湯浅健二の「J」ワンポイント


2024年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第26節(2024年8月11日、日曜日)

 

後半28分、松尾佑介がブチかました、ソロドリブル&スーパー先制ゴール・・それは、フラストレーションを霧散させるに十分なインパクトだった・・でもレッズで特筆だったのは、それくらいだった・・(鳥栖vsレッズ、1-1)

 

レビュー
 
フ〜〜・・

ゲーム展開を観ながら、何度も、ため息をついていた。

ため息!?

そうなんだよ、どうも、自分の(ゲーム展開への!)イメージングが、ツボにはまらないんだ。

そして、何度も、アタマに描くゲーム展開イメージングとは、かけ離れた方向へ、サッカーが動きつづけてしまう。

たぶん、それは、監督が交代し、降格リーグで主役を演じはじめたサガン鳥栖の、意識と意志ポテンシャルが、何倍にも跳ね上がったからなんだろうね。

それが、基本的なチカラでは、明らかに上の(はずの!?)レッズが、何度も、押し込まれ、ホンモノのピンチに陥るシーンが連発したコトの背景にある!?

相手にイニシアチブを握られるという現象は、日常茶飯事だけれど・・

でも、あれほど、攻め「切られ」そうな状況(決定的ピンチ)にまで、鳥栖に持ち込まれるなんて・・

まあ、私にとって、フラストレーションが溜まるゲーム展開だったということなんだろうね。

そして、ここで、いつものテーマを呼び覚ます・・

そう、不確実なファクターが満載のサッカーが、究極の「心理ボールゲーム」であるという事実。

そう、「意識と意志ポテンシャル」の有り様によって、サッカーが、20%に落ち込んだり、逆、120%までレベルアップしたりするんだよ。

このゲームでの、サガン鳥栖の「ガンバリ」を体感しながら、そんなサッカー的な「真実」を、反芻させられたモノさ。

わたしの師匠でもあった、ドイツ伝説のプロコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが、わたしの目をのぞき込むよう、こんなコトを言った。

・・いいか、よく聞け・・

・・サッカーの戦術的なコトをひけらかすヤツらは、みんな素人なんだ・・

・・そんなヤツらに限って、リスクを冒さず、攻守にわたる「具体的な目的だけ」を追求するような、徹底(戦術)サッカーに、現(うつつ)を抜かす・・

・・でも、オレたちは、違う・・

・・オレたちは、サッカーの美しさ、魅力の何たるかを、よく知っている・・

・・たしかに、それを追求するのは、難しいし、逆風にさらされるコト(首切り!?)だってあるだろう・・

・・でも、オレたちプロコーチが、選手の主体性を尊重しながら「美しく勝つ」という理想を捨てたら、社会的に、何の価値もないヤツらと一緒になってしまう・・

・・もちろん、そこじゃ、ギリギリの「バランス」を保つ、戦術マネージメントが必要だ・・

・・そう、戦術の徹底と、そこからの解放のバランスを、うまく執るということ・・

・・もちろん、選手も、美しさ、魅力を追求するように、勇気をもって主体的にプレーするように、教育しなきゃいけない・・

・・だからこそ、オレたちプロコーチの仕事の8割は、心理マネージメントに、注ぎ込まれるんだよ・・

深いネ〜〜

あと・・

そこには、サッカーが、人類史上最高パワー秘めた「異文化接点」であるという背景もある。

そのことについては、このコラムをご参照あれ。

ということで、このゲーム・・

レッズの「足踏み状態」は、まだ、つづいているということか・・。

まあ、仕方ない・・

ところで・・

後半28分に、松尾佑介がブチかました、ソロドリブル&スーパー先制ゴール。

それは、前述のフラストレーションを霧散させるに十分なインパクトがあった。

ホント、溜飲を下げた。

まあ、このゲームについては、そんなトコロですかね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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