さて試合です。
このゲームは、実力の相違が、そのまま得点差になって表れたといったものでした。
実力の差の本質は、攻撃では「ボールの動き」のレベル、守備では「読みベースのクレバーなマーキングとカバーリング」です。
アントラーズは、これまで何度も書いてきているように、素早く、そして広くボールを動かします。たしかに、一部参入決定戦に向けて調子が上向いているヴィッセルも、そこそこのボールの動きを見せますが、それでも、「ボールがないところでの動き(フリーランニング)」のレベルが違うことで、どうしても球の動きがスムーズではなく停滞気味になってしまうのです。そしてそのことで、簡単にアントラーズ守備の餌食になってしまいます。
それも、アントラーズの守備がいいから。攻撃と守備は、やはり有機的にリンクしているということですが、それは何も対戦相手同士のことだけではありません。自軍の守備が良ければ、それがクリエイティブでアクティブな攻撃のベースになるのです。
とにかくこの試合では、攻守にわたってアントラーズがヴィッセルを圧倒したとすることができそうです。
その立て役者は、何といってもジョルジーニョ。
ビスマルクとマジーニョが不在ということで、また優勝がかかった大一番ということで、この試合での彼の「気合い」の入り方はレベルを超えていました。
彼の基本的なポジションは守備的なハーフ(ボランチ)。それでも、チャンスとなれば最前線まで飛び出したり、中盤や最後尾での攻撃の起点として、例の「正確なキラーロングパス」を魅せるのです。
そして本来の守備ですが、この試合での彼のカバーリングは、もう世界レベル。とにかく危ない場面には、例外なく彼が登場してきます。それは、リードしたらジョルジーニョが最終守備ラインに「リベロ」として入る・・ということが「ゲーム戦術」として決められていたからなのでしょうが、それにしても、リードした後でも、そんなスーパーな守備プレーだけではなく攻撃にも何度も顔を見せてくるジョルジーニョに脱帽ではありました。
たぶんゼ・マリア監督は、リードした後は慎重に・・と考えていたに違いありません。ただジョルジーニョの「マインド」は違っていました。
最後まで積極的に・・。チャンスさえあれば、絶対に攻撃に参加し続ける・・。彼は、基本的な役割をしっかりとこなした上で、どんどんと「それ以上」のリスキーな仕事を「自分から」探してトライしていたに違いないと思うのです。それは「ポジティブな意味でのルール破り」。もしチームにそんな選手がいたら、それこそ「宝物」なのです。
アントラーズの最終守備ラインのシステムは、これまで何度もとりあげたとおり、変則のスリーバック。つまり、臨機応変に、本田、ジョルジーニョが最終守備ラインに入るということですが、彼らの「タテのポジションチェンジ」は、これ以上ないというくらいうまく機能していました。
またまたジョルジーニョに戻ってしまいますが、彼の運動量は、とても34歳とは思えません。ドイツ、ブンデスリーガの雄、バイエルン・ミュンヘンでも頼りにされたパーソナリティーですから、それも当然といったところではありますが、彼のイメージは、すでにチャンピオンシップに飛んでいるに違いありません。
また最前線でも、長谷川、柳沢のクリエイティブなプレーが目立ちます。長谷川の忠実なボールを受ける動きと得点能力は、いつも通りのハイレベル。また「期待の星」、柳沢の積極的なプレーも目立っていました。
さて、アントラーズとジュビロのチャンピオンシップです。このことについては、二週間前の「Yahoo Sports 2002 Club」で、「チャンピオンシップの前哨戦?!」というコラムで書きましたので、それを参照してください。
今回のコラムはあまり内容が詰まっていないように感じますが、一部参入決定戦、またチャンピオンシップでは、しっかりと「エッセンス」を抽出します。ご期待アレ・・