湯浅健二の「J」ワンポイント
1997年シーズン・セカンドステージプレビュー
ファーストステージの結果、内容をふまえて、セカンドステージのプレビューをやってみようと思います。チームの順番は、1993〜1996年シーズンを通した「勝率」に準じますので悪しからず・・。それにしても、やはりサッカー。このチーム・プレビューの順番を見ていると、下克上というか、長くチーム力を維持するのがいかに難しいかということを実感しませんか?
- ヴェルディー川崎
- セカンドステージの新戦力
- 1995年シーズンに、エスパルスに在籍したこともある「ジアス」と、「あの」アルシンドです。
- 見どころ
- 優勝請負人、エスピノーザ新監督のお手並み拝見、というのが最も大きな注目点です。それは、選手達の、彼に対する評価(つまり信頼感の醸成と権威の確立)によります。これまでの短い期間で、いかに選手のハートを射止めたか・・注目です。また、「副収入」が多くて「怠惰」になり、結局は「J」からお払い箱になったアルシンドですが、「ハングリー」になって帰ってきたのでしょうか。エスピノーザ監督もオーケーしたのですから、そうとしか考えられません。「ノン・ネーム」時代のアルシンド・パワーをまた見てみたいものです。もう一人の助っ人、ジアス。彼の実力は万人が認めるところ。ベテランになり、十分に実力を発揮するノウハウも身に付いているはずですから、期待できるはずですが・・。ヴェルディーに頑張ってもらわなければ、リーグが面白くなりません。私自身は、「前園」の再生プロセスがどのような結果になるか非常に注目しています。彼の再生も、エスピノーザの最も重要なタスクの一つだと思うのですが・・。その意味でも、セカンドステージ第一戦に大注目しています。
- 鹿島アントラーズ
- セカンドステージの新戦力
- 特になし?!
- 見どころ
- ファーストステージは、フリューゲルスとの激闘の末にチャンピオンに輝いたアントラーズ。チーム力、経験、選手達のハートなどは、疑いもなくリーグNo.1です。カルロス監督は非常に良い仕事をしています。もちろん「ジーコ」の存在も大きいに違いありません。今のプロサッカービジネスは、昔と違い、一人で何でも・・というスーパーコーチは存在しにくくなっているのです。それほどチーム力を維持するための仕事が、多方面、多領域にわたっているということなのですが、アントラーズでは、現場の「協力関係」が非常にうまくいっているということなのでしょう。まあそれでも、カルロス監督の「アドバイザー」は、「あの」ジーコですからね。それもジーコ自身が、「私は、聞かれたら意見を言うだけ・・」と、しっかりとカルロス監督を立てています。そこらへんの「心理メカニズム・マネージメント」には、学ぶところがあると思いませんか?このままでは、セカンドステージもアントラーズのもの・・?!それでは「リーグの灯」が消えてしまいます。フリューゲルスだけではなく、他にも強力なライバルの出現が必要だと思うのですが・・。アントラーズファンの方々も、そう思っているに違いありません・・・ヨネ????
- 横浜マリノス
- セカンドステージの新戦力
- ペトコヴィッチ(ユーゴスラビア)
- 見どころ
- ファーストステージのマリノス。シュート数は三位、一試合平均ゴール数では五位と、攻撃ではいいところを見せていましたが、一試合平均ゴール数では、ビリから4番目といいところがありませんでした。井原というアジアを代表するリベロがいるにもかかわらずです。この原因として、中盤選手達の「守備の意識」の低下をあげることができると思います。守備は一人でできるものではなく、これこそ「協力作業」ですからネ。アルゼンチンに帰国してしまったサパタが懐かしい?!最近、マリノスを代表するディフエンシブハーフ、野田のパートナーに上野が選ばれたと聞きます。才能は広く認められている上野ですが、「普通の天才」の例にもれず、運動量、ボールのないところでのプレーに問題を抱えていました。その上野が守備的ハーフ・・!!そのことを聞いたときは、自分のミミを疑いましたが、それでもある程度のいいプレーをしていると聞きます。このところマリノスの試合を見ていないので何とも言えませんが、アルカルゴルタ監督の期待どおり、彼も「ブレーク」し始めたのでしょうか。もしそうだとしたら、マリノスは「技術系のファイター」を獲得したことになります。かけがえのないタイプのプレーヤーです。セカンドステージでは、上野のプレーに注目しましょうかネ。
- 清水エスパルス
- セカンドステージの新戦力
- 特になし?!
- 見どころ
- 時間を見つけて書きます・・・
- ジュビロ磐田
- セカンドステージの新戦力
- 特になし?!
