湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第17節(2025年5月17日、土曜日)

 

松橋力蔵FC東京がブチかました、素晴らしい人とボールの動きとリズム・マネージメント・・そのポジティブ刺激によって、レッズの、ボールがないところでのアクションの量と質がアップしていった!?・・(レッズvsFC東京、3-2)

 

スゲ〜、神様ドラマの勝負マッチだった。

まあ、その「ドラマの内実」をテーマに据えようったって、そりゃ、神様スクリプトだから・・

さて〜〜・・

ということで、この試合では、両チームの、人とボールの動きと、そのリズム・マネージメントにフォーカスしようかな。

何せ・・

そう、松橋力蔵FC東京がブチかましつづけた・・

チーム内で、高い次元で「イメージング・シェア」されている、人とボールの動きと、そのリズム・マネージメントが素晴らしかったワケだからね。

そして、レッズも・・

その「高質サッカー」に刺激を受けた彼らの「組織プレー」も、ゲームのなかで、徐々に「質的」に高揚していったんだ。

このところのレッズは・・

膠着したゲーム展開になったら、急に、それも大幅に、ボールがないところでのアクションの量と質が、減退しちゃう(足を止めちゃう!)。

そしたら、自ら、心理的な悪魔のサイクルに落ち込んでいっちゃうのも道理。

それでも、一時期の(連勝街道の)レッズは・・

チアゴ・サンタナという、組織プレーにとっては、まさに「ブレーキ」としか言いようのないプレイヤーを外したことで・・

そのサッカーが、大きく好転し、戦績も、ビックリするくらいアップしたんだよ。

だから私は(ちょっと前までのコラムで書いたように!)、FIFAクラブワールドカップへむけて、「さあ、ここからだっ!!」なんて、期待を込めて、書いたモノさ。

でも、そこから、レッズのサッカーが、再び「暗転」しちゃう。

何だったんだろうネ〜〜・・

たしかに、チームの「動きの加速装置」、サミュエル・グスタフソンが、ケガで離脱したコトもあった。

また、チームの核(精神的な支柱)になるべき、リーダーの不在もあった。

その意味じゃ、パフォーマンスの内実ではなく、さまざまな意味合いで、「勢いのリソース」でもあった関根貴大を、先発から外したことも、ネガティブな結果を招いた!?

まあ、それは、分からないけれど・・

とにかく、この試合では、松橋力蔵FC東京による人とボールの動きと、その優れたリズム・マネージメントという「強烈なポジティブ刺激」のお陰で・・

浦和レッズの、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)における、ボールがないところでのアクションの量と質が、明らかにアップしていったんだよ。

だから・・

そのコトを、この試合コラムのテーマにしようと思ったわけさ。

たとえば、前半のゲーム展開・・

それは、ものすごく興味深かった。

何が!?

そりゃ、両チームの「チーム戦術的なイメージング」が、鮮明に見えてきたわけだからサ。

ポジティブ、ネガティブの両面でね・・

まずレッズ・・

立ち上がりから、ものすごい勢いで、「前からプレス」をブチかましていった。

前節までの、反省なんだろうね。

その「勢い」は、チーム全体でシェアされ、明確な「シナジー効果」を生み出したのかもしれない・・って、最初は思ったモノさ。

そうなんだよ・・

その「動きのダイナミズム」は、そのまま増幅していくのも道理ってなゲーム展開だったんだ。

そのコトは、やっているレッズ選手たちも、明確に「体感」していたはず。

だから、その勢いを、もっと高揚させようと、より積極的&攻撃的に(主体的に攻守ハードワークを探しまくる)、ボール奪取プロセス(守備)を仕掛けていったんだよ。

もちろん、その勢いは、チェイス&チェック(寄せ)の内実に、明確に感じられ、その「雰囲気」がチームのなかに充満していったと感じた。

そう、ボール奪取プロセス(守備)での、ボールがないところでのアクションの量と質が、ハンパなく増幅していったんだよ。

そして、そんな積極的&攻撃的なボール奪取プロセス(守備)のアクションは、次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、ボールがないところでのアクションの量と質をも、アップさせる。

これは・・

そんなダイナミックなシーンを観ながら、期待に、胸を膨らませたモノさ。

でも・・

そう、そんな雰囲気のなかで、安居海渡が、PKの反則を取られちゃう。

まあ、このコンタクトプレーについては、コメントしません。

そうではなく・・

その先制ゴールの「後」の、ゲーム展開が、とても興味深かったんだよ。

そう、松橋力蔵のコンセプトを、周知徹底するFC東京に対して・・

前述した、前節までの、「変な受け身の空気につつまれるレッズ」ってな、ネガティブ現象が、またまた、首をもたげはじめたんだ。

ちょっと前までの、レッズのサッカー・・

それが「停滞気味」になってしまった元凶は、何といっても、ボール奪取プロセス(守備)と、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、ボールがないところでのアクションの量と質にあった。

そう、「それ」が高揚していかないから、うまく、人とボールを動かせなくなったんだよ。

そして、このゲームでも・・

たしかに、サミュエル・グスタフソンの復帰によって、タテへのボールの動きは、活性化した。

でも、そんな優れたタテへの仕掛けパスを活かせる、ボールがないところでの3人目、4人目の動きが、うまく連動しない。

それじゃ、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションによって、相手ディフェンスを振り回すことなんて、夢のまた夢さ。

そんなレッズに対して・・

松橋力蔵FC東京は、例によって、素早くスムーズで、広い、人とボールの動きを、優れたリズムで表現しちゃう。

わたしは、その時間帯の、レッズの、「悪い癖」を観ながら、何とかならないのか・・なんて、毒づいていた。

でも、時間の経過とともに、レッズが・・

そう、ビックリしたことに、FC東京の「人とボールの優れた動き」に刺激されるかのように・・

彼らの、組織プレーの「内実」が、好転していくんだよ。

もちろんレッズ選手たちは、そんな「イメージング停滞の元凶」について、マチェイ・スコルジャから、かなり指摘されていたはず。

また、人とボールの動きの「加速装置」でもある、サミュエル・グスタフソンの復帰も、大きかった!?

そして徐々に、彼らのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)における、人とボールの動きと、そのリズム・マネージメントが、好転していったんだ。

そして、前半32分には、石原広教の、まさに「キャノン」ってな感じの、スーパーミドル同点ゴールが、決まるんだ。

そのとき・・

松尾佑介の「折り返し」に対して、二人、三人と、ゴール前へ、全力スプリントで、入り込んでいくレッズ最前線。

そして、そのヘディングシュートが、跳ね返ったところを、石原広教の、目の醒めるようなスーパーミドルが、決まったっちゅう次第。

さて・・

でも、後半のドラマについては・・

もうエネルギーが残っていないから、割愛しちゃう。

スミマセン・・

とにかく・・

そこで展開された「神様ドラマ」は、何度、観かえしても、新たな感動が呼び起こされるよね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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