湯浅健二の「J」ワンポイント
2025年Jリーグの各ラウンドレビュー
第32節(2025年9月28日、日曜日)
両チームは、攻守にわたって、立派な(魅力的な!)闘いを披露してくれた・・「J」の素晴らしいプロモーション・・プロサッカー仲間として、心からの称賛と感謝の拍手をおくります・・(横浜FCvsベルマーレ、1-0)
すごかったネ〜・・
極限のサバイバル神奈川ダービー・・
その最高テンション(緊張感)が、もっとも直接的にぶつかり合ったのは、言うまでもなく、ボール奪取プロセス(守備)だった。
ディフェンスのファクター・・
攻守の切り替え(トランジション)、チェイス&チェック(寄せ)、局面デュエル、マーキング&カバーリング、協力プレスの集散、等など。
もちろん、これらの「グラウンド上の現象」は、重なり合い、もつれ合っている。
だから、このように厳格に「言葉で分類」することは、邪道かもしれない。
まあ、「とりあえず」ということで、皆さんご自身で、判断してくださいネ。
そして・・
そのファクターのなかでも、やっぱり、チェイス&チェック(寄せ)の内実が、ゲーム展開に、もっとも大きな「影響」を与えていたんだよ。
たしかに、両チームともに、積極的&攻撃的に、チェイス&チェック(寄せ)をブチかましていた。
もちろん、後半、両チームともに、そのエネルギーレベルは、徐々に減衰していった。
でも、一点をリードされているベルマーレの積極性&攻撃性が、勝るのは自明の理。
だから、終わってみれば、「数字」では、ベルマーレが、かなり上回ることになった。
でも、見返し、思い起こしてみたら・・
ゴール機会という視点では、横浜FCに、一日の長があったというのが、総体的な印象なんだ。
その、横浜FC優位性のバックボーンだけれど・・
横浜FCの場合は、「個の才能」を、活かし切るってなコンセプトが、うまく活かされていたと思う。
櫻川ソロモン、ジョアン・パウロ、後半から交代出場したアダイウトンといった「個」が、とても効果的に(特徴ある!)チカラを魅せつけたんだ。
対するベルマーレは、あくまでも「組織プレー」を、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)イメージングの主体として、攻め上がっていく。
微妙なディスカッションだけれど・・
その「組織」が、相手ディフェンスの「イメージング」を超越できていない場合、どうしても、フィニッシュまでたどり着き「難い」のが、現実。
それに横浜FCゴールには、「あの」ヤクブ・スウォビィク先生が、仁王立ちしているしネ。
だから・・
ベルマーレが、組織パスを駆使し、コンビネーションで「攻め切ろう」としても・・
横浜FCディフェンスやヤクブ・スウォビィク先生も、最終勝負シーンを、同じようにイメージング(予測&描写)できているっちゅうわけだ。
そうなんだよ、組織的に攻め切り、それでゴール機会を創りだすためには、相手の守備イメージングを凌駕できなきゃいけないんだ。
だからこそ、組織的に攻め込む場合、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが、決定的な要素だってな視点が、出てくるわけだ。
その視点で、ベルマーレのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)には、変化が乏しく、横浜ディフェンスの「イメージングの虚を突く」ような驚きファクターが少なかったとするのがフェアだね。
それにしても、前半32分にブチかまされた、細井響のボレーシュート(決勝ゴール)は、まさに「Sonntags-Schuß」だったじゃないか。
ゾンタックス・ショス(サンデイ・シュート)・・
ドイツ語の表現だけれど・・
昔は、日曜日は、教会での祈りの日(休息日)であり、仕事は休むのが義務だった。
だから、仕事(プロサッカー)をやってはいけない日曜日に、ゴールを決められるハズがないだろ・・ってなニュアンスなのかな・・
わたしは、「サンデイ・シュート」と呼ばれるドイツ語のニュアンスを、そう理解しているんだけれど・・
とにかく、「細井響のスーパーシュート」は、まさに、あり得ないほど「すべてを超越していた」というコトが言いたかった。
さて、降格リーグ。
風雲急を告げはじめた。
今節も、横浜FCとマリノスが、勝利を飾ったけれど、そこに至るまでには暴風雨が吹き荒れた。
そう、横浜FCが、一瞬、「降格圏」を脱出したのに対し、次の瞬間(1時間後ネ)には、マリノスの勝利が決まったことで、再び降格圏に沈み込んだんだよ。
とにかく、優勝争いだけじゃなく、降格争いも、血湧き肉躍るギリギリの闘いが展開されている。
残り6試合・・
お互い、不確実なサッカーの、素晴らしくエキサイティングなせめぎ合いを、とことん楽しみましょう。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-
"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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