- 見どころ
- 世界のルールを無視して帰国してしまったフェリペ監督。腹立たしい限りです。こんなこと、もしドイツでやったら大変な制裁が待っているに違いありません。日本を甘く見ているとしかいいようがありません。それに呼応するかのように不調だったジュビロ。セカンドステージでは、ワールドユース監督の山本氏がヘッドコーチに就任すると聞きます。彼は、アトランタ五輪でもコーチをつとめたわけで、その意味では「世界」の一端を知っているとすることができるでしょう。「世界のキビシサ」の一端をです。ジュビロは力のあるチーム。彼と桑原監督代行の手腕に注目しましょうかネ。
- 柏レイソル
- セカンドステージの新戦力
- ファーストステージ途中からチームに参加した「シルバ」。
- 見どころ
- エジウソン、ジャメーリ、加藤、シルバの攻撃陣は破壊力バツグン。ファーストステージでの一試合平均ゴール数でも、フリューゲルスに続いて僅差の二位です。また一試合平均失点でも三位と、守備も非常に安定してきています。それは、下平、伊達の守備的ハーフだけではなく、加藤、ジャメーリも積極的に守備参加する姿勢が定着してきたからでしょう。何といっても、優勝するための一番の要因は「守備の安定」です。それが安定しないことには、爆発的な攻撃力も不発に終わってしまいます。今のレイソル。攻守の好バランスをベースに、確実に優勝を狙えるチームに育っています。
- 名古屋グランパス
- セカンドステージの新戦力
- 元、ブラジル代表(セレソン)中盤のリーダー、バウド。
- 見どころ
- 1980年代のバウドのプレーは、本当に素晴らしいものがありました。でも私の第一印象は、「エッ、まだやっていたの・・」というもの。33歳になるバウドが、どのくらい貢献できるか疑問ではあります。それでも、ケイロス監督が納得してつれてきたのですから、大丈夫だとは思いますが・・。ケイロス監督はポルトガル人。ポルトガルの名門、ベンフィカ・リスボンでプレーしていたバウドに関する情報は十分あったに違いありませんからネ。ということで、期待できるとしておきましょう。私は、グランパスをファーストステージの優勝候補にあげていました。負け続けたとはいえ、最初の頃は、確かに試合内容にもいいものがありました。そして「3バック」にしてからの連勝街道。それでも私は少し寂しい思いをしています。「J」で唯一の「ライン・フォー」守備ラインで戦っていたグランパスですからネ。ともあれセカンドステージ。ストイコビッチとバウドの「攻撃のクリエイティビティー」に期待です。
- 横浜フリューゲルス
- セカンドステージの新戦力
- ジーニョの代わりに獲得したフェルナンド。
- 見どころ
- ジーニョが抜けてしまった・・。さて大変ダ。代わりに23歳のフェルナンドが加入することは決まりましたが、すぐに彼がジーニョほどの活躍ができるかどうかは疑問。他の文化圏になじむまでには時間がかかりますからね。ファーストステージでは、一試合平均ゴール数ではトップのフリューゲルス。それはジーニョによるところがおおきかったわけで、その彼が抜けたことは本当に大きな戦力ダウンだとするのが自然のように感じます。とはいっても、守備力は安定しているわけで、苦しい戦いが予想されるにしても、まだ十分に優勝する力は備えています。リーグの灯を消さないためにも、頑張って欲しいものです。
- サンフレッチェ広島
- セカンドステージの新戦力
- イングランド、ノーリッジでプレーしていた、イアン・クルーク。
- 見どころ
- サンフレッチェのゲームはあまり見ていないので何とも言えませんが、徐々に、トムソン監督のコンセプトがチームに浸透してきているように感じます。中国地方唯一の「J」チーム。頑張って欲しいものです。
- ジェフ市原
- セカンドステージの新戦力
- オランダ、アヤックスでプレーしていた、スコルテン。
- 見どころ
- なんといっても、中盤の核弾頭「ラデ」のスペイン移籍騒動です。それがチームに暗いカゲを落としているような印象を受けます。実のことをいうと、今シーズンのジェフの試合は、まだ一試合しか見ていません。対ヴェルディー戦だったのですが、そこで印象に残ったのが、ラデの自信あふれるプレーと全員での素晴らしく積極的な守備でした。ただその後は泣かず飛ばずで結局ビリ三位。ファーストステージの一試合平均失点数では、ヴィッセルとともに最下位でした。「あの」ヴェルディー戦の守備はいったいどこへいってしまったのでしょうか。とにかく、セカンドステージでの最重要課題は「守備の再生」。千葉を代表するクラブとして頑張ってもらいたいものです。それにしても観客が入りませんね。スタジアムの地理的なこともあるのでしょう。事情を熟知しているわけではないので、営業努力が足りないなどという軽率な発言はしませんが。それにしても・・・。
- ベルマーレ平塚
- セカンドステージの新戦力
- ファーストステージ途中から参加した韓国代表、洪。
- 見どころ
