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2011_ヨーロッパの日本人・・ 本田圭佑・・必殺チャンスメイカーとしての意地とプライド・・(2011年11月21日、月曜日)

さて、復帰した本田圭佑。

 ・・たしかに持ち味「は」発揮した・・でも、攻守にわたって、まだまだハードワークが足りない・・

 ・・まあ、とはいっても局面では、彼にしか出来ないプレーは効果的に織り交ぜていた・・その局面プレーは、ボール奪取やシュートという攻守の目的を達成するために、ケースによってはとても貴重な「実効」を発揮する・・フ〜、難しいネ、彼を評価するのは・・

 とにかく、本田圭佑について言いたい結論じみたことは、例によって、たった一つだけなんですよ・・。

 あれほどの才能に恵まれているのだから、もう少し、攻守にわたるハードワーク(組織的な汗かきプレー)にも精進すれば、まさに世界レベルの選手として、世界トップクラブからも引く手数多(ひくてあまた)ということになるのに・・

 モダンサッカーの現場では(世界トップクラスのプロコーチにとっては)、才能に、いかに組織的なハードワーク(攻守にわたる汗かきの全力スプリント)を積み重ね「させる」のかというのが最重要のテーマなのです。

 本田圭佑の価値というテーマについては、彼に特化して書いた「過去のコラム」を参照して欲しいのですが、ここでは、ちょっと視点を変えてみようと思います。

 本田圭佑とセスク・ファブレガスの比較・・

 この二人、ボールコントロールのチカラ、キープ力、周りの状況を瞬時に把握するインテリジェンス、それをベースにしたパス展開力、ここぞの勝負所で決定的なスペースへ入り込んでシュートまでいくプレー(ドリブルでもパスレシーブでも)・・などなど、局面での勝負プレーでは、たしかに素晴らしいモノ(チームにとっての価値)がある。

 でも、組織プレーの流れにおける「歯車プレー」では大きく欠ける部分も多い。要は、(スミマセン・・繰り返しになりますが・・)チームのために全力で実行する(全力スプリントの!)汗かきハードワークが足りないということです。

 ・・味方にボールを奪わせるための汗かきチェイス&チェック(相手ボールホルダーの追い込み)・・味方にスペースを作り出すような全力スプリント(フリーランニング)等など・・

 この二人・・。アーセナルやCSKAモスクワといった、優秀なドリブラー(必殺仕掛け人)が多く、個の(ドリブル)勝負を仕掛けていきたいマインドが充満しているチームでは、そのキープ力やパス展開力が存分に発揮され、重宝される。

 でも、バルセロナや日本代表となるとハナシは別。そこは、組織プレーと個人勝負プレーを高みでバランスさせようとするコンセプト(チーム戦術)を絶対的なイメージ基盤にする環境なんですよ。

 そこでは(もちろん絶対的なプレーレベルは違うけれど・・)、誰でもパサーになれるし、誰でも ドリブラー(必殺仕掛け人) になれる。だからこそ、誰でも、組織ハードワークにも精進しなければ、チーム全体としての「イメージ・バランス」が崩れてしまう。

 どうだろうネ、こんな視点で、セスクと本田圭佑を比べるのは・・。

 とはいってもサ・・、彼らのような、必殺チャンスメイカー(パサー)としてのプライドと意地に懸けたサッカー人生も、悪くはないし、羨ましくもあるよね。自分には決して到達できなかった領域だから・・あははっ・・。でも「それ」が、世界サッカーの潮流のなかで徐々に「アウト・オブ・トレンド」になりつつあるというのも確かな事実なんですよ。フムフム・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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