湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第29節(2025年9月12日、金曜日)

 

素晴らしく積極的&攻撃的なサッカーを魅せたミヒャエル広島サンフレッチェ・・彼らは、優勝を目指すに相応しいチカラを内包する優れたチームであるコトを証明した・・(サンフレッチェvsサンガ、1-1)

 

まさに、白熱したエキサイティングマッチだった。

もちろん、皆さんもご覧になたとおり、内容的には、ミヒャエル広島サンフレッチェが、圧倒した。

それでも、サンガの天才ストライカー、ラファエル・エリアスが、これまたサンフレッチェの天才ディフェンダー塩谷司の強烈なプレッシャーに、振り向きざまに「股抜きシュート」を決めた。

それは、天才たちが魅せた、強烈にエキサイティングで、深〜い、一瞬のせめぎ合いだった。

堪能した・・

とはいっても・・

ゲームを通してイニシアチブを掌握し、勝利の女神が微笑んでもおかしくなかったのは、 ミヒャエル広島サンフレッチェだった。

彼らは、先制ゴールだけじゃなく、それ以外でも、パーやポストを叩くシュートを放ったり、決定的なゴール機会を創りだした。

まあ、サッカーだから、こんなゲームもあるさ・・

それでも選手たちは、この試合で魅せた「内容」に、自信と確信レベルを深めたに違いない。

そう・・

・・オレたちは、リーグ優勝に相応しい、強いチームなんだ・・

・・ってね。

さて・・

全体的なゲーム内容だけれど・・

まず、チョウ・キジェに鍛え上げられた京都サンガが、ブチかました、前からプレス。

彼らは、ボール奪取プロセス(守備)において、素晴らしい闘いを魅せたんだ。

前半は、サンフレッチェも、「前を向いて」、自由に仕掛けていけなかった。

そんななか、チョウ・キジェ京都サンガは・・

そう、原大智と、前出の天才、ラファエル・エリアスのコンビによるカウンターが炸裂する。

この二人が絡むショートカウンターの、危険なコト。

もちろん頻度は高くないよ。

それでも、一度ツボにはまったら、どんな守備も、蹴散らされる。

この二人がブチかます(ショート)カウンターは、それほどの威力を内包しているんだよ。

チト、舌を巻いた。

とはいっても・・

そう、ミヒャエル広島サンフレッチェの最終ラインが、個の二人によるカウンターで蹴散らされ(かけ)たのは、一度だけだった。

そして前述した同点ゴールを奪われちゃう。

それは、カウンターではなく、右サイドからのクロス攻撃だった。

そしてクロスを受けたらフェエル・エリアスが、「あの天才」ディフェンダー、塩谷司の「マタ」を抜いたコントロールシュートをブチかましたっちゅう次第。

あっと、もう一つ、このゲームでピックしたい特筆ポイントが、あった。

それは、ミヒャエル広島サンフレッチェが魅せつづけた、組織的なボール奪取プロセス(守備)。

このゲームでは、やっぱり、佐々木翔、山崎大地、塩谷司で組む、スリーバックが特筆だった。

彼らが魅せつづけた、「最後の半歩ファクター(読み)」は、ホントに素晴らしかったんだよ。

この三人が魅せつづけた、次の相手アクション(最終勝負ポイント)をアタマに描ける(予想・読む)イメージング能力は、ホントに、傑出しているって感じていた。

もちろん、ミヒャエル・スキッベのコーチングもあるんだろうけれど・・

・・というか、ミヒャエルは、選手たちが内包する「才能」を、しっかりと、主体的に、表現できる方向へとリードできるんだよ。

わたしは、そんなコーチングを、「解放」って呼ぶ。

真逆なのは、「やってはいけないプレーを徹底させる」、規制(戦術)サッカーね。

それじゃ、決して、選手は、進化&深化しない。

そう、攻守にわたるハードワークを、主体的に探しまくるってな基本姿勢をべースに・・

選手たちは、常に、攻守にわたるリスクチャレンジをブチかます「勇気と確信」を、主体的に表現できなきゃいけないんだ。

そんな「プレー姿勢」を、わたしは、解放サッカーとか、主体性プレーとか、呼ぶことにしている。

そんな選手たちの、積極的&攻撃的な「主体性プレー姿勢」については、もちろん、観ていりゃ、分かる。

そして、そんな積極的&攻撃的リスクチャレンジ姿勢こそが、次の進化&深化の、絶対ベースなんだよ。

このコラムでは、そのコト「も」言いたかった。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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