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05_ヨーロッパの日本人・・中村俊輔・・厳しかったダービーマッチ・・(2005年8月20日、土曜日)

レンジャースとセルティックのグラスゴー・ダービー(レンジャースのホームゲーム)。これぞダービーという、ものすごい闘い(肉弾戦!?)になりました。選手たちの闘う意志も極限まで高まりつづけている。こんなフィジカル・ファクターが前面に押し出される闘いだから、中村俊輔にとって厳しいゲームになるのも道理。何せ、プレーの流れが落ち着かないですからね。選手たちは、とにかく前へ前へと突っかけつづける・・またボールを失ったら、所かまわず豪快なスライディングをかまし合う・・フ〜〜ッ・・。

 この試合でも中村俊輔は、運動量が落ちることなく、何度もボールがないところで全力ダッシュ(パスレシーブアクション)を仕掛けたり、守備でも忠実にチェイス&チェックやボール奪取勝負を仕掛けつづけるなど、攻守にわたってしっかりとゲームに絡みつづけようとしていました。でも、いかんせん、選手たちは「前へ・・前へ・・」ですからね、中村俊輔にボールをあずけて落ち着いて展開しようなんていうイメージ自体がないに等しかった。

 もちろんそれには、グラスゴー・レンジャーズの中盤からのプレスがものすごく厳しかったこともありました。だから選手たちには俊輔を捜す余裕などない。だから、直接的に前線へボールを供給するというプレーを選択せざるを得なくなる。左サイドのカマラも、横に俊輔が付いても、ボールを渡さずに、ガガガ〜ンと直線的なドリブル勝負を仕掛けるか、そのままアーリークロスを放り込んでしまうのです。また、ハッと気付いて俊輔へボールを回そうモノなら、今度はそのパス狙っていたレンジャース選手たちが、ガガガ〜ンと、俊輔へのプレスを掛けてくる・・ってな具合。そんなだから、パスを受けた中村俊輔が、「まず」素早く展開パスを回し、そこから素早くスペースへ動いて「次」を狙おうとするのも道理。でも、一度展開パスを回したら最後、俊輔のところへボールが「戻される」ことなど皆無なのです。これでは・・。

 もちろん何度かは、両チームともにボールを回して組み立てるシーンもあったし、中村俊輔が良いカタチでボールを持つシーンもありました。でも、周りの味方もエキサイトしていますからネ、俊輔がボールを持っても、どうしても「一発勝負」をイメージしたフリーランニング(決定的な動き)ばかりを優先してしまうのですよ。普通だったら、縦横の落ち着いたボールの動きを演出しようとするのにネ。そんな状態では、中村俊輔のイメージで仕掛けを演出できるはずがない・・。

 まあ仕方ない。とにかく中村俊輔は、この試合のように、意志はしっかりと表現しつづけなければなりません。いくらパスがこなかったとしても・・いくらボール奪取勝負に効果的に絡んでいけなかったとしても・・。彼にも、まだ時間が必要だということです。セルティック選手たちの脳内イメージのなかに「確固たるナカムラ・イメージ」を植え付けるためにネ。そのイメージさえ浸透すれば、どんなエキサイトした状況でも、俊輔を捜して効果的に活用しようとする意志も前面に押し出されてくるに違いない。そのレベルに至るまで、とにかく「いまのプレー姿勢」を発展・継続させなければなりません。

 厳しい状況だからこそやり甲斐がある。とにかく頑張れ、中村俊輔。それにしても前半のフリーキックは惜しかった。アレが入っていたら、仲間たちの「ナカムラ・イメージ」が復活したかもしれないのにネ。

 



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