湯浅健二の「J」ワンポイント
2025年Jリーグの各ラウンドレビュー
第36節(2025年11月8日、土曜日)
内容的にも(特に後半)順当な勝ち点3をもぎ取った、鬼木達アントラーズに、乾杯!!・・(アントラーズvs横浜FC、2-1)
最後の最後までつづいたエキサイトメント・・
そう、両チームがブチかまし合った、最高レベルの「意識と意志と意地」。
堪能した。
まず前半、そんなサイコロジカルなチカラで上回った横浜FCが、イニシアチブを握った。
降格リーグに取り込まれ、もう完全に「後がない」横浜FC。
だから、攻守にわたる彼らのガンバリは、もちろん、プロとしての(生活がかかっているからこその!?)意地でしょ。
それに対して、リーグ優勝を・・というか、過去8年「無冠」の汚名を晴らすコトを強烈に意識する、鬼木達アントラーズ。
だから、彼らが後半になって、大きく盛り返してきたのも、当然の流れだったんだろうね。
もちろん、その絶対ベースは、ボール奪取プロセス(守備)の内容アップ・・
それが、うまく回りはじめたからこそ、次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、ボールがないところのアクションの量と質も、大きくアップさせられたんだよ。
そして、人とボールの動きが活性化し、たまには、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションだって、効果的に機能させられるまでに、サッカー内容がアップした。
そんな、ゲームの流れを観ながら・・
・・アントラーズ鬼木達の、ハーフタイムの檄が、効いた・・
・・だからこそ、ボール奪取プロセス(守備)での熱量も、これ以上ないほどアップした・・
・・そして、その心理エネルギーが、次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)をも大きく活性化した・・
・・後半のゲームの流れを観ながら、そんなコトを考えていた。
そう、鬼木達アントラーズが、やっと、本来の実力を魅せはじめた・・ってね。
もちろん、戦術的な指示が、うまく機能したという側面もあるだろうし、そのことについて、外様のこちらは、それがどんな指示だったのかなんて、知る由もない。
だから、そのゲームの変化をみながら、こんなコトを考えていたんだよ。
戦術プランに「命」を吹き込むのは、選手たちのサイコロジカルなチカラ(強烈な意識と意志と意地のパワー)なんだ・・
たぶん、監督さんの、クレバーな「戦術変更と檄」によって・・!?
「強い」アントラーズが、やっと、本来の実力を発揮できるようになったっちゅうわけだ。
そしてアントラーズ選手たちは・・
後半の「ポジティブな流れ」を体感し、勇気を与えられ、攻守アクションが、何倍にも増幅した・・
そうなんだよ・・
選手たちは、自分たちの「意識と意志と意地」によってゲームフローを「逆流させられた」という体感によってこそ、もっとも強烈にモティベートされるモノなんだ。
そんな「微妙な変化」を感じながら、わたしは・・
やっぱり、不確実なサッカーは、究極の「心理ボールゲーム」なんだ・・
・・「分析ベースの戦術プラン」っちゅうのは、その多くが、机上の空論に過ぎないんだよ・・
ちょっと、そんな思いにかられたモノさ。
そういえば・・
わたしの師匠でもあった、故ヘネス・ヴァイスヴァイラー、故リヌス・ミケルス・・
そんな世界サッカーのレジェンドたちが、異口同音に、こんなニュアンスの内容を、口を滑らしたかのように吐き出したコトがあったっけ・・
・・たしかに戦術プランは大事さ・・
・・選手たちに、大まかなアクションイメージングを与えるっちゅう意味でね・・
・・でも、結局プレイヤーたちは、特に才能に恵まれたヤツらは、自分のやりたいプレーのなかで、実力を発揮して、チームに貢献できるモノなんだ・・
・・だから、オレたちコーチは、ヤツらを解放してやるために、何が、もっとも効果的な「心理スティミュレーション(刺激)」になるかってなテーマに取り組むわけだ・・
・・もちろん、才能あるヤツらの「やりたいプレー」を、その他大勢の縁の下の力持ちチームメイトが、支援するようなチーム戦術ということさ・・
・・それが、もっとも成功に近づくために、効果的な発想っちゅうことだ・・
・・そう、結局オレたちは、才能を、待つしかないんだよ・・
・・でも、どんなにリスクがあり、難しくても、美しく勝とうとする姿勢を失ったら、そりゃ、もう、サッカー人じゃ、ネ〜〜よな・・
なるほどネ〜・・
あっと、このゲームで効果をもたらしたと私が感じた、前半の横浜FCがブチかました、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での「戦術イメージング」だけれど・・
そのウチのいくつかは、こんな感じ・・
・・櫻川ソロモンのアタマとキープ力の活用・・
・・アダイウトンの、超速ドリブル勝負を、うまく活用しようとするイメージング・・
・・そして何といっても、細井響の、スーパーロングスローイン・・
サッカーでは、何が起きるか分からない。
だからこそ、瞬間、瞬間で、インプロビゼーション(即興アイデア)を、効果的に表現できるようにトレーニングしなきゃいけない。
そう、だからこそ、決して、カタチから入っちゃいけないんだよ。
あっと、またまた、ゲームから離れてしまった。
とにかく・・
そう、内容的にも、順当な勝ち点3をもぎ取った、鬼木達アントラーズに、乾杯!!
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-
"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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