レーバークーゼンは、自信あふれる攻撃も素晴らしかったのですが、とにかく守備がクレバーで質実剛健。そのイメージは、たぶんこんな感じだったに違いありません。
「とにかくヤツらは上手いから、パスレシーバーへの素早いチェックをベースに、インターセプトできなかったら確実にウェイティングする・・絶対に安易にボール奪取アタックを仕掛けない・・その守備イメージを確認するために、ジダンやフィーゴ、ラウールたちのボールコントロールのタイプやクセをしっかりとビデオでチェックしたからな(しっかりとイメージトレーニングをくり返した!)・・もちろんボールなしで走ったヤツは確実に最後までマークしつづける・・そんなディフェンス忠実にくり返していれば、ヤツらのボールの動きは足許パスだけになってしまうに違いない・・そうしたら我々の大チャンスだ・・。
案の定、うまく「相手をかわせない」レアル天才たちのプレーが、フラストレーションの増幅とともに(?!)緩慢になっていきます。要は、相手ディフェンダーをうまく置き去りにできずに違和感ばかりがつのりつづけるレアル選手たちというわけです。彼らは、本当に上手く「ボールをさらす」します。要は、相手ディフェンスの「アタックを誘うプレー」が巧みだということです。そして、安易にアタックを仕掛けてくる相手を「ヘッヘ〜ッ」と、舌を出しながら「簡単にかわし」数的に優位な状況を作り出してしまうのです。そしてそこから個のドリブル勝負や夢のコンビネーションで最終守備ブロックをズタズタにしてしまう。それがヤツらの基本的な仕掛けイメージというわけです。
レアル選手たちは、「相手はドイツチームだろ・・それもホームだから、中盤からガンガン当たってくるに違いない・・そうしたらオレたちのツボだよな・・」なんて思っていたに違いありません。でもこの日のレーバークーゼンはまったく様子が違う。何せ、中盤でパスを受けても、確かにスッと眼前には「立たれる」けれど、アタックを仕掛けてくる様子がないのですよ。そんな状況で、周りの味方は、しっかりとマークされている(パスインターセプトを狙われている!)。パスレシーバーにしても、走ってもピタリとマークされることで(逆にパスレシーブの動きをするレアル選手に対するプレスの網が縮められる!)、またパス出しもうまく回らないことで、徐々に足が止まり気味になってしまう・・。「足許パスをくり返させることで、仕掛けリズムを崩壊させるというレーバークーゼンのクレバーなゲーム守備戦術・・」というわけです。
そして案の定、まったく仕掛けプロセスを演出できないままに、無理矢理のドリブル勝負を失敗したり、足許パスをカットされたり等々、簡単にボールを失いつづけるレアル。そして彼らは、徐々に心理的な悪魔のサイクルにはまっていった・・。この試合は、レーバークーゼンの見事な作戦勝ちでした。
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ジュアンとホッキ・ジュニオール(ともにブラジル代表)、プラセンテ(アルゼンチン代表)、ベルント・シュナイダー(ドイツ代表)で固める最終ライン。ラメローとフライヤー(ともにドイツ代表)、ポンテ(ブラジル&イタリア国籍・・代表経験はないスーパープレイヤー)、クルズィノヴェク(ポーランド代表)が、攻守にわたって高質な有機連鎖プレーを魅せつづける中盤ライン。そして、前後左右に動きまわり、まさに神出鬼没の才能を発揮するツートップ、フランサ(ブラジル代表)とベルバトフ(ブルガリア代表)。今シーズンのレーバークーゼンは、期待の高まりを抑えきれない「ストーリー」が満載じゃありませんか。
二週間前のドイツ対ブラジル戦もそうでしたが、ドイツのチームが、国際的に、良い内容のサッカーを展開することは、いまの落ち込んだドイツサッカー界にとって、この上もなく重要なことです。その視点でも、(たしかにドイツ人は四人しかいないけれど)この試合でレーバークーゼンが展開したスーパーサッカーは、ドイツ全体を勇気づけたに違いありません。
また開幕戦では、ドイツのスーパーコーチ、クリストフ・ダウム率いるトルコチャンピオン、フェネルパフチェも勝利を収めました。その試合は、今日の夜中に録画放送されるとのこと。そちらも楽しみです。