湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第6節(2025年3月15日、土曜日)

 

優れたプロコーチ、城福浩と長谷川健太の激突・・前半は、長谷川健太、後半は城福浩が存在感を発揮・・その、前後半の「ゲーム内容の変化バックボーン」を探った・・(ヴェルディvsグランパス、2-1)

 

城福浩ヴェルディ・・

全体的に、サッカー内容が、よくないナ〜〜・・

そんなネガティブなゲーム展開のなか、見事な先制ゴールまで、決められてしまう・・

それだけじゃなく、絶対キャプテン&キャプテン&攻守の要である、森田晃樹が、ケガで交替退場せざるを得なくなってしまう・・

そんな、前半の、城福浩ヴェルディの「苦境」を観ながら・・

・・これは、今日は難しいな・・

・・まあ、そんな日もあるさ・・

そんな、例によっての、とてもイージーな感性に包まれていたよ。

でも・・

そう、後半のヴェルディが、完璧なイメチェンを果たしちゃうんだ。

その盛り返しの絶対ベースは、強烈な「闘う意志」。

前半は、イニシアチブにしても、シュートにしても、まさに「ジリ貧」だったんだよ。

それが、後半は・・

わたしは、城福浩ヴェルディの、そんな(劇的とも言えそうな!?)ポジティブ変化を体感しながら、こんなコトを思ったものサ。

そうそう・・

サッカーは、究極の「意志のボールゲーム」だったっけ・・

このところ、変なダゾン解説に、ネガティブに触発されている。

そう、カタチを分析の絶対ベースにしたり、それを根拠に、ゲーム内容を解説するような愚行が、鼻についていたんだ。

あのね・・

サッカーには、ボール奪取プロセス(守備)と、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)しかないんだよ。

選手たちは、攻守にわたって、具体的ターゲットにしぼって、イメージングを描きつづける。

そして、攻守にわたる「唯一の目標」に狙いを定めて、爆発するっちゅうわけだ。

もちろん・・

立ち位置の「調整」は、その「局面アクションの機能性」をアップさせるために、大事。

そう、チームメイトとの、「イメージング共有」が、大事なファクターなんだ。

でも、実際に、局面では・・

そう、局面でのプレーでは、立ち位置とかいった「カタチ」などとは、まったく関係なく・・

いかにボールを奪い返せるか・・

いかに、スペースを攻略していけるのか・・

選手たちは、そんな、究極の「意志ターゲット」に向けて、全力を傾注するんだよ。

だから、例えば・・

「トライアングル」というグラウンド上の現象にしても・・

スペースを攻略しようと、パスレシーブのフリーランニングを仕掛ける動きとボールの動きのなかで、自然と、トライアングルが「出来つづける」んだよ。

だからサ・・

「トライアングルを、つくれ〜〜っ!!」などと叫んでいるコーチって・・

まさに、狂気の沙汰じゃありませんか。

繰り返すけれど・・

もちろん、相互のポジショニングバランスへの、「鋭い、共有イメージング」は、大事。

でも実際には、選手たちが、そのポジショニングバランスを考えながら・・

攻守にわたる、局面の(ボールを奪い返そうとしたり、スペースを攻略しようとする)勝負にチャレンジしているわけじゃないんだよ。

そこじゃ、単に、(味方チェイス&チェックを糧に!?)ボール奪取の勝負アクションを、ブチかましているだけなんだ。

もちろん、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、フリーランニング(パスレシーブの動き)だって、同じなのさ。

そこじゃ、誰も、トライアングルや、味方とのポジショニングバランスといった「カタチ」なんて、気にしていないんだよ。

ということで、全体的な、ゲームインプレッションだけれど・・

この試合じゃ、ヴェルディ城福浩の、優れた「心理マネージメント」が冴えわたったとすることに、躊躇しません。

そう、最後の時間帯に投入された、稲見哲行と福田湧矢がブチかました、爆発的な「前からプレス」の闘う姿勢を観ていれば・・

そんな爆発アクションが、いかにチームを勇気づけ、次のボール奪取アクションを活性化するのか・・

・・などなどといった、監督による「マインド・マネージメント」が、素晴らしく「機能」したって、誰もが、納得するはずだよね。

わたしは、同じサッカー人の一人として、このゲームで、城福浩が魅せた、素晴らしい「心理マネージメントのウデ」に対して、心からの称賛と感謝の拍手をおくります。

あっと、長谷川健太グランパス・・

前半は、素晴らしいサッカーで、ヴェルディを圧倒した。

でも後半は、前述した、ヴェルディの「心理パワー」に、「勢い」を吸収されちゃった。

そんなだったから、思い切ったスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)も、出せず仕舞い。

特に、後半は、ボールがないところでのアクションの量と質が、まったくアップせず、チームメイト同士で、アナタ任せのプレー姿勢に終始したという印象が強かった。

それじゃ、ヴェルディ守備イメージングの「ウラ」を突くような、仕掛けだって、望み薄だよね。

これで、グランパスは、最下位に沈みつづけるっちゅうコトになった。

まあ、優れたプロコーチ長谷川健太だから、ここから、しっかりと立て直してくるとは思うけれど・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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