湯浅健二の「J」ワンポイント


1998年J-リーグ・セカンドステージの各ラウンドレビュー


第十七節(1998年11月14日)

アントラーズvsヴィッセル(4-1)

レビュー

 いまサッカー関係で一番注目を集めているのは、フリューゲルス問題に端を発した「J」の危機です。そのことに関する私の基本的な考え方は、13日の金曜日にアップデートされた「Yahoo Sports 2002 Club」(「Yahoo」のトップページからすぐに入れます)で発表しました。また、私のホームページの「トピックス」でも同じコラムを載せますので参照してください。

 さて試合です。

 このゲームは、実力の相違が、そのまま得点差になって表れたといったものでした。

 実力の差の本質は、攻撃では「ボールの動き」のレベル、守備では「読みベースのクレバーなマーキングとカバーリング」です。

 アントラーズは、これまで何度も書いてきているように、素早く、そして広くボールを動かします。たしかに、一部参入決定戦に向けて調子が上向いているヴィッセルも、そこそこのボールの動きを見せますが、それでも、「ボールがないところでの動き(フリーランニング)」のレベルが違うことで、どうしても球の動きがスムーズではなく停滞気味になってしまうのです。そしてそのことで、簡単にアントラーズ守備の餌食になってしまいます。

 それも、アントラーズの守備がいいから。攻撃と守備は、やはり有機的にリンクしているということですが、それは何も対戦相手同士のことだけではありません。自軍の守備が良ければ、それがクリエイティブでアクティブな攻撃のベースになるのです。

 とにかくこの試合では、攻守にわたってアントラーズがヴィッセルを圧倒したとすることができそうです。

 その立て役者は、何といってもジョルジーニョ。

 ビスマルクとマジーニョが不在ということで、また優勝がかかった大一番ということで、この試合での彼の「気合い」の入り方はレベルを超えていました。

 彼の基本的なポジションは守備的なハーフ(ボランチ)。それでも、チャンスとなれば最前線まで飛び出したり、中盤や最後尾での攻撃の起点として、例の「正確なキラーロングパス」を魅せるのです。

 そして本来の守備ですが、この試合での彼のカバーリングは、もう世界レベル。とにかく危ない場面には、例外なく彼が登場してきます。それは、リードしたらジョルジーニョが最終守備ラインに「リベロ」として入る・・ということが「ゲーム戦術」として決められていたからなのでしょうが、それにしても、リードした後でも、そんなスーパーな守備プレーだけではなく攻撃にも何度も顔を見せてくるジョルジーニョに脱帽ではありました。

 たぶんゼ・マリア監督は、リードした後は慎重に・・と考えていたに違いありません。ただジョルジーニョの「マインド」は違っていました。

 最後まで積極的に・・。チャンスさえあれば、絶対に攻撃に参加し続ける・・。彼は、基本的な役割をしっかりとこなした上で、どんどんと「それ以上」のリスキーな仕事を「自分から」探してトライしていたに違いないと思うのです。それは「ポジティブな意味でのルール破り」。もしチームにそんな選手がいたら、それこそ「宝物」なのです。

 アントラーズの最終守備ラインのシステムは、これまで何度もとりあげたとおり、変則のスリーバック。つまり、臨機応変に、本田、ジョルジーニョが最終守備ラインに入るということですが、彼らの「タテのポジションチェンジ」は、これ以上ないというくらいうまく機能していました。

 またまたジョルジーニョに戻ってしまいますが、彼の運動量は、とても34歳とは思えません。ドイツ、ブンデスリーガの雄、バイエルン・ミュンヘンでも頼りにされたパーソナリティーですから、それも当然といったところではありますが、彼のイメージは、すでにチャンピオンシップに飛んでいるに違いありません。

 また最前線でも、長谷川、柳沢のクリエイティブなプレーが目立ちます。長谷川の忠実なボールを受ける動きと得点能力は、いつも通りのハイレベル。また「期待の星」、柳沢の積極的なプレーも目立っていました。

 さて、アントラーズとジュビロのチャンピオンシップです。このことについては、二週間前の「Yahoo Sports 2002 Club」で、「チャンピオンシップの前哨戦?!」というコラムで書きましたので、それを参照してください。

 今回のコラムはあまり内容が詰まっていないように感じますが、一部参入決定戦、またチャンピオンシップでは、しっかりと「エッセンス」を抽出します。ご期待アレ・・



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