものすごいパワーで、身体全体を駆使する、フルパワーのアタックをブチかますんだよ。

だから、ファールは多い。

そうなんだよ・・

ゼルビアのサッカーでは、そんなメンタルパワーこそが、絶対バックボーンなんだ。

そう、「寄せ・命」ってな強いメンタルこそが、ボール奪取プロセス(守備)の実効性をベースにした「勝負強さ」を、支えていると思うわけだ。

エネーチケー解説の、早野宏史も、語っていたけれど・・

とにかく、攻守の切り替えが(メンタルパワー)が、素晴らしく素早く、効果的。

それは・・

守備への「戻り」ばかりじゃなく・・

スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でのカウンターの流れに、パワー与える。

そう、守備にはいった瞬間での、素晴らしいサポートパワー・・ね。

また、超絶の徹底サッカーは、カウンターだけじゃなく・・

シンプルなタイミングとコースの、ロングボール(放り込み)も、ある。

ターゲットは、言わずもがなの「オ・セフン」。

194センチに、93キロという、レベルを超えたパワフルな、巨漢フットボーラーだ。

彼は、大きいだけじゃなく、「足許」もしっかりしているから、ポストプレーでも存在感を発揮する。

そして・・

「放り込み」が、送られたら・・

いや、それが「入りそう」になった瞬間には・・

オ・セフンのヘディングからの「こぼれ球」を狙うゼルビア選手が、アクションを起こすんだ。

そう、セカンドボールを、相手ゴール付近で「支配」すれば、ものすごく危険なゴール機会を創りだせるわけだからね。

ということで、彼らの、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)では・・

前述した、大パワーの押し上げ、意図をもった放り込みと、「それ」を完璧にイメージングした、シンクロ・アクションなどなどが、特筆のカタチ(イメージング・シンクロ)を形成しているんだよ。

攻守にわたって、そんな「イメージング」を、「超」がつくほどの徹底度で、繰り返すゼルビア。

昔、わたしの師だった、ドイツのレジェンド、ヘネス・ヴァイスヴァイラーが、こんな教えを、個人的に授けてくれたことがある。

・・いいか・・

・・どんなサッカーでも、チーム全体が、攻守の目的と、そのプロセスを深く理解・共有し、徹底したら、チームは、強くなるものなんだ・・

・・もちろん、才能プレイヤーがいれば、それを、チームワークのなかで、徹底的に活用するコトは言うまでもない・・

・・そんな組織と個のバランスこそが、オレたちの、仕事なんだ・・

・・でも、守ってカウンターってな、低次元のサッカーじゃ、サッカーの美しさを壊すだけだ・・

・・そうではなく、攻守にわたって、チーム内で、創造的イメージングをシェアし、効果的に実行していく・・

・・そう、全員が、共通のピクチャーを描いて、積極的&攻撃的にプレーするんだ・・

・・そうすれば、おのずと、チームは強くなるし、サッカー自体も、魅力的になるモノなんだ・・

ゼルビアがブチかましつづける、超絶の徹底サッカーを、観ながら・・

そんな、ヘネスの言葉を思いだしたモノさ。

でも、やっぱり、彼らのサッカーには、美しさや魅力のエッセンスが、「まだ」十分じゃない。

もしかしたら彼らは、これから、本当の意味で、美しい質実剛健サッカーを魅せてくれるようになるのかもしれない。

このところ、そんなディスカッションに「も」興味が、湧いてきているんだよ。

あっと、最後に・・

素晴らしく、粘り強いサッカーで、徐々に、サッカー内容(質)をアップさせ(徐々に、自信と確信レベルがアップしていった!?)、最後は、立派に勝ち切った、横内昭展ジュビロ。

わたしは、彼らに、同じサッカー仲間として、心からの称賛と感謝の拍手を、おくります。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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