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2006_天皇杯_準々決勝・・ジュビロ2点リードからはじまったレッズの覚醒プロセスは見応え十分だった・・(レッズvsジュビロ、3-3、PKでレッズ勝利)・・(2006年12月23日、土曜日)

ジュビロは、本当に力強くダイナミックな組織サッカーを展開しました。

 特に前半。ファブリシオが魅せつづける素晴らしいゲームメイク(創造的な人とボールの動きのコンダクター!)。西や太田が仕掛けるサイドからのドリブル勝負。前田の迫力ある突破。そして、まさに「狡猾なフォックス」という表現がピタリと当てはまる福西のクレバーなプレー。その、巧みなボール運び、ボールがないところでの動き、そしてスペース活用センスは、素晴らしいの一言です。さぼり癖(集中切れ)さえ直れば、まだまだイケル。

 そんなジュビロに対してレッズは、守備でのチェイス&チェックやボールがないところでのマークだけではなく、攻撃でのボールがないところの動き(忠実サポートや三人目の飛び出し)など、サッカーの隠れた基盤プレーが、まさに鈍重そのものでした。それも、ジュビロ前田に先制ゴールを奪われた後も(失点シーンでのレッズ守備は完全に集中切れ・・前田が完全にフリーヘッド!)、まったく好転する兆しが感じられないのだから何をか言わんや。「彼らはもう満腹なんだろうな・・」なんてことまで思ったものです。

 そんなレッズが、「フォックス福西」にジュビロ二点目を叩き込まれてから覚醒するのです。まさに、サッカーは本物の心理ゲーム・・なんていう普遍的コンセプトを地でいく展開になりました。

 そんな覚醒プロセスで目立っていたのが、小野伸二。

 小野は、この試合のように、とにかくしっかりと走り、もっともっと多くボールにタッチすべきですよ。そして確実にキープし、逃げの横パスではなく、常に、リスキーな仕掛けパスを狙いつづける。もちろん次の瞬間には、パス&ムーブで次の仕掛けの流れに乗ったパスシーパーになりつづける。そう、彼は、レッズが展開すべき、人とボールの活発な動きを演出しなければならない存在なのですよ。彼には、それが出来る。

 そのためには、この試合で魅せつづけたように、積極的にディフェンスに参加するだけじゃなく(この試合でのボール奪取勝負コンテンツは良かった!)、攻撃でも、ボールがないところで動きつづけることで常にパスターゲットになるという意志が大事です。いまの彼は、決して、動かずに足許パスを要求するような姿勢でブレーしてはいけません。そのことが彼のプレーリズムを崩壊させ、攻守にわたって足が止まってしまう心理的な悪魔のサイクルに落ち込んでしまうのは目に見えているのだから。

 とにかく小野伸二は、もっともっと積極的に走りまくりましょう。そして仲間に檄を飛ばしまくりましょう。そうしたら、必ず、彼のベストフォームを再び見いだすことができるようになること請け合いです。サッカーの発展は能動的なアクション(リスクチャレンジ姿勢)にあり・・なのです。ちょっと、小野伸二の復活が楽しみになってきました。

 次に特筆したいのが、何といっても、山田暢久。チームが覚醒プロセスに入ったときには右サイドバックになっていたけれど、そこでの攻守にわたる活躍は、本当に素晴らしかった。まさに全盛期の山田を見るようでした。彼自身も、そのパフォーマンスに酔っていたのかもね。だから、攻守にわたるノリノリのプレーが、際限なく高揚していったと感じましたよ。汗かきマーク(チェイス&チェック)やボール奪取勝負よし、攻撃でのボールキープよし、ドリブル突破よし、決定的クロスよし・・etc。

 もちろん、鈴木啓太、長谷部誠のプレーも、例によって高みで安定していた。チームが覚醒プロセスに入ってからは、両人とも、攻守にわたって素晴らしい機能性を魅せました。とはいっても、チームが覚醒プロセスに入る直前のジュビロ福西の二点目シーンは、特に長谷部にとっては良い学習機会になったけれどね(一瞬のボールウォッチングで福西にスペースに入り込まれてフリーシュートを打たれた!)。

 もう一人、永井雄一郎。ビックリするくらいの意志の高揚を魅せていました。最前線からのチェイス&チェックやボールがないところでの勝負の動きなどに、その強烈な意志を感じます。そんな主体的な意志がゴールとして結実したのだから祝福しないわけにはいかない。永井雄一郎も楽しみになってきました。

 でも、才能あふれる相馬崇人のプレーには、大いに不満。何度、低次元のボールウォッチャーになったことで、自分がマークすべきジュビロ選手にスペースへ走り込まれたことか。また、安易なアタックで置き去りにされるシーンもあった。集中だよ、集中! たしかに攻撃の才能には素晴らしいものがあるけれど、あれほど守備が不安定じゃネ・・。アレックスの海外移籍が決まったのだから、もっと自覚をもたなけばいけません。サッカーは、ボールがないところで勝負が決まるのです。それとも、ギド後任のホルガー・オジェックが、彼のライバルになる選手を連れてくるか・・!?

 それにしても延長後半の攻防は見応えあったよね。両チームとも仕掛けるけれど、体力の限界(ギド・ブッフヴァルト監督の弁)ということで、十分な人数が戻ってこられないというシーンが連続して発生してしまう。そんな状況だから、両チームともに、何本もの決定的チャンスを作り出すのも道理といった展開なのです。でも決定的なチャンス「度」からしたら、ジュビロの方が優っていたかもしれないね。レッズサポーターの方々は、何度も息を呑んだことでしょう。元旦は、是非レッズをラジオ文化放送で解説したいと願っている湯浅も、何度もフリーズしたものです。

 レッズは準決勝でアントラーズと当たることが決まりました。願ってもない対戦カードじゃありませんか。それも、スタジアムは国立競技場だからね。

 ネネ、トゥーリオ、堀之内、アレックス、ワシントン、田中達也といった主力クラスがいないからこその結束!? ギド・ブッフヴァルト監督は、レッズ選手は、全員に、例外なく常に100%闘う心の準備がある・・レッズには本物の闘うメンタリティーが備わっている・・と自信のコメントを出していたけれど、まあ彼らに、「オレたちで優勝を勝ち取ってやる!」という意識がないはずはないよね。何といったって、個人事業主たちなんだから。とにかく、アントラーズとの準決勝が楽しみです。




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