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2011_日本フル代表・・ボールがないところでの優れたアクションの量と質こそが全て!・・(日本代表vsベトナム代表、1:0)・・(2011年10月7日、金曜日)

フ〜〜・・まあ、長いチーム作りプロセスでは、こんなこともあるサ・・

 とはいっても、この試合でチャンスを与えられた日本選手たちの「意志」というか「意地」というか、彼らの心理・精神的なダイナミズムが高揚していかなかったことは気に掛かる。

 そんな強い意志や意地は、ボールがないところでのアクションの量と質に如実に反映されていくわけだけれど、それがこのゲームでは低級に過ぎたのですよ。

 もちろん、メンバー構成が変わったことで、仕掛けコンビネーションのイメージを連動させることに苦労したのは良く分かる。そのネガティブ要因は、何といっても、ボールがないところでのアクション(リスクチャレンジに対する意志!?)の量と質をうまくアップさせられなかったことです。

 周りが動かなくても、そんなこととは関係なく、例えば岡崎慎司のように、自らの強烈な意志をブチかますようなリスクチャレンジプレーを仕掛けていったり、「ここにパスを出せ〜っ!!」ってな全力スプリントのフリー(スペース)ランニングを繰り出したり。

 誰かが、そんな積極的な汗かきプレーを繰り返せば、チームメイトもそれに刺激され、自然と「心理的&フィジカル的な動き」もアップしていくモノなんだよ。でもネ・・

この試合は、残念ながらテレビ観戦ということになりました。でも、とてもハイレベルな映像づくりだったから(ディレクターとカメラマンに拍手と感謝〜っ!)、ボールがないところでのギリギリのドラマも含めて、とても気持ちよくゲームを追いかけることができた。

 まあ・・ネ、だからこそ日本代表チームの、ボールがないところでの動きの量と質が高揚していかないことが目に付いたわけだけれどね。ホントに、フラストレーションが溜まった。

 ベトナム代表は、皆さんも観られたとおり、極限の闘う意志と、ハイレベルなフィジカル能力に支えられ、素晴らしく粘り強い闘いを披露した。とにかく、彼らの守備でのダイナミズムが最後まで減退しなかったことは驚異だったよね。

 まあ・・ネ、だからこそ日本代表にとっても(チャンスを与えられた選手たちにとって!)願ってもないブレイクスルー(自分の価値を認めさせ、チーム内のヒエラルキー位置をアップさせる)機会でもあったというわけです。

 もちろん藤本淳吾とか原口元気、はたまた細貝萌とか中村憲剛とか、部分的に、強い意志を放散するような「チャンス・ゲッター候補」もいたよ。でも、そんな積極プレーが連動しない・・結果につながらない・・だから全体的な印象では、結局は倦怠の雰囲気に呑み込まれてしまう・・フ〜・・

 ベトナムの守備だけれど、効果的な忠実(協力)プレッシング守備だけではなく、局面での(ボール絡みの)一対一でも無類の強さを発揮していた。

 そのスピードと機敏なリアクション能力には本当に舌を巻いた。とはいってもサ、ボールがないところでの勝負イメージの量と質という視点じゃ、まだまだ「イメージ描写能力」に大きな課題を抱えていることも確かな事実だよね。

 要は、前半のように、日本代表が、素早く広いコンビネーションを繰り出していったとき、ボールへの意識が強すぎることで、どうしても日本選手のボールがないところでの勝負の動きに付いていけないというシーンが目に付いたのですよ。

 前半20分、藤本淳吾から香川真司への、サイドチェンジ気味の(ロング)タテパス勝負に、簡単にウラの決定的スペースを攻略されてしまったり(最後は、相手マーカーの背後スペースを走り抜けた香川真司のフリーシュートにつながった)、先制ゴールシーンでは、長谷部誠の突っ掛けドリブルや李忠成のパスレシーブの動きに意識と視線を奪われ、藤本淳吾のボールがないところでの動きを掴(つか)みきれなかったり(素晴らしいコンビネーションが成就した!)・・。

 そんな、ボール絡みのアクションと、ボールがないところでの勝負アクションが美しく連動するような、人数を掛けたコンビネーションこそ日本代表の真骨頂だし、それこそが強力なベトナム守備ブロック攻略の、もっとも強力なツールだったはず。

 でも残念ながら、そんな(後方からの3人目、4人目がクリエイティブに絡みつづけるような)スムーズなコンビネーションは、本当に数えるほどしか見られなかった。

 効果的なコンビネーションの「原動力」は、やはり、ボールがないところでの(人の)動きの優れた量と質なんだよ。その絶対的バックボーンは、言うまでもなく、強烈な意志。何せサッカーは、不確実な要素がテンコ盛りの『ホンモノの心理ゲーム』だからネ。

 そして、そんな意志があるからこそ、仕掛けの局面で数的に優位な状況を作り出せるし、必殺のコンビネーションだってブチかませる。でもこの試合では・・

 ということで日本代表は、この試合で起きたネガティブ現象(擬似の心理的な悪魔のサイクル!?)を、効果的な学習(イメージトレーニング)媒体として有効活用することで「次」につなげていかなければいけません。

 わたしは、4日後に大阪長居スタジアムで行われるタジキスタン戦をスタジアム観戦する予定です。そこでは、このベトナム戦からどのような「派生効果」が生み出されたのか・・というテーマでも観察することにしましょう。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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