湯浅健二の「J」ワンポイント
2025年Jリーグの各ラウンドレビュー
第5節(2025年3月8日、土曜日)
木山隆之ファジアーノの、スーパーな闘う意志に、心惹かれた・・そんな彼らに対して、追い詰められている(!?)レッズは、一歩も引かず、これまた立派なサッカーを貫いた・・(レッズvs岡山、1-0)
すごかったネ〜〜・・
ギリギリの闘う意志が、まさに極限のレベルで、ぶつかり合う・・
今季初勝利を、埼スタで、何としても奪いとりたい、追い込まれている(!?)レッズ。
対する・・
「J2」から昇格し、ここまで、抜群の攻守ハードワークとリスクチャレンジをブチかましつづける、ファジアーノ岡山。
彼らは、2勝1分1敗という成績が、心からうなづけるような、素晴らしい闘いを、最後の最後まで貫きとおした。
さすがに、優れたプロコーチ、木山隆之じゃないか。
わたしは、彼らのプレー姿勢に対して、同じサッカー人として、心からの称賛と感謝の拍手をおくってたよ。
とにかく彼らは・・
ボール奪取プロセス(守備)における、ボールがないところのアクション量と質が、ハンパない。
ボールを奪われた、まさに「次の瞬間」から、彼らの守備アクションが「爆発」するんだよ。
そこで彼らがブチかます、前からプレスでのチェイス&チェック(寄せ)と、そのアクションに連動する「協力プレス」の集散が、得も言われぬほど美しく、そしてエキサイティング。
たぶん・・
そう、そんなボール奪取プロセス局面での「イメージング」が、とにかく、限界レベルまで、しっかりシンクロしているっちゅうコトなんだろうね。
そんなところにも、木山隆之の、プロコーチとしての「ウデ」が、見える、見える。
だからこそ・・
そう、ゴール前での、ボール奪取イメージングが、とにかく、ハンパなくダイナミックなんだ。
彼らは、次の「決定的ピンチ」に対するイメージング(最後の半歩ファクター!)が、とにかく、限界まで「磨き上げている」って感じるわけだ。
レッズは、ゴール機会までは創りだすけれど、最後のシュートの瞬間には、ファジアーノ岡山の少なくとも一人は、かならず、その決定的スポットに急行し、足を出す。
また、それだけじゃなく・・
そこでシュートを打たれたって、「あのスーパーGK」、ドイツ人スヴェンド・ブローダーセンが、最後の砦として、控えているわけだ。
ファジアーノ岡山のリーグ存在感を支えているのは、そんなボール奪取プロセス(守備)における、「最後の半歩」ファクターのイメージングが、磨き上げられているからに他ならない。
対するレッズ・・
実は、このゲームでの彼らの「プレー姿勢」は、リーグ開幕ヴィッセル戦にも、匹敵するほど復調していたんだよ。
もちろん、ファジアーノ岡山ボール奪取プロセス(守備)の、レベルを超えた「勢い」に押される時間帯はあったけれど・・
それでも、レッズは、徐々に、ファジアーノの前からプレスの「勢い」を、うまく「かわせる」までに、イニシアチブを握りかえしていったんだ。
そして・・
効果的な、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を、ブチかませるようにもなった。
私は、そのプロセスでは、レッズ選手たちの「自覚」があったに違いないと思っていた。
・・まだ1勝もできていない・・
・・こんな、熱心なサボーターの「熱」に応えられなきゃ、プロじゃない・・
・・たしかに、思ったとおり、ファジアーノのプレスは、キツイ・・
・・それでも、しっかりと、チェイス&チェック(寄せ)をブチかまし「返せ」ば、かならず、イニシアチブを奪い返せる・・
レッズ選手たちの、そんな「覚悟」は、観ているコチラにも、ヒシヒシと伝わってきたモノさ。
もちろん、チアゴ・サンタナは、チト「意志の暴走」はあったけれど、それでも・・
そう、忠実でフルパワーのチェイス&チェック(寄せ)を、簡単に「外された」彼が、チームメイトたちに「怒り」をブチまけるコトは、それもまた、大いなる「刺激」になったんだよ。
そして・・
やっと、実力の「差」を感じさせるまでに回復したレッズが、決勝ゴールをブチ込むんだ。
チアゴ・サンタナが放った、岡山GKスヴェンド・ブローダーセンの「股抜き」、ダイレクトシュート。
このシーンでは、ラストクロスを通した、安居海渡の、後方からの「押し上げ」が見事だった。
まさに、ギリギリの「闘う意志」こそが為せるワザ。
その後、後半の、多くの時間帯、レッズは、ファジアーノ岡山に攻め込まれ、何度か、まさに決定的と言えそうなピンチまで創りだされた。
わたしは、そんなピンチシーンを観ながら、思っていた。
・・そうそう、この苦しみのなかから生み出される(はずの!!)勝ち点3こそが、次につながる「心理・精神的な価値」を内包しているんだよ・・
もちろん、何度か、ホントに危ないピンチを創りだされはしたけれど・・
それでも、勝ち切れたコトにこそ、これ以上ないほどの「価値」が込められている・・
まあ、よかった・・
レッズは、これから、日本の代表クラブとして、クラブワールドカップに臨むわけだからね。
そこまでに、しっかりとチーム(サッカー)を、十二分に充実させて欲しいと願っているのは、私だけじゃないでしょ。
============
最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
-
===============
重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-
"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
==============
ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
-
-
-
-