でもその後、依頼されている他のメディア文章を書きはじめて、ちょっと思考のリズムが崩れてしまいました。やはり、文章を引き受けすぎたのかな・・なんて・・。まあ、ちょっとグチ・・。聞き流して(読み流して)ください。
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さてゲームがはじまりました。この試合も、例によって、時間を追って書きつづることにします。
膠着状態・・それ以上の表現がないという前半の立ち上がりです。日本がペースを握っているとはいえ、最終ラインを崩すところまでいけない・・、逆にチュニジアは、攻め上がることすら出来ず(攻め上がる意志自体が感じられず)、守備を固める・・。
チュニジアは、確実に「守備固めのゲーム戦術」で臨んでいます。フォーバックの前に三人の守備的ハーフを置き、攻撃はベン・アシュール、メルキ、それにジャジリ「だけ」という展開なんです。後方からの押し上げが、ほとんどといっていいほどない。
それにしても、特に守備での、チュニジア選手たちのスピードにはビックリします。ウラを突かれそうになっても、後方から追いついてしまうんですよ。これは、よっぽどタイミング良いコンビネーションでなければ彼らのウラを突けない。もちろん、単独勝負状況でもグループでの仕掛け状況でも、彼らの「重心移動方向」の逆を突く・・という意味ですよ。まあ、まだまだ立ち上がりですから、日本代表も、それほど頻繁にタテのポジションチェンジにトライしていない・・。ということで、完全な膠着状態に陥っているということです。
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ここまでの(前半25分くらいまでの)日本代表の選手たちが、「実」の詰まった自信をベースに、解放された良いサッカーを展開していることだけは確かなことです。リスクチャレンジをくり返すことで培ってきた世界に対する自信。それに「確信」という『実』が詰まったのです。
まあ、チュニジアは、ベルギー戦とは見違えてしまうほどの「受け身姿勢」の攻めだから、日本代表の守備ブロックも余裕をもって対処できていますし、例によって、楢崎も安定したプレーをつづけています。
それにしても、日本代表は最終勝負シーンで、個人の能力を駆使した突破ができない・・。まあ、それを補って余りある「組織プレーマインド」がありますからネ。もちろん「組織に逃げ込む」なんていう甘えの心理などツユほども感じない、「パスとボールのないところでの活発な動き」。頼もしい限りです。
まあそのうち、中田英寿という「タテのポジションチェンジの演出家」によって、組織「だけ」でも、チュニジア守備ブロックを崩していけるようになるとは思いますが・・。何たって、この蒸し暑さですからネ。後半のチュニジアは、相当にバテてくるに違いありません。
この試合では、中田ヒデが、かなりフリーでプレーできています。チュニジアのゲーム戦術では、彼に対するマークは決められていないようです。そのことが、徐々に、日本の攻めを変化に富んだ危険なものにしていったと感じます。
29分。やっと日本代表が、チュニジア最終ラインのウラを突きます。飛び出していったのは稲本。それまでも、稲本とヒデが、頻繁に「タテのポジションチェンジ」をするようになっていましたから、いつかは・・なんて感じていたんですが・・。その攻撃は、稲本の決定的クロスが、直接、相手GKにキャッチされてしまいました。
それにしても、サスガに中田ヒデです。全体的な「俯瞰(ふかん)イメージ能力」は超一流ですよ。もちろん、そのベースは、彼のインテリジェンス(=頭の良さ=哲学をするチカラ≒集中力!?)、レベルを超えた守備意識と、それを確実に実効あるものにすることができる「実力」ということなんですが、それにしても、素晴らしい実効プレーのオンパレードじゃありませんか。頼もしい。
