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中田英寿について・・(2002年1月14日、月曜日)

またまた、ご無沙汰してしまって・・

 今日は、二試合ぶりに中田ヒデが交代出場したパルマ対レッチェについて、短くレポートすることにしました。

 中田が出場したのはロスタイムも含めて20分くらい。全体的には、攻守にわたってよく機能していました。左サイドでのボール奪取から、正確な展開パスや、タテパスを通すだけではなく、その後の全力での押し上げから、決定的なフリーランニングを仕掛けたり(もちろん追い越しフリーランニング!)、また逆サイドのスペースへ開いたディバイオへの、ベストタイミングでのサイドチェンジパスを通したり、はたまた、ズバッという惜しいシュートも放ちました。フムフム・・

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 カルミニャーニ監督、サッキ・テクニカルディレクターの基本的なアイデアは、とにかく「四人+四人のブロック」を崩さない・・、その強固な守備ブロックをベースに、両トップのボナッツォーリ、ディヴァイオにボールが入った状況で、臨機応変に、両サイドのラムーシ、マルキオンニ、はたまた両サイドのジュオール、ディアナをサポートへ上がらせる・・というものでしょう。

 その代わり、両守備的ハーフ、ボラーニョとボゴシアンは、絶対に深いところまで上がっていきません。そのことで、上がって選手の穴が、確実に埋める・・。重要なポイントは、この「攻撃の流れに対するイメージ」を、全員が、明確にイメージできていているということ。要は、監督とテクニカルディレクターの基本的なアイデアが、しっかりとチームに浸透しているということです。

 それでも、中盤の四人の選手たちは、基本的には守備タイプの(守備に基本的なクオリティーがある)選手たち。そんなところにも、「とにかく守備を堅牢にして、素早く相手ゴールに迫る・・」という、より確実なサッカーを志向するカルミニャーニ監督(それとサッキ)の、基本的なチーム戦術アイデアが伺えるというわけです。

 中盤での「最終勝負の起点」をベースに、シュートの可能性をクリエイティブに拡大していこうというのではなく、あくまでもシンプルに(単純に)相手ゴールへ迫る・・。パルマは、それが功を奏して二連勝。選手たちも自信を取り戻してきているように感じますし、何といっても「ウイングチーム・ネバーチェンジ」という原則からすれば、いくら、数日前のカップゲームで中田ヒデが軽快なプレーを展開したとはいえ、先発(基本的なチーム戦術)を変えないことには意義があります。

 たしかにシュートチャンスを作り出すという意味では少々単純に過ぎるサッカー。それでも堅牢、確実。今のパルマの状態を考えれば・・

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 中田英寿ですが、聞くところによると、彼自身の意向もあって(またレンタル料の折り合いがつかなくて!?)、シーズン終了までパルマで「戦う」ことになったとか。良いことじゃありませんか。

 以前私は、「自分自身で活路を切り開いていくために(自分のチカラを再び周りに認めさせるために!)全力で戦わなければならない状況は、トッププロ(=個人事業主)である中田にとって、もの凄くポジティブなもの・・」なんて書いたことがあります。

 カルミニャーニ監督は、中田の攻撃でのクオリティーを認めているに違いありません。それでも「比較的」守備に不安がある・・という判断なんでしょう。そのことは中田自身が一番良く分かっていることです。この試合でも、中田の守備参加はアクティブ。それが「次の攻め」にもポジティブな影響を与えていたと感じます。中田が入ってからのパルマの攻撃には、確実にイメージの広がりが出てきましたからネ。もちろん彼の場合は、ボラーニョやボゴシアンのように、深追いはしませんが、それでも、「次でボールを奪い返させる」というイメージをベースにした「ファウンデーション」ディフェンスプレーは、高い実効性を魅せていましたよ。

 とにかく、攻守にわたるクリエイティブな堅実プレーを積み重ねることで、再びチーム内でのポジショニングを再構築しなければならない(チームスタッフと選手たちからの信頼を強化しなければならない)という状況は、彼にとって非常にポジティブなものだということは言っておかなければ・・と思い、キーボードに向かった湯浅でした。

 




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