湯浅健二の「J」ワンポイント


2024年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第12節(2024年5月6日、月曜日)

 

勝ったから・・横内昭展ジュビロのアドバンテージにスボットを当てた・・それは、これから城福浩ヴェルディが挑む、課題でもあるわけだからネ・・(ヴェルディvsジュビロ、3-2)

 

レビュー
 
相手は、優れたプロコーチ、横内昭展が率いる、強いジュビロ・・

だから、イニシアチブが、揺動するのも道理・・

・・というか、全体的にみたら、横内昭展ジュビロに、「イニシアチブの流れ」という視点で、一日の長があったとするのがフェアだと思うよ。

特に、最終勝負の流れ。

要は、仕掛けプロセス内容の、優位さ・・ね。

ヴェルディは、あくまでも、オーソドックスに、人とボールを動かしながら、クロスや、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで、仕掛けていく。

もちろん、その流れに、チャンスを見計らった、個の勝負も、効果的にミックスしていく。

対するジュビロは、ペイショット、ジャーメイン良という、空中戦に、強烈なインパクを与えられる「武器」を擁している。

そして横内昭展は、その「武器」を、戦術的に「有効」に、活用し切ろうとする。

そうなんだよ、単なる「放り込み」や、そこからの「セカンドボール」狙いといった「イメージング」だけじゃなく・・

彼らは、ボールを、左右に展開することで、ヴェルディ最終ラインの「守備イメージング」を翻弄するんだ。

いや、「翻弄」というのは、チト言い過ぎかな・・

とにかく、クロスボールを送るシチュエーションを、しっかりとイメージ創りしているんだよ。

だから、「クロスを上げる状況」に、うまく変化を加えることで、中央の、ペイショットとジャーメイン良に対する「タイト・マーク」を、出来るだけ「はがす」っちゅうわけだ。

そして、そんなシチュエーションを創りだし、そこに、鋭いクロスを、ブチ込んでくる。

大事なコトは、そんな「仕掛けプロセス」のイメージングを、チームが、しっかりとシェアしているっちゅうこと。

だから、最終勝負クロスが、ブチ込まれたら、それが、彼らのシュートイメージに、ピタリとはまる。

たとえば、2対1と、ペイショットが、追いかけゴールを決めたシーン・・

するどいクロスへ最初にさわり、フリック・ヘッドで、流したのは、ペイショットだった。

そして、その瞬間、チームメイトたちは・・

ボールがフリックされて、流れてくるコトを、明確にイメージングしていた。

だから、そんな「反応」が、ペイショットがブチ込んだ、追いかけゴールにつながった。?

また、2対2の同点ヘッドをブチ込んだシーンでも・・

ジュビロは、意図的に(!?)、まず右サイドへ「開く」ことでヴェルディ選手を、「分散」させた。

を出したのは、ジャーメイン良だったんだぜっ!!

そして、だからこそ彼らは、中央ゾーンでの、ヴェルディ最終ラインの「ポジショニングとマーキング」を、少しだけ、ズラせたんだ。

だからこそ、ジャーメイン良は、少し後方から「走り込む」ことで、誰も(フェアに!)競り合えない状況から、キャノン・ヘッドをブチ込めた。

あっと・・

横内昭展ジュビロが魅せた、微妙な「アドバンテージ」というテーマだった。

そんな最終勝負の「効果的な武器」だけじゃなく、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でも、彼らは、とても優れた人とボールの動きを魅せつづけた。

もちろん、城福浩ヴェルディ「も」、その視点じゃ、まったく互角ではあったけれど・・

前述したように、横内昭展ジュビロには、「高さ」というアドバンテージ」があるわけさ。

そして監督は、「ソレ」を、より効果的に活用できるように、戦術プランを練り、選手たちのイメージングに注入した。

彼らは、「それ」を使い切るろうとする、明確なチーム内コンセプトをもっていたっちゅうわけだ。

もちろん、城福浩ヴェルディだって、「人とボールの動き」を絶対ベースに・・

優れた組織プレーと、危険な「個の勝負プレ−」を、うまく組み合わせている。

それでも、やっぱり、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、「高さ」という絶対アドバンテージという視点じゃ、横内昭展ジュビロが、少しだけ優位なんだよ。

たしかに、城福浩ヴェルディは、素晴らしい「粘勝」を、成し遂げた。

それは、それで、とても貴重な「体感」さ。

でも、前述したように・・

これからも、着実な(!)進化&深化をつづけていくためには・・

ボール奪取プロセス(守備)での柔軟性をアップさせなきゃいけないんだ。

そう、このゲームで、横内昭展ジュビロがブチかました、自分たちの「優位性」を、とことん追求するような、徹底サッカーへの、効果的な(グラウンド上の)対応・・ね。

あっと・・

チト、「微妙な課題」ばかりを論(あげつら)ったような感じになっちゃった・・

わたしは、この勝利の意味合いが、選手の「学習機会」としても、「自信&確信レベル」の高揚でも、とても貴重だったという事実は、認識しているんだよ。

ということで・・

これからの城福浩ヴェルディへの期待値が、どんどん高まっているコトが、言いたかった。

観ているこちらも、楽しくて、仕方ないよ、ホントに・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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