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ヨーロッパの日本人・・今週は、ケガと風邪から復帰した好調の中村俊輔・・書き足しで小野伸二・・また高原はスポナビで・・(2005年2月28日、月曜日)

ヨ〜〜〜シッ!! そのとき誰もが声を上げたに違いない!? 前半41分に飛び出した中村俊輔のフリーキック決勝ゴールのシーンですよ。何せそれまで、レッジーナ仕掛けのほとんどを演出していた俊輔でしたからネ。「You deserve it !!」ってな具合なのです。

 とにかく、高みで安定する攻撃でのボールなしアクションの量と質、守備での忠実プレーイメージが特筆。攻守の目的を達成しようとする強固な意志が込められた(予測ベースの)効果的な全力ダッシュも十分。そんな目立たない「準備プレー」が充実しているからこそ、攻守にわたるボール絡みの魅力的な実効シーンを演出できるというわけです。

 それにしてもボールを持ったときの彼のプレーコンテンツは深みを増しているじゃありませんか。前半16分の勝負シーンには、中村俊輔が発展をつづけていることを如実に証明するような見所が満載でした。中央ゾーンでの仕掛けドリブル(相手守備の意識と視線を釘付けにしてしまう仕掛けの起点ドリブル)、そのフェイクアクションから流れるように繰り出されたボナッツォーリへの素晴らしいタイミング・コース・強さのスルーパス、そして、相手ゴール前の決定的スペースをイメージした間髪を入れないパス&ムーブ。それは、中村俊輔が完璧なコアになった素晴らしい勝負コンビネーションでした。

 ドリブル突破にトライしたり、最前線スペースやトップ選手の足許への勝負パスを送り込んだり、自分がコアになった勝負コンビネーションを仕掛けていったり等々、ボールを持ったときの中村俊輔のプレーからは、「リスクチャレンジの匂い」がプンプンしてきます。以前はよくみられた、安易な(相手にボールを奪い返されても自分のミスだと批判されないための?!)アリバイ安全パスで「逃げる」といった消極的なプレー姿勢など微塵も感じられない積極プレーのオンパレードなのですよ。彼も、結果を恐れないリスクチャレンジの価値を深く認識したということでしょう。

 もちろんその基盤は、リスクにチャレンジしつづけることで深められた自信と確信レベルの高揚。安全プレーや戦術的な規制プレーなどは、発展の糧にはなり難いということです。勝負を意識した「戦術プレー」も大事だけれど、それに偏りすぎたときの弊害は殊の外大きいとも表現できますかネ。要は「バランス感覚」が大事ということ。「バランス」こそが、究極の目標ということでしょう。

 このことは(今節プレーしなかった)中田英寿にもあてはまる?! とにかく(前節の)中田のプレーは中途半端だと感じていた湯浅なのです。自信レベルが減退しているから安全策イメージの方が先に立ってしまう?!・・だからプレーが縮こまってしまう?!・・まだ股関節が万全というところまで回復していないということもあるのだろうか?!・・。とにかく中田は、まず吹っ切れた心理で、攻守にわたってリスクにチャレンジしていかなければいけません。それがなければ、決して自信レベルを回復させられません。もちろん「まず」ディフェンスからゲームに入っていく・・そして十分な運動量と動きの質に支えられたシンプルプレーを心がける・・。これまでに何度も我々に元気を与えてくれたドラマチックな完全復活劇を願って止まない湯浅なのです。

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 いまは日曜日の深夜なのですが、明朝(月曜日の午前中)には、後半25分に交代出場し、ゴールまで決めた小野伸二のプレーについてもコメントするつもりです。ただ、好調を維持する高原直泰(ドイツ・ハンブルガーSV)のプレーについては、スポナビの連載で取り上げる予定ですので・・。

 ということで小野伸二。例によって、アクションラディウス(行動半径)の広い実効ゲームメイカーぶりを魅せつづけてくれました。ボールを持ったときのプレーは、中村俊輔と同じような「最終勝負を仕掛けるリスクチャレンジの匂い」も放散するけれど、基本は、ゲームメイク展開パスです。要は、中村俊輔はチャンスメイカー(最終勝負を仕掛けていくリーダー)という基本イメージであり、小野伸二の場合は、より範囲の広いプレーコンテンツ(ゲームメイキング)ということになるというわけです。だから、タメからの決定的スルーパスや勝負のロングパスなどだけではなく、シンプルな展開パス(そしてそこからのパス&ムーブ)という組織プレーに対する意識も強いというわけです。まあ彼の場合は、シンプルパスとはいっても、普通の選手にとってはかなりリスキーなタテパスも含まれますがネ。

 とにかく快活にプレーする小野伸二をみて安心していた湯浅でした。彼も(?!)順調に回復している・・。そして、そんな小野の攻撃的なプレー姿勢をみながら、別なテーマがアタマをもたげてくるのです。「稲本も攻撃イメージが先行するプレーを展開しているということだし、これで、日本代表ミッドフィールドへの汗かきタイプの組み込みというテーマの重要性がどんどんと高まっている・・やはり突き詰めたテーマは、様々ない意味を内包するバランスということか・・サッカーの全てのスタートラインは相手からボールを奪い返すこと(=守備)・・そこで、常に守備の起点になったりボールがないところでの忠実マーキングなど、しっかりと実効ある汗をかける選手の存在が決定的な意味をもってくる・・さて・・」なんてネ。

 



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