トピックス
- 2010_アジアカップ予選・・勝ったけれど内容にはフラストレーションが溜まった・・(日本vsバーレーン、2-0)・・(2010年3月3日、水曜日)
- またまた、ニュアンスが難しいゲームになってしまったな〜〜。
まあ、この試合に関しては、勝つことが(結果を出すことが)もっとも大事なミッションだったから、岡田監督の(最初の!?)コメントを待つまでもなく、良かったことは良かったのだけれど・・
ただ、そのコメントの後につづいた、「ちょっと入れ込みすぎていたことも含めて、この試合には変な緊張感があった・・」との岡田監督のコメントにも微妙に込められていたように、このゲームは、海外組が招集されたことも含め、誰もが、「どのような内容のサッカーを展開するのか・・」というテーマでも注目していたわけだから・・
とにかく、このゲームの内容に対する私の見立ては、岡田監督が志向する「究極の組織プレー」という評価基準では(まったく!?)満足いくものではなかったというものだったのですよ。
先日のコラムでも書いたように、ここにきて、稲本潤一が、攻守にわたって、組織的にも(汗かき組織ディフェンスという意味でも)素晴らしいパフォーマンスを披露しはじめました。そこで私は、稲本を守備的なセンターハーフ(アンカー)に置き、その前に、長谷部誠、遠藤保仁、中村俊輔、そして中村憲剛を並べるという(中盤のダイナミック・カルテットに対する!)チーム戦術に対する期待を思い描いていました。まあ、ワントップについては、相手や状況に応じてベストなプレイヤータイプを選択することは言うまでもありません。
守備意識が高いだけではなく(強い意志がバックボーン!)、互いに使い・使われるという根源的(戦術的)メカニズムに対する理解が深い(だから実効レベルも高い!)ダイナミック・カルテット。彼らがワールドカップで展開するであろう、攻守にわたる抜群にダイナミックな(活力と迫力にあふれた力強さ!)サッカーに思いを馳せていたというわけです。
ということで、その評価基準では、この日の日本代表のサッカーが到底満足できるモノではないことはご理解板だけるものと思います。ちょっと私も「入れ込みすぎ」でしょうか・・!?
たしかに一点目にしても追加点にしても、岡田武史監督がイメージする通りの、素晴らしいサイド攻略ゴールでした。また、それ以外でも、後半18分には、中村俊輔が強烈なライナー性クロスを、中央の岡崎慎司にピタリと合わせた決定的シーンもあった(岡?のヘディングシュートは残念ながら外れた・・彼は、俊輔から、あんなスーパークロスが送り込まれてくるとは予想もしていなかった!?)。それでも・・
それでも、私のなかのフラストレーションが収まる気配はまったくありません。そこで、一体このフラストレーションは何なのだろうとハタと考えた。そこで出てきた答えは、やっぱり組織プレーのコンテンツ・・
・・人とボールの動きがとても鈍重・・だから、スペースを突いていけない・・もちろんバーレーンは、智将マチャラが指揮しているだけあって、あのフィジカルの強い選手たちが、日本代表が繰り出してくる組織プレーに対しても、そのボールがないところでの動きもしっかりとマークするなど、とてもレベルの高い組織ディフェンスを魅せつづけていた・・それでも・・
・・たしかに本田圭佑は、岡田監督が言うように、少しは良くなっている・・シンプルなタイミングでパスを回すようになったし、守備にも忠実に入るようになっている・・それでも、松井大輔同様に、全体的な運動の量と質はまだまだ少ないし、ボール奪取勝負も下手・・それに、ボールがないところでも、まだ自分がパスを受けるというイメージだけでしか動かないシーンが多い・・チームメイトのためにスペースを作り出すといった発想は持ち合わせていない・・
・・また松井大輔は、運動量が足りないだけじゃなく、肝心のところで動かないし、パスをした後も止まってしまう・・また守備も、まだまだ「気が向いたら・・」っちゅう中途半端なレベル・・
・・彼らの典型的なダメプレーはこんな感じ・・
・・パスを受ける・・天才的なタッチでコントロールするまではいい・・また、そこから相手に一度突っ掛けていこうとするアグレッシブな姿勢もいい・・ただ、そこからがいけない・・ほとんどのケースで、勝負を止めて(自信のなさがアリアリ!)横パスに逃げてしまう・・そしてそこで足を止めてしまう・・まあ、たまに周りの味方が勝負のフリーランニングを仕掛けたら、そこへリスキーパスを出すくらいのことはあるし、先制ゴールのシーンでの松井大輔は、しっかりとタテの決定的スペースへ走り抜けたからこそ、中村俊輔から最高のタテパスを受けられたといった良いシーンもあった・・でも全体的には、とても満足できるレベルにはない・・
