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レッズ、「世界の」マンチェスターを相手に大健闘(1997年7月24日)

レッズが、フレンドリーマッチで、「あの」マンチェスター・ユナイテッドと対戦しました。フランスのスーパースター、カントナが抜け、ギグスがケガで来日しなかったとはいえ、先発メンバーのほとんどがヨーロッパ各国の代表という豪華メンバー。相手にとって不足はありません。
とはいっても、立ち上がりは、レッズが、「チンチンに」やられ続けました。ダイレクトを何本もつなぐような、ファンタスティックな攻撃だけではなく、「あの」岡野のアシも全く通用しない堅実なディフェンスなど(その基本は、忠実なカバーリングと、素早い「もどり」、そして「ここに来る」という読みベースのポジショニングです)、これぞワールドサッカー・・というサッカーを展開するマンチェスター。ダイレクトパスも、止まっている選手の足元へつなぐのではなく、スペースへ、どんどんとダイレクトで入れてくるのです。そしてそこには、ベストタイミングで走り込む(フリーランニング)選手が常にいる。二人目、三人目のフリーランニングはアタリマエというサッカーです。それも、「半径50メートル」!!右サイドで、ダイレクトでパス回しをしていたかと思えば、そのままダイレクトでサイドチェンジです。ファンタスティック!!レッズ守備の足が止まり気味になってきました。それはそうです。どこでボールを奪い返したらいいかという「守備ターゲット」をしぼり込むことが難しいのですからね。そんな「悪魔のサイクル」に入り込んだレッズに対し、マンチェスターのパス回しはどんどんと速くなります。要は、「サッカーはパスゲーム」という基本に忠実なプレーなのですが、それでも、これほど見事に「基本」を見せつけられてはかないません。前半は、両チームの力の差が傍目にも明かでした。それでも、最後のところでは必死の守備で耐え続けていたレッズですが、とうとう、ノルウェー代表のソルスキアに「スーパーヘッド」を決められて「0-1」。そして押し返し始めた出鼻をくじかれるカウンターから、またソルスキアにピンポイント・シュートを決められてしまいました。これで前半で「0-2」。
ただ後半は、堀を入れ、中盤からの守備がよりアクティブになったレッズが試合を支配し始めます。マンチェスターは、旅の疲れか、動きが止まり気味。レッズ新加入の元スペイン代表、ベギリスタインを中心に、レッズが積極的な攻めを見せはじめたのです。そしてブッフバルトのフリーキックに、ベストタイミングで「決定的スペース」へ抜け出た大柴がヘッドで一点を返します。この大柴のフリーランニング。そのスタートは、見事なタイミングでした。相手GKと最終守備ラインの間の「決定的なスペースを突く」という目の覚めるようなゴール。これでレッズの勢いが何倍にもふくれあがります。新加入のベギリスタイン。あぶない場面での積極的な守備参加、決定的なスペースへの積極的なフリーランニング、ボールを持ったら素晴らしいチャンスメーカーぶりを発揮ということで、彼は確実な補強だとすることができます。守備も、新加入のオランダ人、ニユイス(発音が登録と違うかもしれません・・)と後半交代した西野を中心に、後半は素晴らしい出来でした。
マンチェスターですが、旅の疲れ、二日前に香港で試合をしたことなど、いくつかの要因が重なり、後半はまるで別のチームのように消極的。動きがまったくなくなってしまったのです。これは、いくらワールドクラスのチームでも、「動き」がなくなればただの「三流チーム」・・というサッカーの原則が証明された試合でもありました。
この試合を見る限り、セカンドステージのレッズには大いなる期待を抱かせるものがありました。ギドの年齢という不安要素はありますが、このゲーム後半のように、攻撃参加は大きなチャンスだけにし、「基本的には守備的ハーフ」というプレーを続ければ、まだまだ素晴らしいプレーを展開できます。また新加入のベギリスタインとニユイスも、初めてのゲームにしては素晴らしい内容でした。土橋、堀、岡野、福田、大柴、永井、山田、城定・・・など、日本人選手も力をつけています。セカンドステージ、「赤い旋風」を期待しましょうかネ・・。




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