では・・。
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ボクは、自らの能力・価値を信じる気持ち・・と定義できる「自信」さえもって行動すれば、あたかも身体の底から湧き出してくる不思議なスピリチュアル・エネルギーに支えられるかのように、どんなことでも、少なくても良い方向へ進んでいくことができるものだと確信している。
では、自信を取り戻したり、それを深めるためにはどうすればよいのか。
そのスタートラインは、組織の(個人の)目的を達成するため、自分自身の判断・決断をベースにリスクにチャレンジし、成功を体感すること。逆に一番マズいのは、自分自身で、必要もない心理的なカベをつくってしまうことで、チャレンジの発想自体を失ってしまうことだ。
「それでも、いつも成功するとは限らない・・」。そんな反論が目に見えるようだが、ここでいう「成功」とは、自分自身の考え方次第である。まわりには成果がなかったように見えても、自分自身が、それを成功だと思えればいいということだ。そしてそれが、「自分自身にとっての自信」につながっていく。
ボクが、プロのサッカーコーチを目指してドイツへ留学することを決断したのは大学3年のとき。1974年のことだから、「J」なんてカゲもカタチもない頃だ。まわりは、それで生活できるはずがないから、いったい何を考えているんだ・・とネガティブ意見のオンパレード。それでも、大学を卒業してそのまま就職(就社?!)するなんてことは、これっぽっちも考えることはなかった。そしてプロコーチを目指し、サッカーネーションの厳しい環境に飛び込んでいった。いま考えてみると、そこで決断し、実行したこと自体が(チャレンジしたこと自体が)、ボク自身の自信の原点になったと思う。
ドイツでは、日常生活も含め、毎日が「チャレンジ」の連続だった。もちろん何度も、結果としての失敗をくり返したわけだが、とにかく、チャレンジすること自体が成功なのだと自分自身に言い聞かせていた。そして徐々に、ホンモノの自信ベースが確立されてくる。最高峰のプロサッカーコーチ養成コース(スペシャルライセンス・コース)には現役のプロ選手も含む強者が集まってくる。それでもボクは、最後には(心理・精神的に)対等の立場を築くことができたと自負している。自らを信じ、身体の奧からわき出てくるエネルギーにサポートされながら・・。
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コーチの重要な「お仕事」の一つは、選手たちが自信を回復したり、それを深めていくためのスタートラインである、自分主体(自己の判断・決断ベース)のリスクチャレンジ(=自己主張)をモティベートすることだ。
「出来るゾ!」、「大丈夫!」などという言葉だけではなく、何度失敗しても、とにかく意図のあるリスクチャレンジを続けさせる。現象的な「結果」ではなく、一つひとつの「プレーの意義」をベースに、たとえ失敗したとしても、それを「成功」として、強烈な刺激を与えながら「体感」させるのだ。重要なことは、それぞれのプレーの「結果」ではなく「意図」にこだわり続けることなのである。
例えば・・
センターバックが、最終守備ラインを大きく飛び出してまでインターセプトを狙いにいった。そして、リスクチャレンジの「意図」が功を奏してボールを奪い返し、そのまま攻撃に参加していく。それも、「自分がシュートするんだ!」という意気込みを前面に押し出しながら・・。ただ最終局面を前に、中途半端なカタチでボールを奪い返され、カウンターを食らってしまう。
たしかにそのプレーはリスキーだし、「結果」として味方の大ピンチにつながってしまうかもしれない。ただ、そんな「後のこと」にとらわれ過ぎ、彼の「アクティブ・スピリット」を抑制してしまっては、チーム全体のプレーを活性化するための「刺激手段」を自ら放棄してしまうことになってしまう。そのことが言いたかった。
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もちろん、そんな「リスクチャレンジ」を支援するためのクレバーなチーム戦術も必要だ。
その一つが、「ローテーション」と呼ばれる戦術。それは、両サイド、中央で、中盤、守備ラインの数人の選手たちがコンビを組み、交代に攻め上がる(交代で後方に残る)という「戦術的な発想」である。要は、効果的な攻撃参加チャンスがめぐってきた選手は常に上がっていくが、「その後」の守備は、彼の「ローテーション・パートナー」が受け持つということだ。そして「次の攻め」では、別のメンバーが・・ってな具合だ。
コーチは、リスクチャレンジを通して、選手たちの自信を回復させ、深める努力を怠ってはならない。そしてそのために、モティベーション技術としてのクレバーな戦術を駆使するのである。
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さて、いかがだったでしょうか。
自信という捉えどころのない「心理ファクター」は、とにかく冒険をしなければ得ることも、深めることもできないということが言いたかったわけです。安全欲求は、人間の根本的なもの。ただサッカーにおいては、ネガティブマインドになってしまう・・ということです。
前回の、「決定力」にも明確にリンクしていますよネ。決定力を高めるためには、とにかく、シュートというリスクにチャレンジしなければならない。だからこそ、日々のトレーニングにおいて、プレッシャーのなかでのシュート練習という状況を設定しなければならない・・。そこでも、怒りなどの人間心理のダークサイドまでうまく操るようなコーチのウデが試されるというわけです。
次からは、サッカーに関する「経済と文化の動的な均衡」というテーマを分かりやすく展開しようかな・・なんて考えています。
では、今日はこの辺りで・・。まだ外国でウロウロしている湯浅でした。