「オレの招集が見送られた・・よ〜〜し!」。金曜ナイターで行われたデフラーフスハップ戦の後半17-18分あたりから登場し、攻守にわたって素晴らしく活発で実効レベルの高いプレーを披露した小野。そのダイナミックなプレー姿勢からは、冒頭のような自己主張が放散されているようだった?!
まず目に付いたのが、高い守備意識をベースにしたボール奪取勝負シーンでの実効レベルの発展。守備に入ったときのボールがないところでの様々なアクションコンテンツ(=ボール奪取プロセスへの実効連鎖イメージ!)の質がいい・・またディフェンスでの「読み」も格段に進歩した・・だからボール奪取勝負スポットに良いカタチで絡んでいける・・長い距離を走る相手フリーランニングをマークしつづけるというプレーはなかったけれど、マークとポジショニング(その時点での守備タスク)のバランスの良い受けわたしから、最後の瞬間に、スッと勝負スポットに入り込んでボールを奪い返してしまう(インターセプトや相手のコントロールの瞬間を狙ったアタック!)・・。
やはり守備こそすべてのスタートライン。そんな実効チームプレーがあるからこそ、自らチーム貢献度に対する確信レベルを高揚させられるだけではなく、味方からの信頼とレスペクトが高まることでボールも集まってくるというわけです。ボールを持ったときの小野のイメージは、やはり展開パスや勝負パスのデバイダー(分配タスク)というのがメインだけれど、それと並行して、ボールがないところでのパスレシーブアクション(実効フリーランニング)からパスを受け、自ら切れ込んでいくプレーにも磨きがかかっていると感じます。
それにしても、小野がボールを持ったときの味方のパスレシーブアクションの格段の活性化には目を見張らせられますよ。彼のパス能力に対する信頼度の高さを感じます。実際に何本も、目の覚めるような展開パスや勝負パスを決めましたからね。
手術を受けた小野が、以前の「常に悩まされつづけた痛み」から解放されたことを願わずにはいられません。この試合でのプレーコンテンツをみる限り、様々な意味を包含する「自由度」は確実に高揚していると感じられるのですが・・。とにかく、以前のようにプレーのダイナミズムが発展ベクトル上に乗っていることを確認できて胸をなで下ろしていた湯浅でした。
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残念ながら中田英寿は出場なしということで、今週のセリエでは中村俊輔だけということになりました。厳しいスケジュールのなかでプレーをつづける中村。この試合の後は、すぐに飛行機に飛び乗って日本へ・・ですからね。
それにしても彼のケガが心配。前半の終了間際には右足のふくらはぎを蹴られ(シンガードがないところだから痛い!)、後半30分前後に交代する直前には、相手との絡みで足首を痛めたように見えました。さて・・
この試合での中村は、厳しいスケジュールを感じさせるプレーでした。要は、いつもに比べればちょっと運動量が落ち気味ということです(攻守にわたるアクティブゾーンへ絡んでいく積極性が少し落ち気味)。とはいっても、流れのなかでのプレーコンテンツの「質」自体は、いつものレベルを保っていましたよ。いつものレベル・・? 要は、常に前へ、前へというチャレンジ姿勢が前面に押し出されているということです。リスキーなスルーパスや「タメ」へのチャレンジ姿勢・・ドリブル突破へのチャレンジ姿勢・・はたまた、決定的スペースへ突入してパスを受けることに対する強い意志・・等など。そして何といっても素晴らしいセットプレーや、流れのなかからのラストクロス。危険度はどんどんと増幅しています。この試合でも、ゴールにつながったフリーキックだけではなく、コーナーキックや流れのなかからの正確なカーブクロスなど、存在感バチバチでしたよ。それこそが、今の日本代表の確信レベルを支える大きな柱。頼もしい限りです。
このリスクへのチャレンジ姿勢が、攻守にわたって可能なすべてのプレーに絡んでいこうとする意志とともに、彼の「ブレイクスルー」を支えています。以前は、自分のパスを受けた味方がミスをしたら評価されないから・・と、リスキーなパス出しを逡巡していた中村俊輔。ただ今では、チャレンジする姿勢こそが全てに優先しなければならないという「正しいプレー姿勢」に対する確信レベルの高揚を感じます。サッカーの評価メカニズムに対する誤解が解けた・・?! まあ、そういうことでしょう。フットボールネーションでは、正しいチャレンジ姿勢は、結果とは関係なく、結局は高く評価されるものですからね。もちろん中には、「ニュートラルではない不正確な思い込み」や「個人的な関係ベースの思い入れ」等など、不健全な情緒環境(情動)がベースの評価もありますけれどネ・・。
それにしても中村俊輔のケガが心配。日本時間の明朝には正確な情報が入ってくるでしょう。朝起きたらすぐにインターネットを引いてみよう・・。
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ところでハンブルガーSVの高原直泰。トーマス(ドル監督・・彼との対談記事はコチラ)は、この試合で高原を先発に復帰させました。そして2ゴール。何かが吹っ切れた?! このところ、全体的なダイナミズムでは好調を維持しているものの、どうも局面での勝負プレーで自信を失っていると感じられていたから、このゴールが「彼のなかの何かを充填した」ことを願って止みません。北朝鮮との勝負マッチでの彼のプレーコンテンツが今から楽しみで仕方ありません。それにしても、高原のゲーム中継がないのはちょっとネ・・スカパーさん・・。