湯浅健二の「J」ワンポイント


2024年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第34節(2024年10月19日、土曜日)

 

わたしの眼には、井原正巳の方が、主体的な(!!)リスクチャレンジが内包するコノテーション(言外に含蓄する意味)も含め、より深く、日本サッカーへの貢献を、視野に捉えていると、映っていた・・(レイソルvsゼルビア、1-1)

 

レビュー
 
テーマとしては、やっぱり・・

両チームの、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)の内実に集中しようかな。

彼らが、アタマに描く「イメージング」が、大きく異なっていると思うんだよ。

要は・・

レイソルが、しっかりと、人とボールを動かそうとしているのに対し・・

ゼルビアは、ロングタテパスや、一発クロスを送り込める「シチュエーション」を創りだすために、ボールを動かしている(足許パスをつないでいる!?)。

そのグランウド上の現象に、違いはあるのかって!?

そりゃ、片方が、しっかりとスペースを攻略するなかで、ゴール機会を創りだそうとするのに対し・・

もう一方は、アバウトな、一発ロングやクロスを、送り込むこと「だけ」をイメージングしているっちゅうことさ。

ところで、スペースを攻略するっていうプレーの意味だけれど・・

それは、ある程度フリーな「ボールホルダー」を創りだすっていうことだよ。

皆さんもご存じのように、そんなフリーのボールホルダーを創り出せれば、「そこ」から、どんな仕掛けプロセスでも、ブチかましていける。

もちろん、結果に結びつけられるかどうかは、まったく次元の違うディスカッションだけれどね。

また・・

そんな「仕掛けの起点」を創りだせたとしても、チームメイトとの「最終勝負イメージング」が異なっていたら、そりゃ、うまくいきっこない。

だからこそ私は、常に、「イメージング・シンクロ」が大事だって、主張するんだよ。

ところで・・

人とボールの動きだけれど・・

単なる、足許パスを、つないでいくようなプレーのコトを言っているわけじゃないよ。

そうではなく・・

あくまでも、相手ディフェンスを「惑わす」ような、人とボールの動きのコトなんだ。

・・最初のボールホルダーが、シンプルな足許パスを、近くの味方へつなぐ・・

・・その、次のボールホルダーは、そのままタテへ仕掛けていくのではなく・・

・・そう、そこから、また最初のボールホルダーへ、パスを返して動いたり・・

・・3人目の、フリーな味方へパスをつなぎ、そこからのリターンパスを意図して、走ったり・・

・・そんな、人とボールの動きの「ダイナミズム」の演出こそが、テーマなんだ・・

そんな、活発な「動き」があれば、かならず、相手は、反応してくる。

いや、反応せざるを得なくなる。

だからこそ・・

シンプルな、「出して走る・・」、「出して動く・・」という標語が、大事になる。

そんなプレーイメージングを、味方と、高い次元で、共有することこそが、大事なんだ。

また、ボールを動かす「リズム」でも、味方との、イメージング・シンクロが、大事。

そのリズムのイメージング「も」共有できれば・・

ハイレベルな「動きのリズム」によって、相手ディフェンスを惑わし、より効果的にスペースを攻略できるようになるっちゅうわけだ。

そして・・

そう、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションだって、うまく回せるようになる。

このゲームでは、そんな、組織サッカーの大原則について、思いをめぐらせていたんだよ。

そう・・

そんなサッカーこそが、選手たちの創造性を発展させ、進化&深化を促すってね。

そこでは、もう一つ、大事な視点がある。

それは・・

そのような、創造的な「イメージング」を、高い次元で、共有(シェア)させられるまでには、かなりの努力が必要だという、現実。

プロサッカーだったら・・

そのメカニズムが、うまく機能するまでには(要は、結果が伴うまでには)、成績ベースで、クビになってしまうことだって、日常茶飯事なんだ。

だからこそ、理想を高くするプロコーチは、その「チーム造りコンセプト」について、プロクラブのマネージメントと、ひざ詰めで、交渉するんだよ。

同じ「忍耐」を共有するコトに対する、「助け合い」への意志の確認・・ね。

わたしは、ドイツで、そんな、シリアスなミーティングに、何度も、同席させてもらったことがある。

わたし自身のハナシではなく、友人たちの、プロ契約のネゴシエーションの席・・ね。

もちろん、わたしの友人たちは、高い「理想」を掲げ、そこへ向かっていくための「リスク」を、クラブマネージメントと、フェアに「シェア」するコトを、要求するわけだ。

もちろん、マネージメントのなかには、「勝てば、何をやってもいい・・」ってな、サッカー人に「あるまじき姿勢」の、輩も、多い。

だからこそ、プロ契約の、基本ネゴシエーションが、とても大事なんだ。

あっと、脱線・・

とにかく、わたしの眼には・・

チームの価値創造というテーマについて、明らかに、井原正巳の方が・・

主体的な(!!)リスクチャレンジが内包するコノテーション(言外に含蓄する意味)も含め、より深く、日本サッカーへの貢献を、視野に捉えている・・と、映っていた。

そのコトが言いたかった。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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