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2007_ACL・・このゲームでの内容と結果の乖離は信じられないレベルにあった・・(フロンターレvsセパハン、0-0、PK戦4-5)・・(2007年9月26日、水曜日)

「勝たなければならないゲームだったが、あれだけのチャンスを作り出しながら、それを決められなかったことで勝ち切れなかった・・(シュートシーンでの)最後のところでの精度に課題があるということだ・・」

 フロンターレ、関塚監督のコメントでした。

 それにしても気分が滅入ります。関塚監督が言うように、あれだけの決定的チャンスを演出しながら、結局はゴールを奪うことが出来ずにPK戦で敗退してしまう。サッカーの内容では、セパハンを完璧に凌駕していたからね。もちろん、そんな理不尽な結末は、サッカーでは日常茶飯事だし、特にアジアでは多いのも事実。フム〜〜

 フロンターレは素晴らしいサッカーを展開しました。攻守にわたって、ダイナミズム(活力・迫力・力強さ)に満ちあふれたプレーを披露してくれたのですよ。組織的ディフェンスで効果的にボールを奪い返し、人とボールを、素早く、そして広く動かす組織的な攻撃を繰り出していく。そんな組織パスプレーがうまく機能しているからこそ、マギヌンやジュニーニョ、鄭大世や中村憲剛、はたまた両サイドの村上和弘と森勇介たちも、より効果的にドリブル勝負を仕掛けていける(効果的にドリブル勝負を仕掛けていける状況をうまく演出できる)というわけです。関塚監督は本当に良い仕事をしている。

 とにかくフロンターレは、何度も、何度もセパハンの守備ブロックを崩して決定的スペースを突いていきました。パスコンビネーションでも、単独ドリブル勝負でも。そして誰もが「ヨシ、ゴールだ!!」と確信するような絶対的シュートシーンを作り出す。でも結局は・・。

 一体、何なんだろうね、あの、シュートを決められない(決まらない)という現象は。世界一シュートが上手いマラドーナやディアスにしたって明らかな技術ミスを犯すことがあるし、ボールがイレギュラーしたり、シュートしたボールが山勘でセービングした相手GKの手の中にスッポリと収まってしまうなどといった、ツキに見放された現象だってある。だから、一概には、シュートを決められない(決まらない)という現象を説明することなんか出来ない。

 関塚監督は「精度」というキーワードを使っていた。要は、しっかりとゴールを決めるためのプレーの正確さ。最終勝負におけるパスコンビネーションの精度やシュートの精度。

 パスコンビネーションの精度については、出す方と受ける方のイメージを、いかに「高い精度」でシンクロさせるのかというテーマに尽きます。いつも書いていることですが、そのために厳しいトレーニングを積まなければならないのですよ。

 そのイメージシンクロレベルが高揚していけば、「ヤツが、あの体勢でクロスを入れるときは、必ずココにボールが飛んでくる!」と、自然に最終勝負スポットへ身体が動いていったりする・・とかネ。後は、(パスの)キックとトラップの精度を上げる。要は、イメージと実際のテクニックの精度を上げるということです。

 それでも、シュートの精度というテーマは難しい。確率という視点から言えば、シュートをゴールに結びつける確率を高めるために、最低でも技術的なミスの頻度を低く抑えなければならないのは言うまでもない。そして、相手GKが取れないスポットへ「正確」に蹴るわけです。でもそれは、単なる「物理的な動作」にしか過ぎません。シュートを打つという現象には、本当に様々なファクター(要素)が絡み合っているのですよ。

 そんなファクターのなかでは、やはり心理・精神的(イメージ的)な部分が大きいですよね。これまでにもう何度も書いたけれど、世界の超一流選手は、シュートを打つ前から、ゴールに飛び込んでいくボールが明確にイメージできるといいます。それも、ゴール内のあるスポットにボールが飛び込んでいくイメージ。それこそが「確信」というわけです。深い確信があるから、動作がプレることがない。だからこそ、正確に、狙ったゴールのスポットにボールを飛ばすことが出来る。

 ちょっとハナシが逸れてしまった。この試合では、特にジュニーニョのシュートミスが目立っていました。「あの」ジュニーニョがですよ。たしかに相手GKが、神懸かり的なリアクションでシュートを防いだこともあった(多分にツキの仕業だった)けれど、この試合では、ジュニーニョの「確信レベル」に陰りが見えていたことも確かな事実だったと思います。確信レベルが低いから、最初からシュートがブレていた!? まあ、そういう面も否定できないということです。

 何か、この悔しいゲームについて、ハナシをうまくまとめられなくなっています。まあ、内容と結果が大きく乖離していたことで、信じられないくらいにフラストレーションがたまったゲームだったということだけれど・・。とにかく今日はもう限界。考えがまったくまとまらなくなっています。中途半端なコラムになってしまって申し訳ありませんでした。

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 しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。本当に久しぶりの、ビジネスマンもターゲットにした(ちょっと自信の)書き下ろし。いま三刷りですが、この本については「こちら」を参照してください。

 尚、本屋さんやオンライン書店での購入ですが、本の補充(営業)が十分ではなかったようで、購入されたい皆さんにご迷惑をおかけしていたと聞きます。これからは、アスキーの営業がしっかりと補充するということでした。

 




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