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2010_ナビスコ・・「ポンテ・ショー」と、試合のなかで地に足が着きはじめたスピラノビッチ・・(RvsJU, 1-1)・・(2010年3月31日、水曜日)

まあ、全体的なゲーム内容からすれば、順当な引き分けだったと言えるだろうね。

 それにしてもジュビロは、本当に素晴らしいディフェンスを積み重ねていた。とても粘り強く、忠実でダイナミックなボール奪取アクション(イメージ)が有機的に連鎖しつづけるのですよ。そんなジュビロ守備に、特に前半のレッズは、まったく歯が立たなかった。でも後半は・・

 ということで、このゲームのメインテーマは、レッズの前半と後半のパフォーマンス落差・・っちゅうことになりますかね。

 フォルカー・フィンケは、これまで出場していなかった選手にもチャンスを与えたい・・と、リーグ戦のメンバーから、4-5人の選手を入れ替えました。その「混成チーム」が、まったくといっていいほど機能しなかったのですよ。だからこそ、後半の最初から登場した、たった一人の選手(ポンテ)によって、ガラリと流れが変わった現象が、とてもインプレッシブだった(印象深かった)。後半は、まさに「ポンテ・ショー」ってな雰囲気だったね。

 ところで、前半のメンバー構成。ワントップのエジミウソンは変わらず。二列目に、柏木陽介、原口元気、そして高崎寛之が入りました(高崎は、ツートップ気味)。その後ろに、守備的ハーフコンビとして、阿部勇樹と細貝萌がミッドフィールドの底コンビを形成する。そのメンバー構成による組織プレーが、まったくといっていいほど機能しなかった。まあ、守備は、そこそこだったけれど、とにかく攻撃がヒド過ぎた。

 高崎寛之を批判するのは簡単だろうけれど、ケガなどが重なり、これが彼の今シーズンデビュー戦という事情を踏まえて、深く論評するのは止めましょう。彼自身が、一番苦しんでいるはずだからネ。彼に対しては、一言だけ。良いプレーをするための絶対的な基盤である「意志」の内容は、全体的な運動量だけではなく、攻守にわたる「全力ダッシュの量と質」にも如実に現れてくる・・ということです。

 ゲーム感覚が十分ではなくても、闘う意志は、いつでも、どんな状況でも「表現」できるはずだからネ。それが、まったくといっていいほど感じられなかったことについて「だけ」は、まあ・・言い訳はできないね。高崎寛之は、この素晴らしい学習機会を、イメージトレーニングなどを通し、確実に「次」に活かしていかなければいけません。

 前半のレッズの不出来については、柏木陽介が十分なゲーム&チャンスメイクが出来なかったことに対しても、ちょっと落胆していました。まあ、彼もまた組織プレイヤーということなんだろうね。人とボールがスムーズに動きつづけてこそチカラを発揮できる・・。前半に関して言えば、その肝心の「チームとしての組織的な動き」が、まさに寸詰まりだったわけだから、彼に、個人プレーによって悪い流れを打開していくことを期待するのは酷ということか。

 もちろん柏木陽介は、攻守にわたって、局面では、とても素晴らしい「意志」は魅せつづけていたけれど、やはり組織プレーが「うまく機能」しないことには、彼の才能を効果的に表現することは難しいよね。

 その意味では、原口元気も、攻守にわたって、とても素敵な「意志」を魅せつづけてくれたと思う。そのことについては、フォルカー・フィンケも高く評価していた。前節のセレッソ戦でも、とても積極的なプレーを展開していたからネ。

 でも、そんな「部分的なグッドパフォーマンス」が、チームとしての「相乗効果」につながっていかないのですよ。まあ、前述したように、ジュビロの守備が素晴らしかったことが、その大きな要因だったね。だから、局面でのグッドプレーを「連鎖」させられないことで足が止まり気味になり、全体的なサッカーが、まさに局面プレーの「ブツ切り」状態になってしまったということです。サポートも遅いし(様子見ばかり・・)パス&ムーブもお座なり・・。フ〜〜・・

 そんな体たらくだったから、後半の「ポンテ・ショー」が目立ちに目立ちまくるのも道理といったところでした。シンプルプレーと、意を決した「個人勝負プレー」が、とても素晴らしい実効パフォーマンスを魅せつづけた。そして、そんなポンテが振りまく「自信オーラ」に後押しされるように、チームメイトたちの攻守にわたるプレー内容も、何倍にも増幅していったというわけです。

 とはいっても、ジュビロの粘りのダイナミックディフェンスは健在。だから後半は、レッズが積極的に攻め上がり、ジュビロが、その勢いをしっかりと受け止めながらカウンターを狙うという、とても興味深く、エキサイティングなゲーム展開になったというわけです。とても面白かったですよ。

 それにしても前半の体たらく。やはり「攻守のリズム」が決定的に重要な要素なんだよね。うまく人とボールが動いていれば、その良いリズムが、周りの人の動き(意志)を増幅する・・そして全体的な「人とボールの動き」も膨れ上がっていく・・だからこそ、うまくスペースを使える・・だからこそ、個人勝負も、とても効果的なモノへと「成長」させられる・・。でも前半には、そんな「自信レベルをアップさせられるような攻守の良いリズムは、まったくといっていいほど感じられなかったというわけです。フムフム・・

 最後に、スピラノビッチ。わたしは、はじめて彼のプレーを観たわけですが、最初は(前半のパフォーマンス)は、ちょっと、ショッキングなほどヒドかった。もちろん局面での競り合いやヘディングでは、ある程度の強さは魅せてくれたけれど、その後の組み立てプレーがヒドかった。何度、彼のミスパスからピンチを招いたことか。

 それと、センターバックとしての「読みのレベル」も、何となくピンとこなかった。要は、危ないところを「感じて」そこへ急行し、ギリギリのところで相手の決定的シュートを止めてしまう・・なんていう危急対応プレーで存在感を発揮していたとは、とても思えなかったということです。

 でも、そんなスピラノビッチのプレーが、時間が経つにつれて、徐々にレベルアップしていったのです。ヘディングや、局面でのボール奪取勝負はもちろんのこと、「読みベースのカバーリング」でも、急激に効果レベルをアップさせていった。やはり「自信」!? スピラノビッチは、ゲームを通して成長した(彼本来のパフォーマンスに戻っていった!?)ということなんでしょう。もちろんそれは、彼の潜在能力が高いからに他なりません。とにかく、スピラノビッチも、楽しみな存在になってきましたね。

 




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