32分。柳沢が、二列目から思い切った中距離シュートを放ちます。コースは、ギリギリの右隅。ゴールキーパーにキャッチされたとはいえ、素晴らしいトライでした。そのとき、このシュートは大きな意味を持つかもしれない・・と感じていました。最終ラインのウラばかりを狙うのではなく、たまには中距離からもシュートを打つ。そのことで、確実にチュニジア守備ブロックのディフェンスイメージが「分散」しますからネ。そして、(そのシュートをキッカケに!?)日本の攻めに、勢いが出てきます。
やはり「シュートという刺激」ですよ。それがあってはじめて、忘れかけていた「攻撃の目的」を思い出すものなんです。「あっ、そうか、シュートを打つことが攻めの目的だったんだ。それはどこからでも打てるんだよな・・別に、相手守備ラインのウラに入り込まなくても」・・なんてネ。
39分。中盤の低い位置でタテパスを受けた中田ヒデが、振り向きざま、最前線へ「一発ロングラストパス」を送り込みます。彼の、俯瞰イメージ能力に拍手! もちろん最前線では、ヒデに信頼をおく鈴木が、右サイドの決定的スペースへ向け、「シンクロ」したフリーランニングを敢行している。そしてそこへ、ピタリとロングパスが合う。「よし!」なんて思ったら、そこへ、ズバッとチュニジア選手が「追いついて」きてしまう・・。ホント、やつらの身体能力(速さ)は、さすがにアフリカだ・・。
でも、前半も終盤に入った時間帯から、チュニジアも、少し押し上げるようになってきます。まあ、崩せはしませんが、44分には、コーナーキックから、「高い」ヘディングシュートを放たれたりしてしまいます。また直後には、右サイドを押し上げたトラベルシがパスを受けてドリブル勝負に入ります。そして、中田浩二が抜き去られてしまう・・。
そんな状況で、最後に追いついてきた戸田がタックルに入り、交錯してトラベルシが倒れます。「ハッ」とした瞬間。でもレフェリーは、ホイッスルを吹きません。でもあれは・・。いや、アブナイ、アブナイ。メンバー表を確認してみたら、レフェリーはフランス人・・。フムフム・・。
やっと日本の試合で、ホームアドバンテージを感じさせてくれる審判が笛を吹いてくれた・・!?
そして、前半が終了します。まあ、後半勝負ということだな・・なんて思っていました。何といってもこの蒸し暑さですからネ。後半は、必ず動きがある・・。
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さて後半。柳沢に代えて森島(1.5列目)。稲本に代えて、市川(明神が中盤の底で、市川は左サイド)が入ります。さて・・その交代の意味は・・なんて思っていたら・・。
47分。森島がやってくれました。先制ゴール!!
右サイドのスペースへ走り抜ける鈴木隆行。よし! タテパスが通ったゾ!・・なんて思ったら、相手のタックルが先に入り、そこでこぼれたボールが、ゴール中央からニアポストゾーンへ「動いてきていた」森島の足許へ転がってしまって・・。
ダイレクトシュート!!ってな具合。
それにしても、良いコースに飛びました。もちろん「モリシ」は、完璧にイメージしていたんでしょうがネ。それにしても、素晴らしい鈴木のフリーランニング、そして森島の素晴らしいシュート。あっ・・ここで忘れてはならないのが、森島の、忠実な「決定的フリーランニング」。あの状況では、鈴木がボールに触れるかどうかは(相手がしっかりとマークしていたから!)分からなかったわけですからネ。それでも、とにかく相手マークを振り切るような「ニアポストへのフリーランニング」だけは忠実にこなす。それこそ、「森島的なロジックプレー」・・!? まあとにかく、素晴らしい「自分主体のマインド」ではありました。
52分・・またまた鈴木、市川、そして森島。
右サイドでの、例によっての「粘り」で、倒れながらもタテパスを出す鈴木。そんな、鈴木の「強い意志」に誘われるようにオーバーラップの動きを止めなかった市川が、そのタテパスを受け、そのまま素早くクロスボールを上げます。そしてそこに、これまた例によっての「森島ロジック」で、忠実に、彼がニアポストスペースへ詰めていたというわけです。それにしても美しいダイビングヘッドでした。左ポストを直撃!