- なんといっても、日本代表の司令塔にまで成長した中田です。もちろん洪も、中盤守備での穴埋めや前線への効果的なパス供給と、いいプレーをしていますし、「日本人」のロペスも素晴らしい「ゴール前の嗅覚(これについては、私のコラムを参照してください)」を見せています。それでも中田。「トピックス・コーナー」や「2002 Japan」のコラムでも何度もとりあげましたが、彼の『攻守にわたる』チーム貢献プレーには、本当に「未来」を感じさせるものがあります。要は「アタマ」なんでしょうネ。ケガをしないように頑張って欲しいものです。ただワールドカップ予選で彼が抜けた後が問題。彼の代役はいませんからね。そんな「緊急事態」でものをいうのが、本来のチームプレーです。全員守備、全員攻撃(反対ではありません)を標榜する植木監督。チーム全員がそのことを「深層」から理解すれば、緊急事態も乗り越えられるに違いありません。
- 浦和レッズ
- セカンドステージの新戦力
- 元スペイン代表、ベギリスタイン。オランダ人ディフェンダー、ネイハイス。
- 見どころ
- 「J」最終戦、対ベルマーレ。また、先日行われたフレンドリーマッチ、対マンチェスター・ユナイテッド戦を見ました。その限りでは、セカンドステージに大期待といったところです。とにかく、新戦力のベギリスタインは素晴らしいプレーを展開しました。パスを受ける「フリーランニング」、効果的な守備参加、そしてボールを持ったときのクリエイティブプレー。素晴らしい。特に、相手GKと最終守備ラインとの間の「決定的スペース」へのフリーランニングは迫力ものでした。皆さんも、ボールだけではなく、「ボールのないところでの」彼のプレーに注目してください。サッカーは「ボールのないところ」で勝負が決まってしまうのですからネ。また、ブッフバルトですが、堅実なディフェンダー、ネイハイスが入ったことで、本来の彼のポジションである守備的ミッドフィールダーでプレーすることになりそうです。それでも36歳という彼の年齢を考えた場合、中盤のパートナーである(この二人が私の考えるベストコンビ)堀と土橋との「カバーリング・コンビネーション」が重要になってきます。私は、ギドは、決定的なチャンス以外、あまり上がるべきではないと考えているのですが、皆さんはいかが・・・
- セレッソ大阪
- セカンドステージの新戦力
- クラウジーニョとアレックス(ともにブラジル)
- 見どころ
- 新戦力のブラジル人選手は未知数。ただ、最終節のアントラーズ戦を見る限り、セカンドステージは期待できそうです。いつもあれくらいの「アクティブサッカー」を展開すれば、上位にからんでくることは間違いないのに・・。それがファーストステージが始まる前の私の予測でもありました。それでも、シーズンを通して「ハイ・パフォーマンス」を維持することは非常に困難。それが出来るチームが最終的に優勝争いにからんでくるということになるわけです。セレッソには、その安定感を期待します。そのベースが「安定した守備」にあることは言うまでもありませんよネ。
- ガンバ大阪
- セカンドステージの新戦力
- カーリッチ(スロヴェニア)
- 見どころ
- ファーストステージは、本当に波がありました。それでも一試合平均ゴール数、平均失点数では、ともに6位と、いいところにつけています。エムボマばかり注目されていますが、サッカーの基本は守備。それが安定しないことには、いくら黒豹といえども活躍できないことはサッカーの歴史が証明しているのです。
- アビスパ福岡
- セカンドステージの新戦力
- マケーダ(スペイン)、オビーク(ナイジェリア)
- 見どころ
- ファーストステージは最下位に甘んじたアビスパ、セカンドステージは、新戦力のマケーダとオビークに大期待です。彼らは「世界レベル」の選手達。アビスパに旋風を吹き込んでくれるに違いありません。アビスパの試合、私は、まだ一試合しか見ていないので、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。
- 京都パープルサンガ
- セカンドステージの新戦力
- 特になし?!
- 見どころ
- 最近のサンガ、非常に好調ですね。チームに溶け込んできたダニエル。元々もっていた才能が花開きつつある山口と藤吉。ディフェンスも安定してきているような印象があります。あとはラモスの復帰を待つだけですね。確かにスピードや運動量は落ちました。年齢を考えれば当然なのですが、それでも彼の「球出し」(つまり非常に効果的な場所へ、早いタイミングでパスを出すことができる能力のことです)の能力は特筆もの。彼がボールを持ったときには、遠くに離れているプレーヤーでさえ、すぐに決定的な「フリーランニング」を始めることからも、ラモスの能力に対する信頼が厚いことを感じます。また彼の「闘争心」も、チームに好影響をもたらしています。いつまで出来るかカリオカ・・。私が読売サッカークラブのコーチだったときもチームの主力だった彼には、もう一花咲かせてやりたいのですが・・。
- ヴィッセル神戸
- セカンドステージの新戦力
- ビングリー(オーストラリア)
- 見どころ
- 途中降板してしまったラウドルップ。そのことがヴィッセルにとって大きな痛手だったことは確かなこと。名将、バクスター監督にとっても頭の痛いところではありました。それでもファーストステージの6勝10敗は大したものです。復調の永島も、現在ゴールゲッターランキングの第二位にいます。ただ守備がいただけない。一試合平均失点では、ジェフとともに最下位なのです。セカンドステージは、まず守備の立て直しから始めなければなりません。「あの」バクスター監督ですから、ちゃんと秘策を練っているとは思いますが・・・。
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