湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第18節(2025年5月24日、土曜日)

 

レッズが展開したサッカーの、前半と後半の「ゲーム内容の変容」という興味深いグラウンド上の現象には、ものすごく重要な(サッカー的)フィロソフィーが内包されていた・・(グランパスvsレッズ、2-1)

 

すごい、「魂の闘い」だった。

堪能した。

その決勝ゴールだけれど・・

それを決めた、永井謙佑には、心からの称賛の拍手をおくるかない。

それに・・

そう、リーグ・サバイバル(降格リーグ!)において、崖っぷちのグランバスが・・

まさに天井知らずの「闘う意志エネルギー」ってな感じで・・

攻守にわたって、極限を突き抜けた(!?)闘いを魅せたコトも、しっかりと認識しなきゃいけない。

まあ、こんな「魂のサッカー」ができるんだから、長谷川健太グランパスが、「リーグ降格」の憂き目に遭うなんて、ちょっと想像できない。

このところのリーグ・・

「実力の差」が縮まってきただけじゃなく、ほとんどのチームが、積極的&攻撃的ボール奪取プロセス(守備)の実効レベルを、大きく高揚させていることで・・

多くの勝負マッチが、かなり「同格のせめぎ合い」になっているってな印象があるんだよ。

そう、すぺてのチームにおける、ボール奪取プロセス(守備)の実効レベルが、大きくアップしている(差が縮まっている!?)っちゅうコトなのかも・・

まあ、そのテーマについては、また機会を改めて・・

ということで、このゲームのテーマだけれど・・

まず、エネーチケー解説の井原正巳が、前半のレッズについて語ったコメントについて・・

・・どうもレッズは、前からのプレスを、うまく機能させられていませんネ〜〜・・

まさに、おっしゃる通り。

対するグランパスは・・

全体として(前述したように)しっかりと、すべてのボールホルダー(次のパスレシーバー)に対するチェイス&チェック(寄せ)をブチかましつづける。

いつも書いているように・・

サッカーの絶対ベースは、ボール奪取プロセス(守備)なんだよ。

それは、相手からボールを奪い返すだけじゃなく・・

「どのようにボールを奪い返すのか・・」によって、次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)の内実が決まってしまうほどに、サッカー内容を左右する、重要なテーマなんだ。

そのボール奪取プロセス(守備)における、キーファクターこそが、チェイス&チェック(寄せ)と、それに連動するチームメイトたちの主体性プレーなんだよ。

テレンコ、テレンコ、なんて怠惰なリズムで「寄せ」たって・・

いや・・

しっかりと寄せはするけれど、相手ボールホルダーの「次のプレー」を(心理的にも!!)抑制するような、攻撃的エネルギーの発露がなければ、その「寄せ」なんて、まったく意味をなさない。

とにかく前半のレッズは、そんな「体たらくプレー姿勢」が目立ちに目立っていた。

「そのコト」は、明確に、数字にも、現れていたよね。

でも、後半(ハーフタイムね)・・

マチェイ・スコルジャは、(まあ、当たり前だけれど!?)選手交代を決断する。

原口元気、大久保智明、松本泰志を外し、代わりに、渡邊凌磨、金子拓郎、そして安居海渡を、投入したんだ。

そしてレッズのサッカーが、ガラリッと変容するんだ。

そう、レッズが、本来の、積極的&攻撃的なチェイス&チェック(寄せ)を絶対ベースにするボール奪取プロセス(守備)を機能させはじめたんだ。

なんだったんだろうね〜・・

やっぱりサッカーは、究極の「心理ボールゲーム」っちゅうコトなんだろうね。

だから、一人でも、ホントに一人でも、前述したような、怠惰なチェイス&チェック(寄せ)で、守備をサボったら、周りのボール奪取プロセス(守備)のアクションだって、地に落ちちゃう。

とにかく・・

このゲームは、ボール奪取プロセス(守備)の内容が、いかに重要かを・・

如実に「あぶり出した」という意味で、日本サッカーにとっても、とても、意義のある学習機会になったって思っている筆者なんだよ。

まあ、たしかに、レッズは逆転されちゃったけれど・・

そんな彼らにとっても、このゲーム前後半における「コンテンツの変容」には、ものすごく大事なフィロソフィーが、内包されていたって思うわけさ。

そう、クラブワールドカップに臨む彼らにとって、とても大事なエッセンスが、そこにはあった。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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