トピックス
- 2008_日本代表・・世界との「最後の僅差」を本当の意味で体感させてくれた(素晴らしい学習機会を提供してくれた)ウルグアイ代表に乾杯!・・(日本vsウルグアイ、1-3)・・(2008年8月20日、水曜日)
- 「たぶんそれは、攻撃と守備にいかに人数を掛けていくべきなのかということに関する質問だと思う・・攻撃に人数を掛ければ、次の守備で問題が出てくるだろうし、逆のケースでは攻撃に問題が出てくるだろう・・攻守両面で、常にしっかりと人数を掛けられることが理想だが・・とにかく日本は(その意味でも!?)良いチームだよ・・」
ウルグアイのタバレス監督が、私の質問に対し、そんなニュアンスのことを言っていた。ちなみに、ちょっと意図して「漠然」とさせた私の質問の骨子はこうです。
「いまタバレス監督は、日本が、攻撃にしっかりと人数を掛ける(ダイナミックな)良いチームだと言われたが、ウルグアイと違って、日本には個のチカラで状況を打開していける選手が少ないから、どうしても人数を掛けていかざるを得ないのが現状だ・・そのことについて、どう思われるか?」
その質問を聞いたタバレス監督が、ちょっと肩をすぼめるような仕草をしながら、冒頭の(ちょっと質問の骨子をはぐらかした!?)コメントを出してくれたというわけです。まあ、もちろん(世界基準じゃ)そういうことになるわけだけれど、日本の場合は、人数を掛けた組織プレーじゃなきゃ効果的な攻撃を繰り出していけないんだからネ。だからこそ、常に相手よりも多く動き回らなければならない・・。
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この試合だけれど、まず何といっても、ウルグアイという強豪チームが、フレンドリーマッチであるにもかかわらず、全身全霊で「ガンガン勝ちにきた」という事実から入っていく必要があります。
そのことについて、タバレス監督に対して、こんな質問もしてみました。「これまで、国際親善マッチで、この試合のウルグアイのように全力でプレーした招待チームは本当に希だった・・タバレス監督にとって、このゲームがもつ意味合いはどんなものだったのか?」
そのこと(ウルグアイが全力を出し切ってプレーしたこと)については、タバレス監督の後に会見した岡田監督も、明確に、このウルグアイ代表はねいままでの招待チームのなかで最高の闘うマインドでプレーしてくれた=全力を出し切る闘いを展開してくれた=と感謝のコメントを出していた。
ということで、私の質問に対してタバレス監督は、「我々は勝つつもりで日本にやって来た・・その目標を達成できたことを誇りに思う・・日本はダイナミックなサッカーをやる・・それに対して、日本の良さを出せないように、日本のプレーリズムを崩すようにプレーできた・・とにかく、コロンビア戦へ向けた良い準備ができたと思っている・・」というニュアンスのことを言っていた。
この試合では、皆さんも観られた通り、前半は完全にウルグアイが席巻していました。もちろん中盤での厳しいプレッシング守備を基盤にしてネ。まあ、岡田監督も指摘していたように、そんな厳しいボール奪取勝負を積み重ねながら、サイドからガンガン崩していったということもあった。
ただ後半は、日本も盛り返していった。それこそ、タバレス監督が評価していたように、しっかりと人数を掛けて攻め上がっていったのですよ。そんな流れのなかから、ベストタイミングで決定的スペースへ飛び出した中村憲剛が送り込んだ決定的ラストクロスが相手のオウンゴールを呼び込んだ。でも結局その後は、全力のウルグアイに(まさに順当の!)逆転劇を完遂されてしまったというわけです。
「我々は時差とも闘わなければならなかった・・だから、コンディション的に厳しい時間帯もあったわけだが、その流れをうまく切り返すことが出来た・・」
タバレス監督ですが、言わんとしたことは、前半は、意図したとおりに良い(アグレッシブな)サッカーを展開できたが、後半は、コンディション的に厳しくなったことで、互角以上に日本にゲームを支配される時間帯もあった・・ただ最後は、「その逆流」をうまくカウンターで切り返すことができた・・というニュアンスだったんでしょう。
それにしても見事なカウンターだった。後半だけでも、危険なカウンターシーンを「3-4回」は演出したからね。
