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05_ジーコジャパン(70)・・さて、世界ステージでの実効ある日本サッカーアピールへ向けたチーム作りがはじまった・・(日本vsホンジュラス、5-4)・・(2005年9月7日、水曜日)

日本が中南米チームに対して弱い!? まあ・・そうなんだろうね・・苦手意識という表現の方が正しいだろうけれど・・。私は、日本代表のディフェンスコンテンツに、その苦手意識が如実に現れていたと感じていました。相手の方が個人技やスピードか上だから、どうしても意識が「引いて」しまう・・だから協力プレスがまったくといっていいほど機能しない・・。

 それにしても日本代表は、ゲームをエキサイティングなモノにしてくれちゃいました。勝ったことはよかったけれど、内容では、反省マインドのオンパレードでしょう。特にディフェンスがね・・。前述したことが原因で、チェイス&チェックの実効レベルが低く(間合いを開けすぎ、相手ボールホルダーに余裕を持たれてしまっている・・)、だから守備の起点を効果的に演出できない・・これでは、次のパスポイントで協力プレスが機能しないのも道理・・そんな引き気味の消極意識だから、ホンジュラス選手たちの「個人技からのボールの動き」に翻弄されてしまうのも自然な流れ・・そして自信を失って心理的な悪魔のサイクルに入りかけてしまう・・。フムフム・・。

 それにしてもホンジュラスは、「ココゾ!の一発勝負」を効果的にゴールに結びつけちゃいましたよね。ということで、ここではまず、日本代表の守備ブロックの機能性にスポットを当てることにします。

 一発目は、前半9分。最終ラインのラインコントロールがちょっと乱れたことで、一発スルーパスでウラを突かれて決められたゴール。このシーンでは、ラインコントロール作業での加地の集中切れと、その後の足止め、また宮本の、最初のスルーパスにアレックスが最初に追いつくだろうというイージーマインドが致命傷になりました。二点目は、タテに走り抜けたベラスキスを「行かせて」しまった宮本が、結果としての非を問われます。まあ宮本としては、あの状況でのスルーパスならばカットできると踏んだのでしょう。でも、実際のラストスルーパスは、そのスペースとコース&タイミングといい、宮本の想像を絶する、まさにスーパーなモノになってしまいました。

 このホンジュラスの二発は、日本代表ディフェンスブロックにとって意義のある学習機会になったということです。ホンジュラスに対する後ろ向きのコンプレックスを克服するというポイントも含め、ビデオでのイメージトレーニングは重要な意味をもつ・・。

 さて、中田英寿がボールを奪われたことでブチ込まれてしまった三点目ですが、後半にも同様なコト(後ろから追いつかれてボールを奪われてしまったシーン)がありましたね。背中にも目がある中田英寿にしては、ちょっと安易なシーン・・。プライドの高い彼のことだから、まさに忸怩(じくじ)たる思いだったことでしょう。三点目を奪われたシーンでは、中田にパスが回ると確信した二人のホンジュラス選手が、素晴らしい協力プレスを仕掛けてきました。まさに「読みベースのクリエイティブ守備」。そして、一人目のプレスを切り返した中田に、ドカンッ!と二人目がアタックを仕掛けてボールを奪い返してしまったという次第。もし中田が、その二人目のプレスを感じていたら、すぐにシンプルに安全パスを回したことでしょう。

 ホンジュラスの四点目。それは先制ゴール同様に、夢の超特急マルティネスによって演出されたスピードゴールでした。それにしても凄いタテパスからのカウンターだった・・。もちろんこのシーンでは、加地が、しっかりとマルティネスのスピードを意識していなければならなかったわけだけれどネ・・。そのレベルを超えたスピードと競り合ったときの体感は、確実に次に活かさなければいけません。

 さて、ということで、日本代表のフォーバックは機能したのかどうかというポイントに対する評価。正直に言って、ちょっとこれでは厳しいね。冒頭でも述べたように、コンプレックスベースの「引き過ぎ・間合いを開け過ぎ」といった受け身のディフェンス姿勢が原因で守備の起点をうまく演出できなかっただけではなく、ボールがないところでのマークも甘かった(タテのマークの受け渡しが多すぎた!)・・だから最終ラインのボール奪取勝負プレーにも安定感と確実感が欠ける結果になった・・ということです。

 いつも言っているように、フォーバックの機能性に対する評価基準は、守備的ハーフと両サイドバックの押し上げの量と質。その視点では、まあまあだと思いました。中村俊輔と中田英寿も積極的に下がってディフェンスに参加してくることで、次の攻撃では、稲本や中田浩二も、彼らによって「前へ送り出されて」いましたからね。でも、前述したように、守備でのブロック全体の機能性では及第点とはほど遠かった。たしかに局面でのボール奪取勝負では、稲本にしても中田浩二にしても(全体的には)良いプレーができていたとは思うけれどね・・。

 でも、中田英寿が中盤の底に入ってからは、守備ブロックがなかなかの落ち着きを魅せるようになりました。攻守のゲームメイカーとして中田英寿が下がったことで、中田浩二との役割分担がより明確になったということなんでしょう。要は、中田浩二が、より明確に前気味リベロという性格の、守備的プレーイメージへ移行していったということです。フォーバックの場合、やはり「基本的な守備的ハーフ(前気味リベロ)」と「ゲームメイカーも兼ねるボランチ」という組み合わせがいいようですね。コンフェデにおける、ボランチ中田英寿と、前気味リベロ福西というようにね。

