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06_ジーコジャパン(79)・・ホームでは久々のガチンコ勝負・・また、サバイバルという最高のモティベーションもあった・・(日本vsブルガリア、1-2)・・(2006年5月9日、火曜日)

ハッピーでしたよ、本当に。日本でこんな、本物のガチンコ勝負が観戦できるなんてネ。同じく「ガチンコ」になったウクライナ戦とボスニア・ヘルツェゴビナ戦はアウェーだったから、日本で行われたこのゲームの「本気度」が余計にイメージ的に際立ったというわけです。来日するチームは「観光気分」が多いからね。

 ガチンコであるかどうかの評価基準は、守備では、ボール奪取勝負における競り合いの本気度。そして攻撃では、ボール絡み、そしてボールがないところでの「仕掛けへのチャレンジ姿勢」。ということで、攻守にわたる「意志のポテンシャル」が、両チームともに最高潮まで高揚し、それが両チームともに衰えないという展開のときに「ガチンコ」になる・・なんていうふうに表現できますかね。要は、ギリギリの攻守のせめぎ合いのなかで、両チームともに心理的な悪魔のサイクルに入るような「雰囲気」などまったく感じさせず、とにかく積極的に「仕掛け」つづけるという展開のことだよね。

 それについては、ブルガリアに感謝しなければならないだろうね。琴欧州から「檄」が入った?! まあ、そんなことはないだろうけれど、とにかくブルガリア選手たちが、ポジ&ネガ両面で「日本」を意識していたこと(世界サッカー地図のなかで徐々に日本が目立ちはじめていること?!)、その国が、自分たちにはできなかった本大会出場を果たしたチームであること、そして、自分たちこそがこれからのブルガリア代表を背負って立つ存在であることをストイチコフ監督にアピールすること・・等々を強く意識していたことだけは確かな事実だよね。ということで、気合いの入り方が違った。彼らは、真剣に闘っていましたよ。

 対する日本代表も、気合いが入るという意味では事情は同じ。何せ、「お前はボーダーライン上だぞ・・」なんて言われている選手たちの多くが先発だったんだからネ。もちろん本音は、「冗談じゃネ〜〜! 俺たちこそが主役なんだ!」なんていう意識をもっているに違いない・・いや、プロだったら、そうであるべき。そして彼らは、まさに、「冗談じゃネ〜〜!」という攻撃的な闘いコンテンツを誇示しつづけてくれたというわけです。

 わたしは、先発メンバーを誇りにまで感じていましたよ。立ち上がった次の瞬間に「サプライズ・ゴール」を奪われ、その後もジワジワとペースを握られかけた日本代表・・ただ彼らは、そこから完璧にフッ切れた闘う姿勢を前面に押し出していく・・そのことは、もちろん中盤ディフェンスの内容に如実に表現される・・そして、ボールを奪い返した後の、後ろ髪を引かれない限りないリスクチャレンジ姿勢と、中沢のヘッド、阿部の強烈なミドルシュート、玉田のポストシュート、(福西からのタテパスや村井からのクロスに合わせた)巻のチャンス等々、自ら仕掛けていくことで何度も作り出したゴールチャンス・・。私は、日本代表の積極プレーを堪能していました。

 それでも結局、そのチャンスをゴールに結びつけることは出来なかった。それは事実として残ります。チャンスを決められない日本代表という事実。農耕民族のメンタリティー?! そこでは、分厚いコンクリートの壁までも突き破ってしまうような強い意志が必要なのですよ。そしてその意志は、血のにじむようなハードトレーニングを通してのみ「徐々に充填させていける」もの。難しいネ。何せそのハードトレーニングは、いくつかのパーソナリティーが「本音でぶつかり合う」ような刺激を伴ったものじゃなければ効果を期待することは出来ないからね。ほんの少しでも妥協したら、確実に「それまでの努力」も地に落ちてしまう・・。それほど強固な意志が求められるのですよ、シュート決定力にはネ・・。

 またまた脱線してしまった。さて日本代表。後半になって、小野伸二、小笠原満男が登場します。また負傷した村井に代わって、すでに前半からアレックスが登場している。さて・・。

 その交代があってから、たしかに日本のポゼッション率は少しは高まったけれど、逆に、前半にはあった、爆発するような「仕掛けエネルギー」が感じられなくなってしまいます。要は、ボールをキープすることに長けた連中によるゲームコントロールが、ネガティブに作用しはじめたということ。キープし、最良のタイミングで「美しいスルーパス」を決める・・というイメージ。そして全員が、その、針の穴を通すようなタイミングを意識しはじめたことで、ボールがないところでのアクションが、どんどんと減退していったのですよ。全員が「待ちの様子見」に陥ってしまう日本代表。「こりゃ、ダメだな・・」なんて、本当にガッカリしたものです。良いサッカーは、クリエイティブな無駄走りの積み重ねでしか達成できないことは、サッカーの歴史が証明している。前半のサッカーには、そんな無駄走りを支えるエネルギーがあったのに・・。

 でも、その落胆は、わたしの早とちりでした。ネガティブな流れが、徐々に、前半にも増してダイナミックな流れへと変容していったのです。その立役者は、小野伸二。ボールがないところで走りまくり、スパッ、スパッとボールにタッチして効果的な展開をリードしていくのですよ。それだけじゃなく、パス&ムーブを繰り返すことで、決定的なパスを何度も繰り出していく。また後半25分には自ら持ち込んでシュートを放ったり、27分や29分には立て続けに決定機を演出しちゃうんですよ。まさに、小野伸二の独壇場でした。そして後半31分に同点ゴールが決まる。まあこのゴールには、直接的に小野は絡んではいなかったけどネ。

 また後半37分から登場した長谷部も、なかなかの存在感を発揮したよね。最初はミスってしまったけれど、その後は、攻撃でも守備でも、しっかりとした実効プレーを展開した。良かったと思いますよ。

 この試合でのMVPは(まあ小野伸二を除いてだけれど・・)、何といっても玉田圭司でしょう。前半から、日本人としては異質の積極的な仕掛けを魅せつづけていましたよ。鋭いパスレシーブアクションだけじゃなく、ドリブル突破でも素晴らしく危険な勝負を展開していた玉田圭司は、「衛星ストライカー(シャドーストライカー?!)」として抜群の存在感をアピールしたと思っている湯浅でした。結局ジーコは、彼を最後まで使いつづけましたしね。

 巻誠一郎も、闘う意志という視点で、素晴らしいアピールをしたと思います。同点ゴールも決めたしね。あっと・・そのゴールもまた、彼の忠実なアクションの賜物でしたね。最前線からの守備にはじまり、とにかくボールがないところでの忠実でダイナミックな動きの量と質が素晴らしい。それにヘディングも強い。足許は弱いけれど、使い方によっては、大変な価値を生み出せるストライカーだと思いますよ。

 ちょっと「とりとめがなくなってしまった」ように感じます。負けはしたけれど、なかなか収穫のあった一戦でした。最後にもう一度、このゲームが素晴らしい学習機会になったことに対して、ブルガリアに感謝しましょう。

 



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