湯浅健二の「J」ワンポイント


2024年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第28節(2024年8月25日、日曜日)

 

この勝負マッチでは、二人の選手(森田晃樹と山見大登)にスポットを当てることにしました・・それにしても、いまの城福浩ヴェルディには、昇り龍の勢いがある・・(ヴェルディvsアントラーズ、2-1)

 

レビュー
 
やっばり、キャプテン森田晃樹。

ケガ明けでは、何試合か、途中交代でピッチに立った。

そこでも、例によっての、正しい(!?)チャレンジプレーを魅せたけれど・・

この試合では・・

満を持しての先発メンバーに名を連ねた森田晃樹は、相変わらずの「攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢」で、チームリーダーとしての存在感を、光り輝かせた。

そう、彼は・・

「目立たないトコロ」で、目立ちまくっていたんだよ。

要は・・

攻守にわたって、しっかりと仕事(=ハードワーク)を探しまくっているだけじゃなく・・

ボールを持っても、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を、創造的に、引っ張りつづけたんだ。

そんな、ゲーム&チャンメイクのプロセスでも、やっぱり、目立たないトコロで、目立ちまくっていたっちゅうわけさ。

わたしは、そんな森田晃樹の、スーパーな実効プレーに、舌つづみを打っていたよ。

ところで・・

2ゴールをブチ込んだ、山見大登。

彼が、ダゾン試合後インタビューで、こんな興味深いコトを語っていたっけ・・

・・このところ、ベンチスタートが多かったので、この先発機会では、チャンスとして活用しなければという覚悟で臨んだ・・

・・今シーズンは、これまでやったことのない筋力トレーニングにも、コーチの方に指導してもらいながらチャレンジしている・・

・・それも、結果につながった背景にあると感じている・・

山見大登は、皆さんもご覧になったとおり、個の才能レベルでは、とても秀でている。

ということは・・

そう、これまでの彼もまた、「才能という諸刃の剣」に、苛(さいな)まれていたということか・・。

面白いネ〜・・

わたしは、山見大登のインタビューを聞きながら、コーチ時代の、「パーソナリティーのぶつかり合い」という体感を、思いだしていた。

天賦の才に恵まれているヤツに限って、全力で、攻守ハードワークとリスクチャレンジに取り組まない傾向が強いんだよ。

そう、緩んだマインド・・ね。

もちろん、コーチとしては・・

惜しい気持ちもあるし、チームにとっての損失というマイナスも何とかしなきゃいけないから、説得(心理アプローチ)しようとする。

でも、ヤツらにしても・・

それまでの、楽して金儲けできる「甘い生活」を放棄しなきゃいけないわけだから、簡単には、心を入れ替えるはずもない。

もちろん、実際のプレーでは、物理的に「キツく」なるわけだからね。

そして、我々コーチと天賦の才の間で、「パーソナリティ」が、ガチンコの火花を散らすわけだ。

そんな「パーソナリティのぶつかり合い」というテーマについては、拙著も、ご参照あれ。

また、「天賦の才という諸刃の剣」というテーマについては、「このコラム」や「あのコラム」も、ご参照あれ。

モデルは、日本が誇る天賦の才、中村俊輔と宇佐美貴史。

とにかく、このゲームでの山見大登は・・

二つのゴールだけじゃなく、ラストパスや、ボール奪取プロセス(守備)でのハードワークでも存在感をアップさせていたんだよ。

そんな彼に対しては・・

やっと掴んだ、「ホンモノの攻守チームプレー感性」を、もっと磨きつづけて欲しいと思う。

わたしは、ドイツ、日本で、自分の才能に「溺れ」て、消えていった天才と呼ばれた選手たちを、数限りなくみてきた。

なかには、本当の意味で「改心」し、スターに上り詰めた選手もいれば、自分の「偏った主張」へのこだわりから解放されなかった選手もいる。

もちろん、そんな「パーソナリティのぶつかり合い」では、わたしも、千差万別の「心理アプローチ」から、ものすごく多くのコトを、学ばせてもらった。

このテーマに関する、結論「的」な締めだけれど・・

心理アプローチには、選手たちの、それぞれの感性(何にこだわっているのか等!?)によって、まさに無限の方向性がある。

もちろん、その「こだわりの感性」を、運良く見つけられれば、それに越したことはない。

それでも、物理的、時間的な制約があるコーチの仕事からすれば・・

やっぱり最後は、「環境」を整備するしかないという結論に至るんだよ。

そう、選手たちの「自覚と覚悟の覚醒」を待つしかないっちゅうコトさ。

残念ではあるけれど・・ね。

でも、ヴェルディについては・・

そう、城福浩が、しっかりと、その環境を「整えている」ように、感じられる。

そりゃ、山見大登に、インタビューで、「あんな内容」を語らせられるわけだから・・

城福浩の、環境を整えながら、選手たちの「覚醒」を待つという「心理マネージメント」は、大成功を収めているって、高く評価するのがフェアでしょ。

とにかく、今日は・・

城福浩ヴェルディの、「昇り龍」の勢いのコノテーション(言外に含蓄する意味)に、思いを馳せている筆者なのだよ。

へへっ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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