60分過ぎからは、もう完全に日本ペース。63分には、左サイドの中田浩二までが、ドリブル突破からの、例によっての「決定的なトラバースパス」を通してしまいます(ギリギリで鈴木へは届かずに、チュニジアディフェンダーがヘディングでクリア!)。
またその後のセットプレーから、またまた中田浩二の正確なセンタリングが送り込まれます。そこで、最後に「大迫力」のヘディングシュートを見舞ったのは小野伸二。素晴らしかったですよ。何といっても、その「地面にたたきつけるヘディング」。よく、チュニジアのGKが触れたものだ・・。ポーランド戦でも一発、その後にも何発も・・。小野のヘディングシュート力には、見るべきものがあります。
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そして日本代表は、一点を守ろうとするのではなく、どんどんと「追加ゴール」を狙って攻めるのです。その姿勢が素晴らしい。頼もしい限りです。
でも、66分。一瞬のスキから、チュニジアの決定的スルーパスが通ってしまいます。左サイド。タテパスを受けたのはジャジリ(だと思ったのですが)。でもそこには、宮本が、確実にマークについていた・・。
宮本も、ロシア戦からブレイクしたように感じます。ロシア戦での、ものすごくインプレッシブなシーン。それは、最後の時間帯の右サイド(日本では左サイド)。カルピンだったと思いますが、パスを受け、タテへ抜け出ようとする彼を、そのタテへの動きに「合わせる」ようにタイミングを見計らった爆発スタートで、タックルを成功させてしまったのです。「ホ〜〜ッ!」。そのとき、ため息が出たものです。
あっと・・つづけてチュニジア戦。
そして74分。日本代表に待望の追加ゴールが生まれます。中田英寿!!!! これまで、カゲの司令塔として素晴らしい活躍を魅せていたヒデ。正当な報酬じゃありませんか。そのシーンの再現です。
そのとき、「オマエ、ここで勝負しなかったらプロをやめろよ!」なんて叫んでいました。右サイドの市川が、戸田からのサイドチェンジパスをフリーで受けたときです。前には、チュニジアのサイドバックが一人だけ。そんな状況で勝負しなかったら、もちろんプロとはいえませんからね。でもやってくれました市川が。相手を抜き去ったわけじゃありませんが、それにも匹敵する左右への「揺さぶり」。そして、ちょっと前が空いたところで、一瞬、中へ視線をはしらせます・・いや、彼には既に見えていたのかも(イメージできていたのかも)、中田英寿が、相手がボールウォッチャーになっている「間隙」を突いて、フリーで決定的スペースへ入り込んでくるのが・・。
それにしても、素晴らしい・・なんていう表現では追いつかない、ヒデのヘディングシュートではありました。もちろん、地面へ向けて「ドカン!」ですよ。
私は、そのヘディングゴールのシーンと、2000年シドニーオリンピックでの第二試合、スロバキア戦での先制ゴールのシーンを重ね合わせていました。あのときも、三浦淳宏が、ここぞのドリブル突破を魅せましたよね。そして、中田英寿の素晴らしい「事前の動き」からの夢のようなヘディングシュート! だから、シーンが重なり合ったのかも・・。そのコラムは、私の「以前のコラム倉庫」の1998年版を参照してください(リンクボタンは、トピックス目次ページの一番下にあります!)。
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最後に・・。
それしても、後半の交代。その根拠は分かりません。特に稲本についてはネ。まあ、ちょっと上がり過ぎだと考えたのか・・それとも疲れか・・。私には、運動量が落ちているとは思えなかったですし、守備に問題があったとも思えませんでした(でもまあ、前半のチュニジアの攻撃ではネ・・)。さて・・
でもその交代が、本当に「ツボ」にはまってしまいます。チュニジア守備にとっては見慣れない「顔」の森島。小さいですし、早いし、アクションも鋭いし・・。チュニジアのディフェンダーにとっては、慣れるまでは、本当に御しがたい存在だったに違いありません。そして森島が、「御される」前に、先制ゴールを挙げてしまって・・。
その後にも、もう一本、同じようなカタチでのヘディングシュート場面もありましたしネ。
それに市川。よくやりました。守備では、何度か、ちょっと・・と思うシーンもあったのですが、それを補って余りある攻撃でのアクセント。良かったですよ、本当に。そして最後はヒデのゴールアシスト。日本代表は、本当にどんどんと発展をつづけています。
この日、日本代表が魅せた落ち着いたパフォーマンスの心理的な背景には、確実に、ベルギー戦でのチュニジアの素晴らしいゲームがあったことを忘れてはいけません。あれがあったからこそ、日本代表が、また一段と緊張感に包まれた・・と思っている湯浅です。まあ、「あれ」がなくても、彼らのことだから問題はなかったとは思いますが・・。
