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- 2006_オシム・ジャパン(これからは「OJ」と呼ぶことにします)・・帰国報告とオシムさんのトレーニング・・(2006年8月7日、月曜日)
- 昨日の日曜日に帰国しました。2ヶ月半のヨーロッパ滞在。毎日何らかの刺激に囲まれていたから、まったく長いとは感じませんでした。様々な学習機会に恵まれ、脳内の引出を様々なレベルで充填できたと悦に入っている湯浅なのですよ。
もちろん絶対的な正解のないサッカーのことだから、そのコンテンツの意味はどんどん変容していくことでしょう。そして、そのなかから「ある程度普遍的なコンテンツ」だけが抽出され、私の創造性と想像性を支える「瞬発力」のバックボーンになるというわけです。
また前置きだけが・・。とにかく、帰国した昨日はまったく時間が取れなかったから、今日(月曜日)は何としてでもオシムさんのトレーニングを観察に行くぞ!と、意を決して様々なビジネス処理に奔走しました。その甲斐あって、しっかりと1800時には、トレーニング会場になっている千葉県のサッカー場に到着したというわけです(正確には、途中で仕事を投げ出した!?)。
もちろん単車での移動です。自宅からは、30-40分ってなところですかね。それにしても日本は本当に暑い。今年のヨーロッパ(ドイツ)は、「暑さ」で、これまでの記録を大幅に更新したとのことですが、それでも、暑いとはいっても、そこはヨーロッパですからね、湿度がそれほどでもないし(まあ今年は湿度も比較的高かったらしいけれど)朝晩もも涼しいから、まあ耐えられる。それに比べて、湿度の高い日本の暑さは、まさに殺人的といったところ。それも、私の帰国にタイミングを合わせるかのように本格的な夏がはじまったとか。フ〜〜!
だから単車の運転は、本当にきつい。何といっても、単車にとって最も厳しいのは盛夏ですからね。クルマや建物から放出される熱・・単車エンジンから放散される熱・・等々。それに比べれば、真冬の寒さなんてへっちゃらなのですよ。
さて、オシムさんのトレーニング。やはり素晴らしい内容と雰囲気でした。常にボールを使うグループ戦術トレーニング。また常に選手が、考え、動きつづけることを要求します。コーチにとっては、選手と対峙する「最初の段階」こそが全て。そこで選手のアタマのなかに構築される第一印象が、それからの行動(評価)規範になりますからね。オシムさんが放散する「テンション(緊張)エネルギー」は相当なレベルに達していたと感じました。
厳しい表情・・大きなジェスチャーをミックスする指示・・的確な「ストップ」と、そこでの注意(刺激)・・等々。その刺激に触発されるかのように、選手は、ボールがないところでの攻守のアクションを倍加させるのですよ。まさに、本格感バリバリのトレーニングの雰囲気。代表チームでは本当にご無沙汰でした。
オシムさんの言う「走る」という現象だけれど、そのコノテーション(言外に含蓄される意味)には、攻守にわたるボールがないところでの仕事を主体的に探しつづけるという意味での積極的な思考能力(前向きなイメージ構築能力)、責任感や勇気をバックボーンする決断力、リスクを恐れずに(自分自身との戦いを制する)実行力などなど、様々なファクターが内包されている。
それらを一言で表現するなんて無理だけれど、とにかくこれからは、我々もまた、「走る意味」について大いにディスカッション(ディベート)を積み重ねていくべきだと思っている湯浅なのですよ。
今回のドイツでのコーチ国際会議でも、講義や講演の合間、また蘭たちタイムなどに展開されるプロコーチ連中との意義深い「行間のディベート」に恵まれました。その中では、ドイツの著名プロコーチ、クリストフ・ダウムと常にパートナーシップを組むローラント・コッホとのハナシが格別に面白かった。写真では、エーリッヒ・ルーテメラー(彼については「このコラム」を参照)の右に座るのがローラント・コッホです。
彼は、ジーコが監督に就任したトルコのフェネルバフチェの前コーチでした。そのときの監督がクリストフ・ダウムだったというわけですが、この二人は、1.FCケルンからはじまって、シュツットガルト、ベジクタシュ・イスタンブール、レーバークーゼン、そして昨シーズンまでのフェネルバフチェと、常にパートナーシップを組んでいました(クリストフ・ダウムのヘッドブレインとして高い評価を得ている)。ということで、その実績に対しては、エキスパートたちも一目置いています。
ローラントが言います。ボールがないところで自主的に仕事が探せないヤツにはサッカーなど出来ない・・いくら才能があっても、走らない選手は絶対に大成しない・・現代サッカーでは多くの運動量が求められるけれど、それだけではなく、そこで発揮される創造性や想像性の結晶としての走りの質も大いに注目されるべき・・実行力のバックボーンとなる意志の強さ・・その強さの象徴こそが、全力ダッシュ・・その量と質こそが現代サッカーにおいて問われているもっとも重要なファクター・・等々。
まあ、面白いよね。彼もまた、自分自身の経験と思考を積み重ねるというプロセスを経た「確信」を持っているということです。それこそが、様々なプロセスを経て抽出された「ある程度普遍的なコンテンツ」というわけです。彼とは、本当に気持ちのよい「行間ディベート」が出来ました。
とにかく、走るという行為のバックボーンに関して「実のある」ディベートを積み重ねる環境が整備されることを願って止まない湯浅なのですよ。そうでなければ、「走る」という言葉だけが一人歩きしてしまう。
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