湯浅健二の「J」ワンポイント
2025年Jリーグの各ラウンドレビュー
第21節(2025年6月21日、土曜日)
目指すサッカー内容がアップしている、ゼルビアの超絶「徹底サッカー」が、抜群の存在感を魅せつけた・・その、強烈な「意識と意志」に、乾杯!・・(ゼルビアvsアントラーズ、2-1)
すごかったネ〜、ゼルビアの「闘う意志」・・
とにかく、彼らが仕掛ける「前からプレス」・・
その勢いは、最後の最後まで、衰え知らずだった。
衰え知らず・・!?
そう、「寄せ」の勢いがダウンするコト(その気配さえも)が、まったく感じられなかったんだよ。
そのバックボーンだけれど・・
それは、何といっても、選手一人ひとりがブチかます、レベルを超えた「意識と意志」。
まあ、それも、いつも書いているように、彼らの「主体性プレーの内実」が、充実しているっちゅうコトだね。
そして、「それ」は、あくまでも、選手たち自身の「高い意識と意志」によって、支えられている。
そう、その「闘い」は、「やらされている」モノなんかじゃなく、あくまでも「自分たち自身の意志」から生まれ出たモノなんだ。
ボール奪取プロセス(守備)を支える気持ちというか、その積極的&攻撃的な「心の姿勢」は、素晴らしかった。
また、チェイス&チェック(寄せ)と、そんな「取っ掛かりアクション」に連動する、チームメイトたちの協力プレスへの、超絶の「実効レベル」。
まあ、大したモノだ。
対する、鬼木達アントラーズも、最後の最後まで、決して諦めずに、ダイナミックな、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)をブチかましつづけた。
基本的には、アントラーズの方が、チカラは「上」、たぶん・・
でも・・
そう、鋼鉄(チタン合金!?)のように堅い、ゼルビア守備だからね。
アントラーズは、まったくといっていいほど、スペースを攻略するところまでいけないんだよ。
わたしは、そんな、強烈なオーラを放散しつづけるゼルビアの守備に、感銘を受けていた。
また、彼らのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)も、まさに「超絶の徹底ぶり」だった。
もちろん、中盤で、ボールをポゼスし(ボール保持し)、人とボールを動かしながらスペースを狙っていくような「ムダ!?」はしない。
そうではなく、ボールをもったら、あくまでもシンプルに、タテへ仕掛けていくんだよ。
そして、そんな「徹底シンプル仕掛けイメージング」が、ゴールを生み出した。
そのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)のなかでは・・
そう、望月ヘンリーの「使い方」に、ナルホドって納得していた。
望月ヘンリーは、守備の堅さだけじゃなく、タイミング良い「押し上げ」という視点でも、ツーランク高揚したっちゅうイメージだね。
そこでも・・
そう、監督さんの「戦術イメージ創り」が、ものすごい効果レベルで、功を奏していたんだよ。
その、仕掛けイメージング・・
ある決められた(!?)状況では、かならず、望月ヘンリーは、タテの勝負ゾーンに、顔を出す。
そしてチームメイトたちも、その「状況」に合わせ、彼の「アタマ」目がけて、タテのロングボールを送り込むんだ。
そこには、これまで「最前線のアタマ勝負」で主役を張っていた、ミッチェル・デュークやオ・セフンは、いない。
それでも、身長192センチの望月ヘンリーは、とても足が速い(=強烈ジャンプ力!)だから、ほとんどのヘディングの競り合いで、勝ち切れる。
大事なコトは、望月ヘンリーへの「ハイボール」が入りそうになった瞬間には、周りのチームメイトたちが、望月ヘンリーの周りで「こぼれ球」を狙っているっちゅうコト。
そんな、「徹底した」最終勝負イメージング創りにも、監督さんの「確かなウデ」を感じる。
前にも書いたけれど・・
町田ゼルビアは、獲得選手のクオリティーアップにともない、「普通の良いサッカー」へと、目指すべきベクトルを引き上げている。
それも・・
そう、彼らの真骨頂である、攻守ハードワークに支えられた、超絶の「徹底サッカー」へのマインドを、失うコト無くネ。
とにかく、この試合でのゼルビアが・・
勝ち点3を、まさに(サッカー内容という視点で!)フェアに勝ちとったという評価に、異論をはさむ方は、いないでしょ。
最後に・・
スペースを、うまく創りだせず、攻めきれなかったアントラーズ。
このところのCWC(クラブW杯)を観ながら、こんなコトに考えをめぐらせていた。
それは・・
ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが、近年の、強化された守備ブロックを崩していくために、いかに、重要な意味をもっているか・・
このテーマを、アントラーズが、ゼルビア守備を崩し切れないシーンを観ながら、反芻していたっちゅうわけだ。
ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション・・
それは、とにかく、トレーニングで、複数プレイヤーの「イメージング」を鍛えるしかない。
そう、イメージング・シンクロのレベルアップね。
今回のクラブW杯でも、そんな、相手の虚を突く、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションをマスターしているチームが、頂点に立つはず。
あっと・・
明日の早朝には、UEFAチャンピオンズリーグだけじゃなく、イタリア・セリエAでも準優勝に泣いた、インテル・ミラノとの、サバイバルマッチが控えている。
強敵だよ。
まあ、相手にとって不足なし・・
いまから、楽しみです。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-
"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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