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2010_WM準備マッチ・・ワールドカップ(世界の強者たちとのガチンコ勝負)という巨大な刺激・・(日本vsイングランド、1-2)・・(2010年5月30日、日曜日)

まあ、勝負の流れとしては、たしかに「残念」という側面もあったけれど、フェアに見れば、順当な結果だとするのが妥当なところだろうね。

 たしかに前半は、運動量がまったくアップしていかなかったという事実が証明しているとおり、イングランドは日本を甘く見ていた(!?)。だから彼らは、ほとんど、日本の守備ブロックを崩してウラのスペースを突くといった「必然的なチャンス」を作り出せなかった。

 まあ、ルーニーからの、見事なドリブル&ラストスルーパスが決まったシーンとか(今野が、レノンに背後スペースを攻略され、そこにスルーパスを通され、結局はGK川島とレノンが一対一になった!)そのルーニーが放った惜しいシュートシーンとかはあったけれど。

 それでも後半は、選手と気持ちを入れ替えたイングランドが、誰の目にも実力の差が明確に見えるほどにゲームを支配した。だから後半の見所は、日本ディフェンスがどこまで持ちこたえられるのかというポイントに絞られていった。

 そんな雰囲気のなかで(日本が守備を厚くしているなかで)イングランドは、サイドからジェラードが送り込んだクロスに、ルーニーとヘスキーが飛び込んだシーンや、ルーニーの中距離シュートシーンなど、日本の守備ブロックの対応限界を超えた決定的チャンスを何度も作り出してしまうのですよ。それこそが、実力の差を如実に証明する現象だった・・

 もちろん、ゲームシーンを細かくレビューしようなんて思わない。とにかく、日本は二つのオウンゴールで逆転負けを喫したわけだけれど、実際には、世界との最後の僅差が、まだ厳然として存在していることを体感させられたゲームだったという事実は動かしがたいということが言いたかった。でもネ・・

 そう・・わたしは、「強固な意志」をもってゲームに臨めば、世界の一流どころを相手にしても「まあまあの内容のサッカー的な勝負」に持っていけるくらいに、日本代表の実力ベースがアップしてきているという「事実」も体感できたのですよ。

 もちろん、それには、最高の意志と集中力をもって、攻守にわたる『小さなこと』を、しっかりと意識してクリアしていくことが条件だけれどネ。

 例えば、守備における「有機的なプレー連鎖」。要は、全員が協力してボールを奪いかえす組織ディフェンス。

 このゲームでの日本代表は、明らかに、積極的なチェイス&チェックに対する意識と意志が高まっていると感じた。ただし、そのアクションは、決して安易な(アリバイ的な)アタックにはつながらない。

 ほとんどのシーンで選手たちは、あくまでも「チェックまで」で我慢し、「次」をイメージするのですよ。そう、相手の動きを止めて仕掛けていく協力プレスとか、インターセプト狙いとか、次のパスレシーバーのトラップの瞬間を狙ったアタックなど、周りの味方に「次でボールを奪い返させる」ような組織ディフェンスのイメージをアップさせているのです。

 決して、アリバイ的な、軽率アタックを仕掛けることなく、我慢してウェイティングすることで相手のスピードをダウンさせ、そのプレーの可能性を制限する。そして、その我慢プレーを基盤に、周りのチームメイトと協力してボールを奪い返す。だから、常に、自然と「ディアゴナーレ&トライアングル」が出現しつづける。フムフム・・

 わたしは、そんな守備プレーに、とても質実剛健な守備意識(意志の強さ)を感じていました。だからこそ、組織ディフェンスのイメージが、次、その次と、有機的に連鎖しつづける。ちょっと難しい表現だっただろうか・・フムフム・・

 まあ・・要は、忠実な汗かきプレー(攻守にわたるクリエイティブなムダ走り)を、全員が、強烈な意志をベースに、やりつづけられるようになっているということです(たしかに後半にはかなりダウンしてしまったけれど、それでも要所では、しっかりと勝負できていたと思う)。良い、良い・・

 そして、ここから(遅まきながら!?)このコラムの本題に入っていくわけです。それは、ワールドカップ(世界の強者たちとのガチンコ勝負)という巨大な刺激。

 この試合では、大久保嘉人が、攻守にわたって(特にディフェンスで!)いままでのイメージを大きく超越するようなダイナミックな(積極的な)仕掛けプレーを魅せつづけてくれた。そのことで、長友佑都と組んだ日本の左サイドは、まさに攻守の「要」的なイメージリーダーになっていた。「そこ」でボールを奪い返し、「そこ」から仕掛けていく・・。

 長友佑都が「本物のブレイクスルー」のベクトルに乗ったことは感じていたけれど、大久保嘉人については、残念ながら、それほど明確に感じてはいなかった。もちろん彼のプレーが、攻守にわたって積極的になってきている・・とは感じていたけれど、これ程とは・・。

 やはり、ワールドカップという世界舞台と、イングランドという世界の強者との対戦という「ステージ」が、選手たちの「気持ち」を高揚させているんだろうね。サッカーは、本物の心理ゲームだから、気持ち(=意識と意志)次第で、パフォーマンスが何倍にも上下動するということか。だからこそ、「世界ステージ」は、これ以上ない「ブレイクスルーへの加速器」ってか〜〜!?

 また、この試合で、最終ラインの前にアンカーとして入った阿部勇樹も、とてもダイナミックな「意志」を魅せつづけてくれた。彼は、トゥーリオという「心理的な圧力」を跳ね返せるだけの心の(気持ちの)強さを身につけたとまで感じ、本当に頼もしかった。

 もちろん長谷部誠、遠藤保仁、そして岡崎慎司の、強い意志(優れた守備意識)をベースにした攻守にわたる全力の実効プレーについては言及するまでもありません。いつも書いているように、そんな「チーム戦術的なベース構成メンバー」に組み合わされるべきチームメイトの意志のポテンシャルこそがテーマだったのですよ。

 例えば本田圭佑。たしかに守備でのアクション内容は、ちょっとは良くなっていると思う。あれだけの個の能力をもっているのだから、もし彼が、本物の組織プレーを実践できるようになったら、必ず、世界のトップレベルでも活躍できるような選手へと成長すると確信する。でも、この試合でも、まだまだ課題が山積みだった。

 相手ボールホルダーに全力で寄せなければならないチェイス&チェック場面で、サボる・・マークできるのが彼しかいない場面で、その相手を行かせてしまう・・など、そんな集中切れシーンを、何度も目撃した。でも、そんな本田圭佑でも、時間の経過とともに、攻守にわたるプレーのダイナミズムが、ガンガンとアップしていったとも感じた。

 後半の爆発的なミドルシュート場面だけじゃなく、相手ボールホルダーを全力で追いかけ回してボールを奪い返してしまったり、自身のドリブルから必殺カウンターやコンビネーションを繰り出していったり。彼は、自らの天賦の才を、本当の意味で「覚醒」させはじめたのかもしれない・・

 「世界」という巨大な刺激を受け、どんどんと「自分の殻を破っていく」選手たち。そんな、ブレイクスルー・プロセスの証人になることほど楽しいことはないよね。なんてったって、私もサッカーコーチの端くれだからね。

 どうも、アタマが回らなくなってきた。今日は、ナビスコカップと日本代表のコラムを、立てつづけにアップしてしまった。フ〜〜・・。もう寝ます。

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 ところで、三年ぶりに新刊を上梓しました。4月14日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定したらしい。フムフム・・。タイトルは『サッカー戦術の仕組み』。岡田ジャパンの楽しみ方・・という視点でも面白いかもしれません・・たぶん。池田書店です。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。

 




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