たしかに後半は、全体的な運動量は落ちたけれど、ここぞのボール奪取チャンスでは、何人ものウルグアイ選手が(強烈な意志をぶつけるように)全力でプレスをかけてきた。それこそ、勝負所での「究極の有機的プレー連鎖」。だからこそ、次のカウンターの流れにも、何人もの味方が「乗れ」た。2-3度はありましたかネ、ウルグアイが数的に優位なカタチで最終勝負を仕掛けていった場面が。
ということで、試合の流れを左右したもっとも重要なファクターは、もちろん「中盤の守備」でした。
前半は、アグレッシブな守備をベースに、完全にウルグアイが主導権を握ったわけだけれど(小兵の日本チームが、あのウルグアイに対抗していくためには完璧な技術が必要ということもあって、前半の日本チームは、ちょっとビビり気味にプレーしていた・・岡田監督の弁)、ただ逆に後半は、ウルグアイの運動量が落ち、チェックが甘くなったこともあって、日本が良いカタチでボールを奪い返せるようになり(サイドをしっかりと抑えるというイメージも功を奏しはじめた!?)そんな前掛かりの流れに乗るように、攻撃にもしっかりと人数を掛けられるようになっていった。
そんな日本代表のポジティブな流れをリードしたのは、明らかに、長谷部誠と中村憲剛の中盤コンビでした。
すべての日本選手が、とにかく「ケンゴ」を探してボールを預けていた・・そしてケンゴを中心に、長谷部誠とのコンビネーションを駆使してボールが動きつづける・・そのアグレッシブな流れに乗るように、両サイドの駒野友一と(後半に交代出場した)長友佑都のタテへの機能性も格段にアップしていく・・
・・そして、日本が志向する、人とボールがよく動く「ホンモノの組織プレー」が機能するようになり、グラウンドの至るところで数的に優位なカタチを演出できるようになっていく・・またそのことで、ウルグアイ選手との「フィジカルコンタクト」を極力回避するような、素早く広い組織コンビネーションが回りはじめる・・
まあ、たしかに日本にイニシアチブを握られていたけれど、前述したように、ウルグアイはやっぱり世界の強者だったというわけです。ホント、最後まで全力でプレーしてくれたウルグアイに感謝です。
「このウルグアイだったら、我々のベストチームを投入しても対抗できたとは思えない・・とにかく、この試合を良い学習機会とするべきであり、我々は、そこから何を学べるのかというテーマに取り組んでいかなければならない・・」
岡田監督の弁です。その発言では、もちろん「我々のベストチームを投入しても・・」というクダリがキーワード。要は、今回の日本代表チームについては「テスト」というニュアンスが強かったということです。
後半31分に、日本中盤のキーパーソンである中村憲剛を「下げた」とき、思わず「エッ」と目を疑ったものです。でも、会見で岡田監督が、「途中で交代した選手については既に分かっているから・・最後まで引っ張った選手については(何が出来るのかを!?)しっかりと把握したかったから・・」と言っていた。フムフム・・
ケンゴが抜けた後の日本代表は、思った通り、まさに「何かの抜け殻」のように勢いを失っていったわけですが、そんな展開を観ながら、こちらはフラストレーションを溜めていた。でも、その岡田監督の言葉で、ちょっと救われた思いがしたモノです。
中村憲剛が抜けたことで、うまく攻撃を組み立てられなくなった日本代表。日本の場合は、周りの押し上げによって「組織プレーの機能性」を上げなければならないわけだけれど、周りの押し上げの「心理的なバックボーン」となっていたケンゴが抜けたのだから、それも当然の成り行きなのですよ。要は、中村憲剛と長谷部誠は、味方に勇気を与えることで、ボールの動きと人の動きを協力して加速させていたということです。
とにかく、このゲームほど「世界との最後の僅差」を明確に体感させてくれたフレンドリーマッチは、ホントに歴史的にも初めてだったかもしれない。何せ、名だたるヨーロッパの著名クラブで(主力としても準主力としても!)プレーするウルグアイ代表選手が、遠い日本まで馳せ参じ、そして全力で日本を叩きに来たんだからネ。その意味で、もう一度ウルグアイ代表に感謝している筆者です。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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