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 攻撃だけれど、ホンジュラスに、ドカン、ドカンとゴールをたたき込まれたことで、前半の半ば頃からは完全に吹っ切れた仕掛けが見られるようになりましたね。両サイドもしっかりと押し上げて最終勝負を仕掛けていくようになったし、善戦と守備的ハーフとのタテのポジションチェンジもうまく機能するようになったしね。中田英寿という「タテのポジションチェンジの演出家」に拍手です。この表現は、確か、2000年シドニーオリンピックのときに開発したものだと記憶しています。あのときの中田英寿は、完璧な中盤の王様として、攻守にわたって周りの味方を動かしつづけていましたからね。だから私は、中田英寿のベストポジションは「ホンモノのボランチ」だと言いつづけているわけです。

 さて、高原直泰。柳沢とともに素晴らしいプレーを披露してくれました。彼については、先週、ソフトバンクが運営するドイツ・ブンデスリーガ携帯サイトにおける連載でも、下記のようなコラムをアップしました。

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 さて、ハンブルガーSVの高原直泰。ブンデスリーガ第三節になって、ようやく本格的な自己主張機会を得た。後半10分からラウトに代わって出場し、グラウンドを駆け回ったのだ。最前線からの忠実なディフェンスと、ボールがないところでの「パスを呼び込む」ダイナミックでメリハリのあるフリーランニング。そんなベーシックな組織プレーのなかに、個人の見せ場もしっかりと織り交ぜる。左サイドから弾丸のように逆サイドまで全力ダッシュしてパスを受け、マークにきた相手の執拗なプレッシャーをふりほどくような上手いコントロールからクロスを上げる・・左サイドからの低いクロスに飛び込み、相手ゴールのポスト際の枠内へ飛ぶギリギリのシュートを放つ・・ヤロリームとのワンツーを決めて決定的チャンスを演出する・・はたまた、ドリブルで相手を翻弄して決定的クロスを送り込む・・。可能性を感じさせる魅力パフォーマンス。現地メディアの評価も高かった。

 「タカは、ハングリーだったのさ・・攻撃でも守備でも、自分が絡めるところは、どん欲にチャレンジしていったからな・・あのプレー姿勢をつづけていれば必ず本格的チャンスがめぐってくるに違いない・・」。友人のドイツ人ジャーナリストが、電話口で語っていた。

 バルバレス、ラウト、ムペンザ、マハダビキア・・。高原直泰のライバルは優秀な連中だ。だからこそ、これ以上ないほど有益なチャレンジ(学習)機会。またそこには、2006ドイツW杯という至上のモティベーションもある。環境こそが人を発展させる。高原の更なるステップアップに期待しよう。(了)

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 高原は、この試合でも、上記のニュアンスを100パーセント反映した好調プレーを維持していたというわけです。そんな高原とコンビを組んだ柳沢の好調プレーについてですが、やっと彼も本当の意味でハングリーになったということでしょう。ホンモノのエゴイストマインドが見えはじめた柳沢。それは、彼の同点ドリブルゴールに集約されていた・・!?期待できそうじゃありませんか。

 それにしても決勝ゴールは見事だったよね。キッカケの演出家は、最後方でボールを受け、素早く正確なサイドチェンジパスで、右サイドから逆サイドへ素晴らしい展開パスを送った中村俊輔と、そのパスを受け、タメてから鋭いタテパスを、玉田の足許へズバッと決めた中田英寿。もちろん、素晴らしいスルーパスを出した玉田と、全力オーバーラップでタテのスペースへ突進しつづけたアレックスも素晴らしかったけれどね(アレックスの置くようなラスト横パスも見事!!)。

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 さて最後にヨーロッパ組。やはりチカラがある。これからは、世界ステージでの日本サッカーの(ひいては自分自身の)アピールというワンステップ上位のミッションを課せられたジーコも、彼らを中心にチームを固めていく作業を強化していくことでしょう。だからこそ、この試合にも彼らを招集した。だからこそ、結果がついてきて本当によかった。もちろん私は、日本代表がこのゲームに負けたとしても、内容的には、「これからのチームパフォーマンス高揚を果たすためのベース要素がてんこ盛り」ということでポジティブなコラムニュアンスになったはずだけれどネ。

 まだまだ書きたいことはたくさんあるけれど、今日はこんなところにしておこう。ところで、私のコラムを「うざったい」と感じている方々も多いそうな。たしかに、自分で読み返してみても、テーマが「こまごまとしていて、うっとうしい・・煩わしいし、面倒くさい・・」なんて感じることがある。でもまあ、それもまた「味」だから・・。なにせ、文章の構成なんてまったく考えもしない、気の向くままのフリーハンドだしネ・・。そうじゃなければ、ここまで続けられたはずがないよ・・あははっ・・。

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 最後に、9月21日(1900時開演)に、浦和レッズ監督ギド・ブッフヴァルトと、公開の対談(二人でのトークショー)をやることになりましたので告知しておきます。もちろんドイツ語ベース。通訳の方が入ると聞いています。このイベントは、「日本におけるドイツ年」の一環として開催されます(このイベントに限っては、主催:東京ドイツ文化センター、後援:財団法人 日独協会)。テーマは、もちろんサッカー。場所は、青山にあるドイツ文化センターの大ホールです。このイベントについては、こちらを参照してください。

 



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