湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第30節(2025年9月20日、土曜日)

 

アントラーズが魅せた、強烈な意志が凝縮したチェイス&チェック(寄せ)は、印象的だった・・(レッズvsアントラーズ、0-1)

 

両チームともに・・

ものすごいハイレベルな「闘う意志」が、最後の最後まで、ぶつかり合った。

両チームともに、エネルギーの最後の一滴まで、絞り出したんだよ。

日本サッカーにとって、素晴らしいプロモーション。

同じサッカー人の一人として、両チームに対し、心からの称賛と感謝の拍手をおくります。

そんな、エキサイティングマッチではあったけれど・・

そう、やっぱり、勝敗を分けた背景には「何らかのバックボーン」はあった。

例えば・・

両チームが、忠実に、そしてダイナミックにブチかまい合った、チェイス&チェック(寄せ)。

アントラーズOBで、エネーチケー解説を担当した鈴木隆行にとっては、不満が募るシーンもあったんだろうね。

最前線からのチェイス&チェック(寄せ)が甘いとか・・サ。

・・もっと最前線がしっかりと追いかけなきゃ・・

・・それが十分じゃないと、正確な前線フィードパスを出されちゃう・・

そんな鈴木隆行のコメントを聞きながら、こんな逆のコトを思っていた。

そう、私の印象は、アントラーズの最前線からのチェイス&チェック(寄せ)が、素晴らしかったというモノだったんだよ。

特に、鈴木優磨。

もちろん、常に、全力で追いかけ回すってワケじゃない。

そうではなく、状況を観ながら、「ここがチャンスッ!!」って感じた瞬間には、自然と、足が動いている(全力スタート!!)ってな感じ。

それが、決勝ゴールを生み出した。

あっ、そうか・・

不満コメントを出した鈴木隆行は、センターフォワードをつとめた現役時代、まったく休むことなく、鬼の形相で、相手ボールを追いかけ回したっけね。

それは、相手ボールホルダーや、次のパスレシーバーをしっかりとイメージングした、ものすごく忠実でダイナミックな、最前線での守備ハードワークだったんだ。

だからこそ、彼は、いまでも「師匠」ってな敬称で、呼ばれている。

そんな鈴木隆行だったから、前述したように、「ボール奪取チャンスが薄い」シチュエーションであったとしても、緩い「寄せ」には、我慢ならなかったということか。

フムフム・・それは、よく分かるヨ、師匠。

でもサ・・

そう全般的には、鈴木優磨だけじゃなく、チャブリッチとかレオ・セアラにしても、多くのシーンで、「自分の感性に突き動かされるように」全力でのチェイス&チェック(寄せ)をブチかましていたという印象が強いんだ。

その勢いは、レッズ後方での人とボールの動きと、そのリズム・マネージメント(要は、組み立てのスタート段階ネ)を、大いに悩ませていたよ。

だからこそアントラーズは、そんな忠実ディフェンスアクションによって、一つ、二つの、まさに決定的といえるゴール機会まで創りだした。

とにかく・・

私の眼には、チェイス&チェック(寄せ)というテーマでは、アントラーズに、一日の長があったって映っていたんだ。

それに、アントラーズは・・

ボール奪取プロセス(守備)だけではなく、最終勝負シーンでの、守備イメージング(最後の半歩というファクター)でも、存在感バチバチだったじゃないか。

研ぎ澄まされた感性によって、瞬間的に脳裏に浮かぶ「最後の半歩イメージング」。

そんな「危急状況の予測」が、ギリギリのカバーリングや最終勝負アタックを生み出す。

あっと、もちろんレッズも・・

前戦からのチェイス&チェック(寄せ)だけじゃなく、最終勝負シーンでの「最後の半歩というファクター」でも、とてもハイレベルではあった。

例えば、レオ・セアラのダイレクトシュートを、後方から「寄せて」ブロックした、マリウス・ホイブラーテンの、ギリギリのスライディングとかネ。

さて〜〜・・

今日は、これ以上、他のテーマに入っていかないことにしよう。

入れ込んで観ていたから、とても疲れてしまったっちゅう、体たらくの筆者でした。

まあ、何か気づいたら、またレボートするかもしれないけれど、今日は、こんなところです。

あっと、リーグ優勝争い。

まだ8試合も残っている。

そう、まだまだ、何が起きるか分からないんだよ。

マチェイ浦和レッズにしても、今日のような立派なサッカーを継続していれば、必ず、どこかでチャンスがめぐってくるはず。

辛抱強く、強い「意志」をもって、これからも闘いましょう。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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