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さて、今、スタンドの記者席で、この文章を仕上げました。もちろん、またまた誤字、脱字などがあるでしょうし、文章も乱れているに違いありません。それでも、このまますぐにアップすることにします。何といっても、この文章には、湯浅のスピリチュアルエネルギーが宿っているはずですから・・。
さて、最後のグループによる「偶然と必然が交錯するドラマ」ですが、それについては、後から、別の文章としてレポートすることにします。でも、もしかしたら、それまでに私のホームページのサーバー容量が、アクセス数が多すぎることで一杯になってしまうかも・・。そのときは、明日の午前5時過ぎにアップしますので、ご容赦アレ。では・・
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いま状況を確認しました。アップできそうです。ということで、韓国対ポルトガル、そしてアメリカ対ポーランドの試合を、本当に簡単にレポートします。
韓国対ポルトガルですが、何といっても、前半27分に、まずジョアン・ピントが、後ろからのタックルで一発レッドになってしまったことが大きく響きます。
立ち上がりから素晴らしいペースでポルトガルを攻め立てる韓国。それでも、最後のところまではいけない。対するポルトガルは、慎重な立ち上がりです。この試合でも、ルイ・コスタをスタメンから外し、攻守にダイナミックなプレーを展開するジョアン・ピントを入れます。要は、クリエイティブ系の選手が多すぎることで(中盤守備のダイナミズムが高揚しないことで)、ペースを上げることができないから、選手タイプのバランスをとろうということです。
その策は、ポーランド戦では功を奏したのですが、この試合では、そのジョアン・ピントのガッツが空回りしてしまうのです。中盤でパスを受けようとした韓国選手に対し、後ろからの危険なタックルを仕掛けてしまって・・。VTRを見ましたが、あれは仕方ない。
この後も、ポルトガルが一人少ないにもかかわらず同じような展開がつづき、後半に入ってからは、もっとペースが落ちてきます。要は、前半を終了した段階で、アメリカがポーランドに「0-2」でリードを奪われているということで、ポルトガルと韓国は、引き分けさえすれば、両チームともに決勝トーナメントへ進めるというわけです。だからポルトガルも無理をしないし、その雰囲気で、韓国の前への勢いも殺がれていった・・。まあ韓国も、状況的には、無理して攻めることもありませんからネ。
そんな中、もっと大変なことが起きてしまいます。ポルトガルのベトーが、二枚目のイエローで退場になってしまったのです。後半12分のことです。そしてその後の、韓国の先制ゴール(後半25分)。
この時点で、他会場のアメリカ対ポーランドは、ポーランドが速攻から加点し、「3-0」。それにしてもアメリカ。良いサッカーを魅せてはいるのですが、不運と、単純なミスで失点を重ねてしまう。脆さが・・。
さて韓国対ポルトガル。こちらは、「1-0」で韓国リードですから、このままだと、ポルトガルまでも大会から姿を消してしまうということになります。フ〜〜。
いま、残り15分というタイミング。フィールドプレーヤーが「8人」になってしまったポルトガルは、最後のチカラを振り絞って攻め上がります。もうポジションバランスなんて誰も言ってられない・・。
そして、本当に絶対的なチャンスを作り出してしまうんですよ。まずフィーゴのフリーキックが、本当にわずかに左へはずれていく・・、ヌーノ・ゴメスが、フリーでシュートできるところを空振り・・、ペナルティーエリア付近からのボレーシュートが、韓国ゴールの左ポストを直撃してしまう・・、そして、韓国ゴール直前の左サイドからのフリーシュートも、GKに弾かれてしまう・・。フ〜〜ッ。
そしてタイムアップ。これで、ポーランドに大敗を喫したアメリカが、決勝トーナメントに進出することになりました。そして、ポルトガルは、予選リーグで既に姿を消す「第三の優勝候補」ということになりました。フ〜〜ッ。
本当に、またまた、すごいものを見てしまいました。疲れた・・。
とにかく、韓国が決勝トーナメントへ進出したことは、ものすごく嬉しいし(韓国のみなさんに対し、心からオメデトウと言いたい湯浅なのです!)、それだけが、いまの「複雑な心境」のキリを晴らしてくれます。またまた、フ〜〜ッ。
明日は、決勝トーナメント一回戦、ドイツ対パラグアイ、デンマーク対イングランドを、ポイントを絞ってレポートすることにします。では・・今日は・・この辺りで・・。