一昨日のレポートでそんなことを書いたのですが、その後、多くの方々から「心配しています・・」なんてメールをいただきました。なんといっても相手は、ヨーロッパ予選を勝ち抜いた強豪国であることは変わりませんし、チュニジアにしても、アフリカの猛者ですからネ。
そうなんですよ。本当は、私も心配しているんです。本日の早朝、静岡放送ラジオに出演したのですが、そこで、『ロシア、ベルギー、はたまたチュニジアともに二列目のチームであり、予選リーグにトップフォームにもってくる・・、彼らは優勝を具体的なターゲットにしていないだろうし、失うものがないという解放心理で本大会に臨んでくるだろうから、特に怖い・・、フランス大会では、アルゼンチン、クロアチアともに、決勝トーナメントへ向けたフォームアップをイメージしていただろうから(また相手がかなり力の劣る日本とジャマイカだったから!)、また気温がもの凄く高かったこともあったし、心理的なプレッシャーも高かったから、失うモノのない日本代表もかなり拮抗したゲームを展開できた・・、でも今回は・・』といった内容のことを話しました。
たしかに、ベルギーにしても、ロシアにしても最高テンションの勝負を挑んでくることでしょう(まあ最後のチュニジアについては、予選リーグの趨勢が決まった後ですから・・)。日本にとっては、非常に厳しい試合になること必至なのです。だからこそ、これ以上ないというギリギリのドラマを共有することができる・・。楽しみじゃありませんか。
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もう一つ。今日のスポーツ新聞で、「仮想トレーニングマッチ」という見出しが踊っていたことについて・・。まあ、「仮想」なんてことが、どこまで実効を伴うのかは疑問ですが、それでも強い相手とのトレーニングマッチはどんどんやらなければ・・。要は、強い相手とのトレーニングマッチにおいて、積極的な「リスクチャレンジ」を重ねることで、これまで高まってきた日本代表の「自信レベル」を、より確固たるモノにできるというわけです。また5月には、レアル・マドリーとの試合も現実味を帯びてきたようですしね。
そこでもっとも重要なファクターは、『できる限り』相手チームの選手たちを、「よし、やってやる!」とか、「ふざけるなヨ!」なんていう「本気モード」にすることです。
2001年では、なんといっても3月のフランス戦。彼らは、その一ヶ月前に行われたドイツ代表とのフレンドリーマッチで、(勝利をおさめたとはいえ)無様なサッカーを展開しました。だからこそ、また相手が、W杯のホストカントリーということも含めて、様々な意味で話題になっていた日本代表だったからこそ、彼らは「本気」で日本代表を叩きにきたのです。そして、だからこそ、そのゲームの「実効(学習機会という価値)」が格段にアップしたというわけです。
また10月のセネガル戦も、相手は、日本代表を活用して「世界での存在感」をアップさせるという高いモティベーション状態にありました。彼らはハングリーなのです。だからこそ、セネガルにとってもの凄く厳しいスケジュールのなかでで行われた韓国でのアウェーゲームにも、全力で取り組み、勝利までおさめたのです。この試合は、韓国代表にとっても、かなり「実効」あるマッチだったに違いない・・
相手の「心理モード」を高める手段については、星の数ほどあるはず。もちろん、フィリップによる「リップ・プロボケーション(挑発)」も含めてネ・・。「フランスを叩いてやる。我々が追いかけるのじゃなく、ヤツらが、日本代表のボールを追いかけることになるんだヨ・・」なんて発言(もちろん、パリでのフランス代表戦の前の発言ですよ!)、素晴らしいじゃありませんか。期待しているヨ、フィリップ・・
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さてチャンピオンシップ。
皆さんご覧になった通り、内容では、ジュビロが圧倒していました。
クリエイティブな「ポジショニング・バランス・オリエンテッド」のディフェンス。選手たちのレベルを超えた守備意識を感じます。マークを外された後の全力でのチェイシング。抜き去られた後の、全力での「次のポジション」への移動。また、アントラーズの次のパスをイメージした、クレバーなポジショニングからの「協力プレス」の演出。いや、素晴らしい。
そしてボールを奪い返した後の、広く、素早いボールの動き。もちろんそこでは、最前線への「仕掛けのタテパス」もどんどんと飛び出してきます。それも、展開パスと変わらぬ「タイミング」で、ポンポンと、勝負のタテパスが送り込まれるのです。もちろん、相手守備ブロックが薄くなったサイドなどでボールをもったら、中山ゴンが、奥が、西が、藤田が、はたまた「タテのポジションチェンジ」で上がってきた服部が、福西が、勇気をもって単独ドリブル勝負に挑んでいきます。その最中にも、周りでは、見方が勝負のフリーランニングをくり返している・・。強いはずだ。
対するアントラーズ。たしかにビスマルクは調子がいまいち。彼のところでクリエイティブなタメが演出されるというシーンがほとんど出てきません。また、一人ひとりの選手が、ちょっとボールをこねくり回し過ぎ。まあそれも、ビスマルク、小笠原が、彼らがイメージするようなキープ(タメの演出)ができないということもあるのでしょうがネ。それにしても・・
ジュビロのボールの動きでは、アントラーズの選手たちも、守備での次のターゲットを絞りきれないシーンが連続してしまうのも道理。対するアントラーズの鈍重なボールの動きでは、ジュビロの選手たちのターゲットイメージが鮮明になるも道理。それにしても、ジュビロ選手たちのチェイシングは素晴らしい。あの「追いかけ」が、彼らの強い中盤守備のシークレットポイントなんでしょう。
中山ゴンの二点目のシーンは、本当に秀逸でした。
ジュビロの藤田と服部による協力プレスに、たまらず逃げるように、熊谷へ横パスを送るビスマルク・・、すかさずゴンが、パスを受けようとする熊谷にプレッシャーをかける・・、その状況で、これまたすかさず、ボールを追い上げてきた(チェイシングしてきた)服部が、熊谷の次のプレーゾーンを制限するようなポジショニングに入ろうとする・・、その動きと、ゴンのプレスに余裕を失った熊谷がミスをし、そのボールが、服部、ゴンとわたり、最後は「ゴン、ゴ〜〜ン!!」という、目の覚めるようなミドルシュートが決まる・・。
とにかく、ジュビロは、内容でアントラーズを凌駕しました。だからこそ、アントラーズの「これぞ、勝負強さ!」という同点劇が、鮮烈に印象に残った・・
とはいっても、セットプレーの危険度では、アントラーズに一日の長がありそうです。もちろんそれは、その一発チャンスに絡む全員が、同じ勝負イメージを共有しているからに他なりません。
第二戦が楽しみで仕方なくなりました。もちろん私も、鹿島まで、愛車のオートバイを駆って出かけます。とにかく今回のチャンピオンシップが、日本サッカー史に残る勝負マッチになることだけは確かなことですからネ。その証人にならなくて何とする・・。
では今日はこのあたりで・・