ちょっと彼らに厳しすぎるだろうか。いや、そんなことはないと思う。後半になって玉田圭司が登場してきたけれど、突破ドリブルならば(レッズの田中達也も含め)国内組の方が断然いい。
その玉田圭司が登場してきてからだけれど、左サイドのペナルティーエリアの角ゾーンで、玉田圭司と長友佑都が、短いパスを交換しながら、抜群に「粘り強く力強い」ボールキープとドリブルで、そこを突破することにチャレンジしていた。ものすごい意志エネルギーが放散されていた。「あの」タフなバーレーン選手もタジタジだった。素晴らしい・・
そんなレベルを超えた「闘う姿勢」を魅せられたから、またまた本田圭佑と松井大輔に対する不満が爆発してしまうのですよ。横に座るスポナビの宇都宮徹壱さんに・・
「宇都宮さん・・いま玉田と長友が展開した粘りの勝負つづける素晴らしい闘う姿勢を見たよネ・・松井大輔にしたって本田圭佑にしたって、そんな粘りの勝負を仕掛けていけないはずがない・・いや、やったら、ヤツらの方が数段上のハズだよ・・それが、勝負をせずに逃げの横パスを出して止まっちゃうんだから・・オレに言わせたら、そりゃ犯罪だよ・・才能があるのに(失敗が怖いから!?)勝負をためらっちゃう・・ホントにアタマにくるよな〜〜・・」
私の声・・大きいので・・スミマセン、宇都宮さん・・ご迷惑お掛けしました・・でも、そうでもして放出しなきゃ、フラストレーションが身体のなかを駆け巡って「気の流れ」をグチャグチャにしちゃうからネ・・宇都宮徹壱さんには、重ねにお詫びします。ゴメンなさい。
まあ、ということで、内容的には満足とはほど遠いゲームではありました。あっと・・この試合でも闘莉王は、チャンスがあるたびにオーバーラップしていったわけだけれど、その後の「戻り」には、大きな意識の変化が見られた。そう・・『ルシオの爆発的な戻りスプリント』的な全力ダッシュで守備ラインへ戻る闘莉王を何度も目撃したのですよ。そうそう・・世界の一流は、そんな『基本プレー』を忠実に、本当に忠実に繰り返しているのです。
ドイツのスーパーコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが私にこんなことを言ったことがあります。
「才能があるヤツらは、基本的に怠け者だ・・コーチの仕事は、ヤツらの才能が100パーセント以上発揮されるように、基本プレーにも忠実に励ませることなんだ・・それがチームのためにもなるし、ソイツのためにもなる・・でもそれは、本当に大変な仕事なんだ・・だからこそオマエは、まず最初に、コーチとして(監督として)の強い立場を築き上げなければならない・・もし、そのポジションにしがみつかなければならないとか、強いポジションを築けなかったら、まず選手から甘く見られるだろうな・・それは、オマエの覚悟次第という側面も強いわけだが・・とにかく、周りがオマエのことを認めなかったら、何かを達成することなんて出来るはずがない・・」
ふむ〜〜・・深い言葉だ。でも、まあ、岡田武史は、常に胸に辞表を携えて仕事をしていると思う(常にその覚悟があるというオーラを放散し、そのことが周りにも伝わってくる。彼は、十分に、ヴァイスヴァイラーの言う「強いポジション」を築いたということだね。まあ・・大したものだ・・
あっと・・中村俊輔。良かったですよ。やはり彼は、日本代表では水を得た魚になるね。何せ、シンプルにボールを回しても、動けば、また自分にボールが戻されてくるんだからネ。もちろんミスもあったし、バーレーンのフィジカルにやられてしまうシーンもあった。それでも、彼にしか出来ない「魔法プレー」だけではなく、例えば後半18分に、センターサークル付近から、最前線の岡崎慎司が決定的スペースへ飛び出したフリーランニングにピタリと合う「一発ラスト・ロング・スルーパス」を出した。こりゃ、やっぱり誰にも真似できないね。
まあ今日は、こんなところですかね。このコラムは、豊田市駅の近くのホテルロビーで書きはじめ(やっと空いたことで乗り込んだ)名古屋へ向かう電車のなかで書き上げました。まあ・・ネ・・書き上げたといっても、読み直すわけじゃないから・・。もうホテルじゃ仕事する気がしないのですよ。近くのコンビニでおにぎりとビールを買い込もうっと・・。それでは、今日はこれで・・。
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